海山の幸に恵まれ、豊かな食文化を誇る福岡県。
このコーナーでは、福岡県の農林水産業に従事する「人」と、
旬の福岡の「食」、そして、それらを「支える」取り組みなどを
4回にわたりお伝えします。
第2回の今回は、宗像市鐘崎で、家族とともに漁に励む
若き担い手を訪ねました。
海山の幸に恵まれ、豊かな食文化を誇る福岡県。
このコーナーでは、福岡県の農林水産業に従事する「人」と、
旬の福岡の「食」、そして、それらを「支える」取り組みなどを
4回にわたりお伝えします。
第2回の今回は、宗像市鐘崎で、家族とともに漁に励む
若き担い手を訪ねました。
漁師の道に進み3年。漁の難しさや面白さがようやく分かるようになってきたという、権田成さん
西日本有数の漁獲高を誇る、宗像市の鐘崎漁港。まき網、はえ縄、一本釣りなどさまざまな漁が営まれ、水揚げされる魚も多様です。中でも天然トラフグの漁獲量は、全国でもトップクラス。その鐘崎漁港を拠点に、第八幸漁丸(こうりょうまる)の権田成(ごんだなる)さんが漁に従事して3年になります。同じ漁船に乗る父親の修(おさむ)さん、兄の尚之(なおゆき)さんは、彼にとっては幼いころから憧れる漁師の先輩。「今は覚えることでいっぱいですが、大量に獲れた時のうれしさはたまらない」と語ります。
時には一週間近くも沖で寝泊まりしながら行う、過酷な漁。春はアマダイ、夏はアナゴ、冬はトラフグと、季節によって狙う魚も変わり、訪ねた日は、ちょうどアナゴ漁の真っ盛り。肉厚で質の良い天然アナゴは、県内一の漁獲量を誇り、宗像ブランドとして注目されています。アナゴ漁は仕掛けなどに費用がかかることから、漁を始めた当時は地元でも手掛ける船は少なく、第八幸漁丸はその先駆けです。
漁港では、3日ぶりに沖から戻った成さんたちが、あうんの呼吸で、獲れたアナゴを水揚げします。
陸(おか)にいる時間は、他の先輩漁師に教えを請い、豊漁を願いながら、船や道具の手入れも念入りに行っています。港の清掃も定期的に行い、世代を超えた漁師仲間との交流も大切にしています。
限りある資源を守るため、禁漁期を設け、稚魚の放流を行う漁師たち。「海を大切にしながら、これからも釣れる漁をしたい」。それが成さんの一番の願いです。
夏のアナゴ漁は、「かご漁」と呼ばれる漁法で行います。長いロープに細長い筒状の籠(かご)をいくつも結び付け、海に沈めます。
船を港に着けると、すぐに水揚げ作業に取り掛かる、成さんたち。アナゴを傷つけないよう、作業は手袋をして行い、兄の尚之さんとともに次々と手際よく輸送用のトラックに運ぶ
ピチピチと網の中でも跳ね回るアナゴたち
すぐに鮮度が落ちてしまうアナゴは、氷漬けもスピーディーに
アナゴ漁に使う籠。この中にイカやイワシなどの餌を入れ、ロープに取り付けて仕掛ける。幸漁丸では一回の漁で、1000個の籠を使う
宗像大社秋季大祭「みあれ祭」で初披露する、兄弟の名前入りの大漁旗
第八幸漁丸の権田さん一家とスタッフ。抜群のチームワークで取り組んでいる
福岡のトラフグ漁は主に「はえ縄漁」と呼ばれる漁法で行います。1本の幹縄(みきなわ)に、釣り針の付いた枝縄が多数付いたものを海に仕掛けていき、4時間ほどしてから引き上げていきます。
1回の漁で約30本のはえ縄を使用。総延長が30kmに及ぶことも
水揚げされた「鐘崎天然とらふく」
船槽から1匹ずつ丁寧に取り上げ出荷される
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