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グラフふくおか 2013秋号 AUTUMN 通巻572号平成25年9月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

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きらめきマイタウン −みやこ町

写真:平成筑豊鉄道

平成筑豊鉄道 田園地帯を平成筑豊鉄道の電車が走るのどかな風景。背景には、京都(みやこ)平野を見下ろす標高216mの馬ヶ岳

都市と農村をつなぐ 農業体験で地域を活性化

くまわり会(農事組合法人くまわりファーム)

 みんなで大熊地区の農業を守っていこうと、平成19年に設立された「農事組合法人くまわりファーム」。担い手の確保や美味しい米作りなど幅広い活動を行っています。
 取り組みの一つが、過疎化や高齢化が進む中で、新しい農業スタイルを確立して町を活性化させたいと発足した「くまわり会」です。
 都市の人に大熊の農業を知ってもらおうと、田植え・稲刈りなどの農業体験をメインにした「くまわり祭り」を年3回開催。また、豊かな生態系に触れてもらおうとビオトープでの生き物調査も実施しています。
 県内はもちろん、県外からの参加者も多く、リピーターも増え、中には、東京から移住した家族も。都市と農村をつなぐ交流は着実に実を結び、組合員の皆さんも地域おこしに手応えを感じています。

写真:カエルやザリガニなど約30種類の生物が生息するビオトープ 写真:「くまわり会」の緒方厚一さん写真:稲刈りに挑戦する子どもたち

(1)カエルやザリガニなど約30種類の生物が生息するビオトープ (2)自然とふれあってリフレッシュした皆さんの笑顔が活力になる」と話す「くまわり会」の緒方厚一さん (3)稲刈りに挑戦する子どもたち

助け合いで集落を維持したい 女性ボランティアで営む直売所

しゃくなげの里

 過疎化や高齢化が進む帆柱(ほばしら)の集落に、地域の女性たちが運営する直売所「しゃくなげの里」はあります。「食料品を扱っていた農協の施設が閉鎖してしまい、町のスーパーに行くにも車で30分以上。だったらその場所を使って、自分たちで店を開こうと思ったんですよ」と話すのは、リーダーの高瀬絹子さんです。店番を務めるのは、50代から80代のボランティアの皆さん。金曜と土曜の週2日、交替で店を開けます。また、家にこもりがちなお年寄りの送迎や商品の配達も行っています。
 「利用者の皆さんから便利で助かると喜ばれているので、頑張らんとね」とメンバーの皆さん。店の奥には井戸端会議ができるスペースもあり、地域の人が気軽に立ち寄れる場所になっています。新たな憩いの場として、地域コミュニティの強化にも一役買っています。

写真:「しゃくなげの里」の皆さんと店の招き猫「しゃくにゃん」 写真:「ちょっとした買い物ができて助かる」と買い物に訪れた主婦の声写真:調味料などの生活必需品が揃う

(1)「しゃくなげの里」の皆さんと店の招き猫「しゃくにゃん」 (2)37世帯約80人が暮らす帆柱地区。「ちょっとした買い物ができて助かる」と買い物に訪れた主婦の声 (3)調味料などの生活必需品が揃う

有害鳥獣の肉を有効利用 ジビエとして特産品に

よってこ四季犀(しきさい)館

 犀川地区にある農産物直売所「よってこ四季犀館」には、取れたての野菜や地元の特産品が数多く並びます。その中でも今注目を集めているのが、野生の鹿や猪などの肉「ジビエ」です。
 有害鳥獣による農作物被害が年々深刻になっているみやこ町では、駆除肉を有効活用するため平成22年4月に県内初の有害鳥獣食肉加工施設を整備。四季犀館では、鹿肉や猪肉をバーベキュー用や猪鍋セットとして販売。また、レトルトカレーやジャーキーなどに商品化しています。
 「食べる文化を地域に根付かせ、さらに、みやこ町の味として広めて地域活性化につなげたい」と所長の森昭文さんは話します。ジビエフェアを開催して無料で振る舞うなど、ジビエ料理の普及にも力を入れています。

写真:好評のみやこ肉カレー(鹿肉・猪肉) 写真:所長の森昭文さん写真:家庭で手軽に味わえる猪鍋のセット

(1)好評のみやこ肉カレー(鹿肉・猪肉)。人気の秘密はその食べやすさ (2)加工施設の運営もしている所長の森昭文さん (3)家庭で手軽に味わえる猪鍋のセット。猪の骨でだしをとったコクのある特製スープが美味

「官兵衛」ゆかりの地をよみがえらせて観光資源に

馬ヶ岳城跡(うまがたけじょうあと)保存会

 古くは豊前の名城として知られ、豊臣秀吉も訪れたことのある馬ヶ岳城。来年のNHK大河ドラマの主人公黒田官兵衛の居城だったこともあり、注目を集めています。観光客が増えている中、山頂の城跡に続く登山道は、長らく手つかずの状態で手入れが行われていませんでした。
 観光客に、安全で快適に楽しんでもらおうと、今年4月に地元の熊谷孝二さんの呼びかけで発足したのが「馬ヶ岳城跡保存会」。登山道の周辺の整備や案内看板の設置など、地元の有志が中心となり活動を行っています。7月には山頂付近の草や樹木を伐採。見晴らしもずいぶん良くなりました。
 「馬ヶ岳城を盛り上げ、みやこ町の名前も広めたい」と語る熊谷さん。みやこ町、行橋市ともタッグを組みながら、観光資源化に向けた取り組みが始まっています。

写真:草刈を終えた保存会の皆さん 写真:急峻な斜面にある木の伐採は、慣れていてもひと苦労写真:「馬ヶ岳城跡保存会」会長の熊谷孝二さん

(1)草刈を終えた保存会の皆さん。井上幸春町長も参加 (2)急峻(きゅうしゅん)な斜面にある木の伐採は、慣れていてもひと苦労 (3)「馬ヶ岳城跡保存会」会長の熊谷孝二さん