楽しみながら学ぼう!!
さあ、春の動物園へ!

ぽかぽかと春の日差しを感じられる季節になってきました。動物園では動物たちが春の陽気に誘われて、元気に動き回ったり、力強く躍動したり、生き生きとした姿を見せてくれます。県内の各施設では、持続可能な社会に向け、ワンヘルスやSDGs、動物福祉の実践など、それぞれ特徴的な取り組みを進めています。楽しみながら、学べる動物園に出かけませんか。

ワンヘルスとは?

福岡県は「ワンヘルス(One Health)」を推進しています。ワンヘルスとは、「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一つの健康と捉え、一体的に守っていくという考え方です。私たちが健康に暮らし、私たちの未来を守るための大切な取り組みです。

「動物福祉」で生活の質を向上

大牟田市動物園

人と動物が幸せに過ごせる場所を目指し、飼育動物の生活の質を向上させる取り組みを続け、動物福祉を広く発信しています。

背の高いキリンが近くに寄ってきて、飼育員の河野成史(かわのまさふみ)さんにペコリと頭を下げました。「首から採血をする練習です」と河野さん。針の代わりに竹串などを首元に当て、うまくできたら笛を吹いて餌を与えます。

キリンは長い首の先にある頭まで血液を送るために血圧が高い動物で、頭を下げたままの姿勢は楽ではないそう。これは、キリンの体に負担をかける麻酔を使わずに採血できるように行う訓練で、河野さんは「この子たちの協力なしではできません」と話します。

園ではライオンやレッサーパンダなど37種155匹を飼育。麻酔に頼らず、動物に採血や体重計測などに協力してもらうハズバンダリートレーニングに力を入れています。トレーニングの様子を見学し、理解を深めてもらうガイドも定期的に行っています。

園長の椎原春一(しいはらしゅんいち)さんは「健康診断は毎月行っており、異常にすぐ気付けます」と話します。その上で、「動物が精神的にも肉体的にも健康であることの大切さ、そういった動物福祉について、ここで一緒に考えていただけたらうれしいです」と、力を込めて語ります。

トレーニングを間近で見学

ハズバンダリートレーニングはさまざまな動物を対象にしており、決められた時間に獣舎へ行けば誰でも見学できます。ただ、動物の協力が欠かせないため、その時の気分や体調次第でガイドを中止することもあるそうです。(雨天時中止)
月曜/ 13:15… ……… ライオン
火曜/ 15:00… ……… サバンナモンキー
水曜/ 15:00… ……… キリン
木曜/ 13:15… ……… ライオン
金曜/ 15:00… ……… キリン

新しいモルモット舎が登場

3月完成、6月オープン予定の新しいモルモット舎では、屋内のイベントスペースが整備され、幼児から高齢者、ベビーカーや車いすを利用する人などのイベント参加が可能に。

現在60 匹ほどを飼育していますが、今後は約120匹に増やす方針です。新しい獣舎では、モルモットが自由に動き回る様子を観察できます。

ともだちや絵本美術館

2021年秋、敷地内に完成した「ともだちや絵本美術館」は、日本初の〝動物園にある絵本の美術館〟として、多彩な絵本原画の展示や、ワークショップを行っています。

絵本の読み聞かせができる「ともだちルーム」、お弁当などを持ち込める休憩スペース「のんびりホール」なども備えています。

動物園が映画の舞台に

2019年に公開された映画「いのちスケッチ」(瀬木直貴監督)は、大牟田市動物園が舞台。漫画家志望の青年が挫折し、故郷の動物園でのアルバイトを通じて、再び一歩を踏み出すストーリーです。動物福祉がテーマになっており、福岡市出身の俳優・佐藤寛太さんが主人公を演じました。

大牟田市動物園

大牟田市昭和町163

0944-56-4526

開:9:30~17:00(12月~2月は9:30~16:30)最終入園は閉園1時間前
休:第2、第4月曜(祝日などの場合はその翌日)、年末年始(12月29日~1月1日)
入:大人500円、小中学生100円、未就学児無料(※土日・祝日は高校生料金100円)

https://omutacityzoo.org/

本来の動きを観察!「行動展示」

福岡市動物園

市街地に近い都市型動物園で、親子連れやカップルでにぎわうほか、学校の遠足スポットとしても人気。2024年度は約83万人が訪れ、最近は外国人観光客の姿も見られます。

水深4メートルの大プールでは、31羽のフンボルトペンギンが元気よくダイブ――。プールは水流や波を発生させる仕組みで、自然の海の様子を再現しています。

これは動物本来の動きを引き出す行動展示の一つで、飼育第一係長の廣田淳一(ひろたじゅんいち)さんは「跳びはねて泳ぐ躍動感、スピードに注目してほしい」と話します。

園では全体をリニューアルする計画が進行中で、ペンギンエリアは2022年に完成しました。ゾウ舎の拡張工事も行われ、24年にミャンマーから来園したアジアゾウが、園の新たな顔になっています。

2026年2月現在、哺乳類36種、鳥類46種、爬虫(はちゅう)類10種の計92種425匹を飼育しています。オランウータンやコツメカワウソ、ツシマヤマネコのほか、ユニコーンのモデルとなったともいわれるアラビアオリックスなどの珍しい動物も見ることができます。

ペンギンの巣に草ストロー

ペンギン舎ではSDGsの取り組みとして、市内のカフェで使い終えた廃棄予定の草ストローを巣の材料に活用しています。
ペンギンの巣作りは2~3月頃で、4~5月は卵を産み子育てに入ります。

ペンギンたちはそれぞれ、好みの材料を集めて巣を作るそう。「草ストローはペンギンたちに好評のようです。プールの近くに巣があるので観察してみてください」と廣田さんは勧めます。

ここだけの限定グッズをチェック

土産品店「Gift Shop Petit Monde」では、ポストカードやおもちゃ、クッキー、どら焼きなど、さまざまな土産品を販売しています。中でも、ゾウやカワウソ、フンボルトペンギンなどをモチーフにした園限定のぬいぐるみが人気とのことです。※一部商品は販売終了の場合があります

相談員に質問してスッキリ問題解決!

「動物情報館ZooLab(ズーラボ)」は、骨格標本の展示やクイズなどで動物のことがもっと好きになる体験型の展示施設です。専門の相談員が対応する「どうぶつデスク」では、動物に関する「なぜ?」「どうして?」に答えてくれます。ワークショップなどのイベントも開催しています。

かわいい♡アニマルまん

軽食を販売する「こども動物園横食堂」では、動物をかたどったアニマルまんを4月頃まで販売しています。クマやパンダ、ヒヨコのかわいらしい顔をかたどっており、チョコ、あんこ、カスタード味などがあります。各250円

福岡市動物園

福岡市中央区南公園1-1

092-531-1968

開:9:00~17:00 最終入園は閉園30分前
休:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月1日)
入:大人600円、高校生300円、中学生以下無料

https://zoo.city.fukuoka.lg.jp/

自然に近い環境を再現

到津の森公園

自然に囲まれた北九州市小倉北区の動物園。緑豊かな園内で、どんな動物に出会えるのか、ワクワク感が高まります。

「茂みの中に隠れています。よく探してみて」。広報担当の山鹿舞子(やまがまいこ)さんが語りかけます。おりの中では、マンドリルが落ち葉や丸太の穴の中をのぞいて餌を探していました。

同園では、動物たちの運動場に土を入れ、木を植えて、自然に近い環境を再現。野生動物は採食行動に多くの時間を費やすことから、飼育員が餌を隠して野生の行動を引き出します。マンドリル担当の飼育員・小林弥生(こばやしやよい)さんは「彼らの生き生きとしている姿が楽しめますよ」と笑顔を見せます。

市民サポーターと共に

同園は1998(平成10)年に、前身の遊園地が閉園の危機を迎えましたが、「命を感じられる場所を残してほしい」と約26万人の署名が集まり、市が引き継ぎ2002(平成14)年に動物公園として再出発しました。

年間2000万円の餌代や治療費の大部分は、市民の支援で賄われています。「動物サポーター」や「友の会」の会員(個人は1口1000円から)を募っており、会員には年間パスポートやバックヤードツアーなどの特典があります。

ゾウの餌やりを間近で!

ゾウの餌やりも人気です。200円で餌のモナカを購入し、ゾウに手を伸ばすと、鼻先で受け取ってくれます。「ゾウの呼吸や鼻の力強さに驚くはずです」と山鹿さんは話します。

到津の森公園

北九州市小倉北区上到津4-1-8

093-651-1895

開:9:00~17:00(シーズンにより異なる)
休:火曜(シーズンにより異なる)
入:大人800円、中高生400円、4歳~小学生100円

https://www.itozu-zoo.jp/

小さな生命を受け止めて

ピクニカ共和国

飯塚市にある民間の施設で、小動物を中心に約60種800匹を飼育しています。

こどもに人気なのは、モルモット。200匹ほど飼っており、おやつをあげたり、膝の上で抱っこしたりできます。心ゆくまでふれあいを楽しむことができ、つぶらな瞳と、「ぷいぷいっ」と鳴くかわいらしい声に癒やされます。

初めて動物にふれる人にはヒヨコがおすすめ。手の中で包み込むようにすると、気持ちよさそうに眠ってしまい、愛らしい姿に時間を忘れます。

また、ポニーやリスザル、ヤマアラシ、フクロウなどのほか、アヒルやリクガメ、ネコといった動物にも出会えます。そのほとんどが、ペットショップや動物カフェが閉店したり、飼い主から虐待を受けたりして、行き場を失った保護動物だといいます。

園長の山本雅一(やまもとまさかず)さんは「命の大切さを学んでくれたらうれしい。動物を抱いて、その鼓動や温かさを感じてほしい」と呼びかけます。

移動動物園も展開

動物との“ふれあい”を街なかに届けようと、移動動物園も展開しています。アヒルやガチョウ、リクガメ、ポニーなどが出張します。ポニーの乗馬体験はとくに人気で、これまでに幼稚園や商業施設、道の駅などに出向きました。

ピクニカ共和国

飯塚市八木山長倉2288

0948-26-4822

開:10:00~17:00(7、8月の土日・祝日は10:00~18:00)最終入園は閉園30分前
休:水、木曜(12~2月は土日・祝日のみ開園)
※GW、春休み、夏休み期間中は無休
入:大人800円、3歳~中学生500円

https://piknica.com/

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