縄文時代から豊かな歴史と文化を受け継ぎ、人々の生活が脈々と営まれてきた鞍手町は、福岡市と北九州市のほぼ中間に位置し、2025年1月に町制施行70周年を迎えました。「ひとが輝き 笑顔あふれる ふれあいのまち」を目指して、「ひとの笑顔が地域を創(つく)る」をキャッチフレーズに、新たな時代へと歩みを進めています。
日本の近代化を支え、鞍手町の発展を牽引(けんいん)した石炭産業。役場庁舎の隣に立つ鞍手町歴史民俗博物館は、町の礎を築いた炭鉱の記憶を後世に伝える石炭資料展示室(別館)を新設し、2025年5月にリニューアルオープンしました。
石炭資料展示室では、ライトが付いたヘルメットと懐中電灯を貸し出しており、当時の姿で室内を巡ることができます。リアル感を出すために照明を落とした展示室には、実物大の坑道が再現されており、採炭現場のジオラマや貴重な映像資料などによって、当時の活気や厳しい作業環境を体感できます。
本館では、縄文時代の暮らしを伝える新延(にのぶ)貝塚の実物の貝層、古月横穴(ふるつきよこあな)や新延大塚古墳の出土品のほか、昭和の家庭の暮らしを紹介するコーナーもあり、町の歩みを楽しく学べます。
博物館そばには、大型遊具を備えた「こども広場」が2024年11月に誕生。斜面を上って遊ぶクライミングや幼児向けのコーナーもあり、こどもたちの元気な歓声が響いています。
町のほぼ中央にある剣岳(つるぎだけ)は「鞍手富士」の愛称で親しまれています。山頂の自然公園には、室町時代の応仁年間に築かれた城跡の一部が残り、町の景色が一望できます。剣岳の中腹に立つ八剣(やつるぎ)神社には、三種の神器の一つ「草薙(くさなぎ)の剣」がヤマトタケルノミコトによって納められたという伝説があります。
鞍手町は県内有数の巨峰の産地です。戦後、炭鉱のボタ山の南側斜面を利用して栽培が始まり、現在の生産面積は約40ヘクタールと筑豊地区で最大になりました。「鞍手ぶどう」の名でブランド化に取り組んでいます。
この巨峰を使った微炭酸飲料が「やさしい巨峰サイダー」。季節を問わずに自慢の味を届けたいと、JA直鞍が商品化を進め、町のふるさと納税返礼品にもなっています。
JA直鞍の農産物直売所。県道55号沿いの緑色の屋根が目印です。旬の朝採り野菜を手頃な価格で購入できます。地元の農産品を使った総菜やドレッシングなどの加工品も人気が高く、週末には地元はもちろん遠方から訪れる客でにぎわいます。
永谷万年願(ながたにまんねんがん)盆綱引き
毎年8月14日の夜、永谷地区の真教寺山門前で地元住民が上組と下組に分かれて、大綱引きを盛大に行います。江戸時代に飢餓と悪疫から救った博多の豪商・白水幽心(しろうずゆうしん)の恩恵を忘れず、先祖の菩提(ぼだい)に供えるために万年願をかけた盆綱引きが行われるようになったといわれます。
長谷寺(ちょうこくじ)にある国指定の重要文化財「木造十一面観音立像」。地元では「長谷(はせ)観音」と呼ばれています。頭頂から台座の蓮肉部まで一木で造られ、平安時代前期の様式を受けた気品のある美しい姿が特徴。春の大祭(4月17、18日)と秋の大祭(10月17、18日)で、ご開帳されます。