「時間の旅」次代へ

九州国立博物館は10月16日に開館20周年を迎えます。「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」をコンセプトに掲げ、2005(平成17)年、国内4カ所目の国立博物館として、古くからアジアとの外交の要衝だった太宰府の地に開館。以来、国内外の優品を紹介する趣向を凝らした展示を行い、来館者に新しい世界との出会いを届けてきました。20年の節目に、その時代に入り込むような「時間の旅」で歴史の面白さ、九州の素晴らしさ、博物館の楽しさを体感してみませんか。

20周年記念の新施設

あんしんルーム

光や音、におい、人の多さなどからくる刺激に敏感な人が気持ちを落ち着かせるための部屋です。イヤーマフなどのグッズも準備されていて、安心して博物館を楽しむことができます。

文化交流シアター

壁3面と床に投影した映像コンテンツで、没入感のある体験ができます。奈良時代からの太宰府の歴史をたどる「太宰府タイムトリップ」と、床に投影されたアイコンを踏むと博物館の展示内容が解説される「キューハクふむふむ」が交互に上映されます。

開館20周年応援大使

井上芳雄さん

九州国立博物館開館20周年おめでとうございます。日本とアジアの文化交流の歴史から、新たな発見の機会を与えてくれる九博が大好きです。これからも、福岡をはじめ、九州、そして全国の皆さまに愛される博物館として歩みを進めていってもらえたらと思います。


■井上芳雄(いのうえ・よしお)さん
1979 年生まれ。福岡市出身。東京藝術大学音楽部声楽科卒業。同大在学中の2000年にミュージカル「エリザベート」の皇太子ルドルフ役でデビュー。高い歌唱力と存在感で数々のミュージカルや舞台の主演を務めるほか、コンサートの開催、音楽・バラエティ番組への出演、MC など幅広く活躍。

開館20周年記念 特別展

法然と極楽浄土

困難な時代に希望を与えた
法然ゆかりの宝物と
浄土教美術の名品が勢ぞろい

内乱や災害・疫病で世が乱れた平安時代末期、法然(ほうねん)(1133~1212年)はただひたすらに阿弥陀仏(あみだぶつ)を信じて「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と称(とな)えれば、誰もが等しく極楽浄土(ごくらくじょうど)に往生(おうじょう)できると説き、浄土宗を開いたとされます。万人の救済を目指した法然の教えと生き様、開宗850年を昨年迎えた浄土宗の歴史を、国宝や重要文化財など計113件からたどります。

飛雲に乗って来迎図の最高峰

前期
国宝

阿弥陀二十五菩薩来迎図あみだにじゅうごぼさつらいごうず
早来迎はやらいごう

鎌倉時代・14世紀 京都・知恩院

桜が咲き誇るなか、阿弥陀が来迎する様子のスピード感まで表現した来迎図の最高傑作。

貴重な自筆 浄土宗の聖典

前期

重要文化財
選択本願念仏集せんちゃくほんがんねんぶつしゅう
(廬山寺本)

鎌倉時代・12~13世紀 京都・廬山寺

現存する自筆が少ない法然が、関白・九条兼実(くじょうかねざね)に請われて著したとされる主著。冒頭の2行は法然の自筆と伝わる。浄土宗で第一の聖典と位置付けられ、「南無阿弥陀仏」を称える教えを詳しく説いています。

往生者を導く優美な姿

通期

阿弥陀如来立像あみだにょらいりゅうぞう
(見返り阿弥陀)

鎌倉時代・13 世紀 山形・善光寺

阿弥陀が往生者(おうじょうしゃ)を極楽浄土に導く際、後ろを振り返る様子を表現。その姿は360 度どこから見ても慈しみに満ちています。

迫力のある若き日の法然上人

通期

重要文化財
法然上人坐像ほうねんしょうにんざぞう

鎌倉時代・14 世紀 奈良・當麻寺奥院

数少ない法然の彫像で、奈良・當麻寺(たいまでら)奥院で年に1回だけ御開帳されます。絵画からうかがえる法然像の特徴とは異なり、この像の頭部は丸く、壮年期の姿をあらわしています。

開館20周年記念展示・イベント

九博の先駆け 明治の博覧会

特集展示「太宰府博覧会と鎮西(ちんぜい)博物館-明治時代の博物館構想-」


10月21日(火)~11月30日(日)

1873(明治6)年、九州初の博覧会「太宰府博覧会」が開催され、その20年後には太宰府の地に常設の展示施設「鎮西博物館」の建設が提唱されます。当時の資料などを紹介し、九州国立博物館にとって重要な意義を持つ二つの出来事を振り返ります。

鎮西博物館ちんぜいはくぶつかん 歴史参考之備品れきしさんこうのびひん
1896(明治29)年 福岡市博物館
歴史の中のスイーツを探ろう

きゅーはく秋のツアー甘味求心かんみきゅうしん

10月7日(火)~12月21日(日)

展示室などを巡って作品を観賞するツアー。「甘味」「スイーツ」をテーマに、砂糖やお菓子にまつわる美術工芸品、考古資料、歴史資料などを紹介します。

色絵花鳥三果文大鉢いろえかちょうさんかもんおおばち
江戸時代・17 世紀後半 佐賀・伊万里(有田)・柿右衛門窯
九州の無形文化遺産の公演

九州のユネスコ無形文化遺産をはじめとする伝統芸能を実演し、地元の観光地や特産品なども併せて紹介します。


10月11日(土)

平戸のジャンガラ

長崎県平戸市に伝承される念仏踊(ねんぶつおどり)。毎年8月に各地区で奉納されます。地区ごとに特徴のある花笠衣装や舞が見どころです。
公演・物販:10月11日(土)
パネル展示:10月7日(火)~13日(月・祝)


10月26日(日)

大分だいぶの獅子舞

飯塚市大分に伝わる郷土芸能。村人が京都・石清水(いわしみず)八幡宮で習得し、1724(享保9)年の秋の放生会で奉納したとされ、2頭の獅子が一対となって舞い踊ります。
公演・物販:10月26日(日)
パネル展示:10月21日(火)~26日(日)

九州国立博物館

太宰府市石坂4-7-2

開館時間:9時30分~17時00分(特別展開催中の金曜・土曜は20時00分まで夜間開催)
※入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜(月曜が祝日・振替休日の場合は翌日)、年末

観覧料・文化交流展(平常展):一般700円、大学生350円、高校生以下
または18歳未満・満70歳以上は無料

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