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グラフふくおか 2013夏号 SUMMER 通巻571号平成25年6月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

写真:グラフふくおか(2013 夏号)
写真:グラフふくおか2013夏号表紙

表紙紹介:福津市 福岡積層工芸ガラス(マルティグラス)

色の重なりから生まれる表情美

写真:福岡積層工芸ガラス

有限会社 マルティグラス
福岡県福津市宮司3丁目18-2
☎0940-34-5370

  色の異なるガラスを重ね合わせてつくる福岡積層工芸ガラスは、昭和12年のパリ万博で日本のガラスとして初めてグランプリを受賞した、歴史ある工芸品です。昭和63年には、県知事指定特産民工芸品に指定されました。福津市にある「有限会社 マルティグラス」では、今なおその技術を継承し、世界で一つの作品を生み出し続けています。
 室温が40度を超える工房では、その道50年以上のベテランを中心に、職人が一つ一つの作品を手作りしています。1500度の溶解炉でガラス原料を溶かし、ガラス生地を吹き竿の先端で巻き取って色ガラスを重ね合わせていくのが基礎となる工程。グラスの場合は、吹き竿を回しながらガラス玉の内部に息を吹き込んで膨らませていきます。干支飾りなどの装飾品は、ヤットコと呼ばれるハサミ状の工具で、生地を切ったり伸ばしたりして成形。熟練の職人の手にかかれば、あっという間に作品が姿を現します。どの工程も手先の器用さと職人同士のコンビネーションがものをいう、瞬間の技です。
 色ガラスの重ね方や厚みの違いなどによって、そのバリエーションは無数。光の屈折によって豊かな表情を生み出す福岡積層工芸ガラスは、節句などの贈り物として、また、日常使いのおしゃれな食器として親しまれています。

写真:職人歴52年の原田宗春さん(1)「思いどおりに成形できるようになるまで、最低でも3年かかります」と話す、職人歴52年の原田宗春さん