平成元年10月、廃線予定だった旧国鉄のローカル線を引き継ぎ、開業した「平成筑豊鉄道」。“へいちく”の愛称で地元の人に親しまれ、昨年2月、25周年を迎えました。
少子化などによる乗客数の減少などの課題を抱えながらも、地域の学生や車を持たないシニア層の足として、地元に欠かせない存在のへいちくは、利用客の増加を目指して、日々奮闘しています。
企画課長の石松祥宏さんは「中学生の職場体験の受け入れや、人気のクリスマス列車運行などのイベントを通して、へいちくに親しんで利用してもらえるようにがんばっています」と話します。
10月からは、沿線地域のお宅を一軒一軒訪問してのPR活動もスタート。地域の人の応援を励みに、一歩一歩前に進みます。
(1)伊田線直方〜金田間は、鉄道開業から2014年で120周年を迎えた (2)福智町、JAL、トヨタ九州と連携し、今年で3回目の開催となった「のりものフェスタ」。金田駅では車両を5両連結し「のりものマルシェ」を開催。約5000人の来場客でにぎわった (3)カレンダー(500円)やオリジナルキャラクター「ちくまる」グッズも好評販売中
1200年の歴史を持つ稲荷神社の氏子である金田一区の町民によって代々引き継がれてきた「金田稲荷神社一区獅子保存会」。町一番の祭りである秋の神幸祭(じんこうさい)で、「獅子楽」といわれる魔よけの獅子舞を奉納しています。
メンバーは子どもから年輩者まで50人ほど。雌雄2体の獅子頭を操る舞手は、経験年数が30年程度の中堅メンバー。舞の最中は子どもたちの踊りで華を添えます。
小学生の頃から30年以上、舞手を務める副代表の田中仁史さんは「歴史ある伝統芸能を私たちの代で絶やさないようにと、使命感に燃えています」と語り、後継者の育成にも励んでいます。
県内の芸能祭に参加するなど、獅子楽を伝え広げる活動にも熱心な保存会の皆さん。躍動感ある舞には、熱い思いがみなぎります。
(1)町指定無形民俗文化財に指定されている獅子楽 (2)神幸祭は、山笠とともに毎年10月の第三土曜・日曜に行われる (3)神幸祭が行われる稲荷神社。戦国時代、御神体をイチョウの根元に埋めて難を逃れたという言い伝えがある
オシャレなパッケージが目を引く「ふくち☆リッチジェラート」。商品を開発したのは、町役場とシェフや寿司職人など町の有識者で構成された特産品開発委員会です。
「ナシやイチゴなど地元産の加工用フルーツを使ったジェラートを作りたいと町役場から話があり、平成23年にみんなで作り上げました。その商品の販売やPRを担うのが『福智ブランドファクトリー』です」と話すのは、代表理事の中村隆さん。完成した4種類は平成25年9月から販売され、筑豊地域の飲食店やコンビニなど約30カ所で1万5千個を売り上げました。
「原料の確保や1個320円という値段など課題はありますが、今後は今まで商品化までいかなかった赤池梨やフルーツ以外の新作も考えたい」と、地元の素材にこだわった商品づくりに挑み続けています。
(1)「あまおう苺みるく」、「いちじく赤ワイン煮」のほか、地元の卵を使って「NPO法人博多ミラベル21」のシェフたちが監修した「カタラーナ」など現在5種類を販売。素材のフレッシュ感となめらかな舌触りが好評 (2)町のイベント「福智スイーツ大茶会」では、2日間で1000個を完売した
福智山の中腹で、緋(ひ)色の見事な花を咲かせ、春を告げる推定樹齢600年の一本桜。「虎尾桜」と呼ばれ、年間5千人が訪れます。26年前、枯死寸前の老桜を発見したのは、小林省吾さんと現在の会の仲間でした。
「早急な保護が必要と思い、枝先を持ち帰って、福岡県環境教育アドバイザーの熊谷信孝さんに調査を依頼したところ、当時県内では一本しか確認されていなかった、エドヒガンという希少種だと判明しました。それで、平成2年に7人で『虎尾桜を心配する世話人会』を立ち上げました」。
今では会員数も37人。登山家や上野焼の窯元など自然を愛する人たちが加わり、有機肥料をまいたり、ワイヤーで幹を支えるなど、保護活動に尽力してきました。これからも毎春の開花を願いながら、虎尾桜を見守ります。
(1)県内最大で最古のエドヒガン「虎尾桜」(樹高23m、幹周り3.83m)。山腹には「源平桜」など50本ほどの同種の桜が点在するという (2)最初はコケやシダが幹を覆い、枯死寸前だった (3)毎年春先には、花見客のために登山道を整備する