(1)周囲約4キロメートルの小さな島 (2)沖津宮。17世紀に社殿が建立されたとされる (3)半岩陰・半露天祭祀跡。祭祀に使われた鏡や土器など、8万点を超える出土品が国宝に指定 (4)視察する小川知事
宗像市・神湊港(こうのみなとこう)から約60キロメートル、玄界灘に浮かぶ絶海の孤島、沖ノ島。5月18日、「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議の視察団に同行しました。
島の外周は、岩が切り立った断崖絶壁で、まるで人の上陸を拒むかのよう。まずは、海に浸かり心身を清める「禊」(みそぎ)を行って上陸し、島の中腹にある沖津宮(おきつみや)を目指します。険しい山道を登ると、巨大な岩やうっそうと茂る原生林に囲まれ、ひっそりとたたずむ沖津宮が現れます。ここには、宗像三女神(さんじょしん)のうちの一柱、田心姫神(たごりひめのかみ)が祭られており、「日本書紀」によると、アマテラスとスサノオが誓約(うけい)(※)をした時に宗像三女神が誕生し、アマテラスが三女神に「永遠に国家を助けるように」と神勅(しんちょく)を下したとされています。
沖津宮の周辺には神に祈りを捧げた祭祀(さいし)跡があります。ここでは4世紀後半から9世紀末にかけて、中国大陸や朝鮮半島との対外交流の成就と航海の安全を願い国を挙げての盛大な祭祀が行われました。この遺跡からは、巨岩の上で行われていた祭祀が、時代の流れとともに、その場所を岩陰へ、岩陰から少し離れた場所へ、さらに岩から離れた平らな場所へと移しながら、約500年にわたり営まれてきたことが見てとれます。
島で見聞きしたことを一切口外しない、島外に一木一草一石(いち もく いっ そう いっせき)たりとも持ち出してはならないなどの禁忌により貴重な遺産・自然が残る、沖ノ島。今なお、神宿る島として崇(あが)められています。
※ 誓約…正しいかどうかを判断する占い