大刀洗陸軍飛行場があった筑前町周辺は、かつて空襲で1000人以上の命が失われた場所。平成21年に「大刀洗平和記念館」が開館する際、「心に届く朗読会をしてほしい」という町からの要望に応えたのが、地元出身で朗読ボランティア歴30年の竹中圭子さんでした。
以前から人権に関する朗読とピアノ生演奏の活動を行っていたメンバーを中心とする36人が、1日平均2回の朗読を分担して行っています。
「修学旅行などで訪れる若い人が、“感動した、来てよかった”って言ってくれると、平和への思いがつながっていくようでとてもうれしい」と、竹中さん。
館外でのイベント出演を含め、年間数多くの活動を通じて、戦争を知らない世代に平和と命の尊さを伝え続けています。
(1)毎年、記念館が開催している「ピースキャンドル」でも慰霊の朗読を行っている (2)朗読者、副朗読者、伴奏者の3人が1組となり、絵本や体験談を読み聞かせる
「ひょっとこ踊り」は、法被に豆絞り、一人一人異なるお面を付けた一行が輪になって踊る宮崎・日向で盛んな伝統芸能。平成7年に発足した「日向ひょっとこみわ愛好会」は、会長の桑野純子さんを中心とする10人ほどのメンバーでスタート。今では、30代から70代まで男女38人が踊り、見る人を楽しませています。
「慰問、敬老会、運動会…どこに呼ばれても笑いがあふれて、踊る側も見る側もストレス解消になるんです。3年間声を出して笑っていなかったおばあちゃんが笑ってくれた時はうれしかったです」と、桑野さんはほほ笑みます。
持ち前の明るさとチームワークで、日向で開かれる全国大会では毎年上位に入賞。今年8月には、念願の団体1位に輝きました。さまざまな場所で、笑顔の花を咲かせています。
(1)建築家、経営者、社会福祉士などさまざまな業種の人が踊る。中には夫婦で参加する人も (2)博多どんたくにも毎年参加。小川知事と一緒に (3)顔も表情もさまざまなお面が笑いを誘う
平成23年に県内有数の小麦の産地である筑前町で発足した「筑前麦プロジェクト」。きっかけは、中華料理店「永徳酒家」を営む委員長の日永田(ひえいだ)保徳さんの「店の裏手に広がる畑の小麦を商品にできないか」という思いからでした。
その熱意を受けた筑前町商工会とJA筑前あさくら、大陽製粉株式会社が手を取り合い、100%筑前町産小麦の商品を開発。平成24年6月から、町内の飲食店・洋菓子店、直売所など17カ所で販売したところ、これまでに累計7000個が売れました。
「価格は一般的な小麦よりも高いのですが、視察が増えるなど注目も高まっており、地元産小麦粉に価値を見いだす人が増えていると感じます」と、筑前町商工会の角田晋一さん。小麦を活用した新たな町おこしの可能性に未来を見つめます。
(1)町に広がる小麦畑 (2)平成24年6月に商品化された中薄力粉「筑前麦太郎」(500g300円)、強力粉「筑前麦夏ちゃん」(500g350円) (3)町内のうどん店「味由」の筑前麦太郎を使ったうどん。コシが強くもっちりとした食感が、今年7月に発売されたミシュランガイドでも評価された
10年ほど前に熊本で生まれた黒大豆の品種クロダマル。もともと大豆の産地である筑前町の新しい特産品にしようと、立ち上がったのが「筑前町クロダマル生産組合」です。
6年前、20sの種から始めた栽培も、今年は30トンの生産を見込めるまでに成長。最初は3人だった組合メンバーも、今では30代から70代まで23人に増えました。
飲食店や加工業者などが手がける加工品も86品にまで増え、評判も上々。リピーターも多く、喜びの声を聞くことで、生産者も手応えを感じています。
「町内の学校では、授業で栽培したり、給食のおかずに使われたりと、クロダマルは食育に取り入れられていますよ」と、代表の興膳(こうぜん)清治さん。今後は食品だけでなく、化粧品の開発なども視野に入れ、生産拡大に励みます。
(1)濃厚な味とコクが特徴のクロダマル (2)さまざまな加工品。中でも、副代表の品川さんが考案したドレッシングは年間約5000本もの売れ行き (3)人気の枝豆は10月中旬に旬を迎える