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2017 秋号 AUTUMN 通巻588号 平成29年9月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 
歯科医療で健康を守る

 11月8日は「いい歯(118)の日」。歯と口腔(こうくう)の健康について考えてみませんか?
 高齢化が急速に進む今、これまで以上に「安全な歯科治療」や、「口腔機能の維持・向上」の重要性が高まっています。福岡県民の健康を歯科の観点から守る九州歯科大学の大渡凡人(おおわたりつねと)教授に、お話を伺いました。

 
「高齢者の歯科治療」はリスクがたくさん

 高齢者人口の増加に伴い、歯科を受診する高齢者が以前よりも増えています。中には、見た目には元気であっても、さまざまな疾患を抱えた高齢者も少なくありません。高血圧など循環器内科の疾患を抱えた方は、治療への不安や緊張から血圧が急激に上がったり、服用する薬の作用によって血が止まらなくなるなど、重篤な症状に陥ることも。たとえ歯石取りなどの簡単な治療であっても、高齢者にとっては、大きなリスクになってしまうのです。

 

 
「噛む、飲み込む」機能の低下も大きなリスク

 また、他にも高齢者に多いのが、食べ物が飲み込みにくくなる「摂食嚥下(せっしょくえんげ)障がい」。実は、口の中(口腔)は非常に細菌が多い環境です。口腔を経由した食べ物が誤って肺に入ってしまうと、その細菌で誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こし、呼吸不全などの深刻な状態になってしまうのです。
 そうならないためにも、嚥下(飲み込む)機能のリハビリテーションや口腔ケアを行って、口の中を清潔に保ちましょう。また、咀嚼(そしゃく:噛む)機能を向上させることも大切です。

 
口腔ケアで将来の健康を守ろう!

(出典) 厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」 (https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth
    財団法人8020推進財団「はじめよう口腔ケア」 (http://www.8020zaidan.or.jp/care/index.html

 

質の高い歯科医療を行う人材を育成する九州歯科大学 口腔保健・健康長寿推進センター DEMCOP

九州歯科大学組織図

 循環器内科の疾患や摂食嚥下障がいのある高齢者に歯科治療を行う歯科医には、優れた医療知識と技術、適切な医学的対応が求められます。九州歯科大学では、在学生への質の高い教育はもちろん、地域で活躍中の現役の歯科医・歯科衛生士への教育も行っています。
 その拠点となるのが、昨年開設した「口腔保健・健康長寿推進センター(DEMCOP : デムコップ)」。専門的な知識を習得する講義に加え、心電図のモニタリングや内視鏡を用いた嚥下機能の検査などの実習を行っています。

 「高齢化はどんどん進んでいるので、即戦力が必要。そのためには、学生を育てるだけでなく、既に歯科医・歯科衛生士として活躍されている先生方にも知識と技術を新しいものにアップデートしてもらう『リカレント教育』が大切です」と大渡教授。
 「福岡県民の健康に貢献できれば、という思いで、これからも歯科医としてのアプローチを模索するとともに、医師・看護師や言語聴覚士、管理栄養士など多職種の方々と協力し合って取り組んでいきます」。

 

小川知事と伊豆美沙子県議(視察当時文教委員長)による視察の様子

DEMCOPでは、内視鏡検査装置や心電図、高齢者型の人形「マナボット」を用い、摂食嚥下障がいや全身管理を必要とする患者を想定した演習を行うことができる

大渡 凡人 九州歯科大学教授

大渡教授は、全身疾患を抱えた高齢者の歯科医療に従事してきた経験を生かし、DEMCOPでリカレント教育を行う

 
問い合わせ九州歯科大学北九州市小倉北区真鶴2-6-1 電話 093-582-1131 ファクス 093-582-6000