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2020 秋号 AUTUMN 通巻600号 令和2年9月18日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

ふくおか花図鑑

シンテッポウユリの写真

 

凛と咲き誇る
シンテッポウユリ

 すっと伸びる細くしっかりした茎に、ラッパ型の純白の花を咲かせるシンテッポウユリ。テッポウユリとタカサゴユリの交配種で、花が上向きに咲くのが特徴です。「小ぶりで香りが程よく、花もちもいい。ご家庭でも飾れる扱いやすい花ですよ」と語るのは、福岡県内で生産されているシンテッポウユリの主要な品種を育成している西尾修一(にしお しゅういち)さんです。

 シンテッポウユリの生産は、西日本では八女地域がトップクラス。8月のお盆を中心に仏花(ぶっか)として親しまれてきました。代々茶農家だった西尾さんは、シンテッポウユリに魅了され、30年前から品種育成にも取り組むようになりました。長年の品種改良で育成された品種は現在6種類。それぞれ開花するタイミングが異なるため、6月から10月までの長期出荷が可能に。病気や高温に強く、屋外の畑で育てやすいことや、球根に比べ安価な種子から1年足らずで栽培できることから、県内の生産面積も増え、「博多シンテッポウユリ」としてブランド化を展開中です。

 JAふくおか八女花き部会シンテッポウユリ部の部長である中村芳幸(なかむら よしゆき)さんは、障がいのある人に農業分野での就労支援などを行う一般社団法人「ザ・チャレンジド」の理事を務めており、同法人は八女地域におけるシンテッポウユリ最大の生産を担っています。

 「品質の高い花を作るためには、種まきから苗作りまでが勝負。特に温度管理や水やりには、細心の注意を払っています」と中村さん。今年は長雨が続き、例年にない状況下で、生育は手探り状態。「梅雨明けは毎年水やりで大変な時期ですが、今年はもうお腹いっぱいでしょう」と苦笑いしながらも、出荷の出だしは幸い順調と話します。

 現在は、秋のお彼岸用の出荷に向け、害虫防除や通風など品質管理に取り組んでいるところ。

 「緑色のつぼみは、徐々に膨らんで白くなります。最後には真っ白な花が咲き、開花まで長く楽しめますよ。ぜひ、家庭用や日頃の感謝を伝えるギフトとしても身近に感じてもらえたら」と、ほほ笑みます。

 それだけで飾っても存在感があり、様になるシンテッポウユリ。上向きに咲き誇る姿は、日々の暮らしに癒やしと笑顔をもたらします。

中村芳幸さん(左)と西尾修一さん(右)の写真

中村芳幸さん(左)と西尾修一さん(右)

シンテッポウユリつぼみの写真
シンテッポウユリを世話する様子