(グローバル&ローカル・リーダーシップ・プログラム)
「ふくおか未来人財育成ビジョン」を掲げ、青少年の人材育成に取り組む福岡県。今回は、「グローバル化の進展に対応するため、国際的な視野を持ち、職場地域などで中核的存在として活躍できる人材」を育成する国内・海外研修プログラム「福岡県グローバル青年の翼」事業を紹介します。
福岡県では平成10年から、活力あふれるアジアに青年を派遣する研修プログラムに取り組んできました。平成28年度からは国内・海外の研修内容をさらに充実させ、「福岡県グローバル青年の翼」を実施しており、今年度は学生14人、社会人8人の計22人が参加しました。
国内研修では、郷土の歴史や海外から見た福岡の魅力と課題などについて学ぶとともに、参加者はテーマごとに「人材育成・教育」「観光・インバウンド」「食・フードビジネス」の3チームに分かれ、企業などを訪問するフィールドワークを体験しました。
海外研修では、ミャンマーとマレーシアの2カ国を訪問、テーマに沿った視察を実施、帰国後の研修では、海外研修のレビューと成果発表を行いました。
「学生と社会人、どちらにとっても、内容の濃いプログラムにしました。これからもこの質を維持、向上させたいですね」と青少年育成課の渡邊伸也(わたなべ しんや)事務主査
OISCAミャンマー研修センターでの農業体験
さまざまな商品が並び活気にあふれるミャンマーのローカル市場
マレーシアのハラル産業開発公社にて。ハラルに関する課題や取り組みについて学んだ
ミャンマーでは、日本の国際NGO組織「公益財団法人OISCA」の研修センターを訪問。「厳しい共同生活を送りながら、日本の農業技術を学んで祖国に貢献しようとする若者たちのエネルギーに触れ、大きな刺激になった」との感想がありました。
多民族国家であるマレーシアでは、子どもたちが小学校で多様性を理解し、受容するための取り組みを視察し、「日本の教育に求められているものを探る」と題したレポートを発表しました。また、「ハラル産業開発公社」や日系企業の視察を通して、ムスリム(イスラム教徒)は、ハラル(※)に対応した飲食店しか利用できないことなどについて考察。各チームからは、「日本企業がマレーシアなどの多民族国家で外食事業を展開するためには、その国を理解して顧客のニーズを捉え、ブランド力を高める戦略が必要」、「イスラム教徒に対応したサービスの提供は、ラグビーワールドカップ2019などを控えた福岡にとっても大変重要」との報告がありました。
「研修で学んだことを地域にどう生かしていくのか」にまで踏み込んだ報告は、参加した青年たちの確かな成長とともに、これからの活躍を大いに期待させるものでした。
※「許されている」という意味のアラビア語で、イスラム教における「礼拝」や「食」について許された生活習慣をいう
マレーシアの華人系小学校(華人系・インド系・マレー系の児童が通う)では、熱烈な歓迎を受けた。現地の子どもたちと触れ合う貴重な体験
(写真右から)
中村学園大学 安永麻紀(やすなが まき)さん、
西日本鉄道株式会社 小柳賢史(こやなぎ さとし)さん
このコーナーでは、国際的な視野を持って、地域で活躍する福岡県出身の先輩から、子どもたちに向けてのエールを掲載します。
■今回の先輩
アフガニスタンで医療活動や灌漑(かんがい)事業などの人道支援を続けている中村哲さん。「私たちの納得する支援と本当に現地に必要な支援との間には往々にして開きがあります。その地に合う方法を見つけること、相手の文化や習慣を尊重し、『日本人の常識』を押し付けないことが重要。これからのリーダーには、多様性を受け入れ、自分の持つ偏見や先入観を相対化できる能力が求められます。違いを見つけ優劣を比べるより、共通点を見つけて和する態度です。平和に共存することこそが豊かさにつながり、次世代の最大のテーマだと思います。それぞれが置かれた場所で、力を尽くされることを祈ります」。
福岡県が策定したこのビジョンは、「学力、体力、豊かな心」、「社会にはばたく力」、「郷土と日本、そして世界を知る力」を育むための青少年育成策の方向を示しています。「郷土と日本、そして世界を知る力」を身に付けるためには、郷土や日本の歴史、文化、世界の歴史などを学び、「世界の中の日本」を十分に自覚し、多様性を認め合いながら、さまざまな課題に柔軟に対応する力を身に付けることが必要になります。
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