祝いの席に出されることが多く、日本人にとって特別な魚・マダイ。糸島市は、全国有数の漁獲量を誇ります。玄界灘の速い潮の流れで育ったマダイは身が締まり、その味わいは格別です。
糸島がマダイの有数の産地となっている要因に地形が挙げられます。海と山が近く、森の養分を含んだ水が山から海に流れ込みます。糸島半島沖合の海域は起伏に富み、稚魚の生育にも適しています。この豊かな自然が、糸島の天然マダイを育んでいるのです。
糸島漁業協同組合に所属する漁師の多くは、5~12月にかけて行われる伝統漁法「ごち網漁(あみりょう)」でマダイを獲ります。ごち網漁は、袋状の網ですくい上げるようにして獲る漁法で、経験と勘が欠かせないそうです。
「良い時ばかりではないけれど、たくさん獲れた時の喜びがごち網漁の魅力」と漁師の仲西一男(なかにしかずお)さん。大物を手にして、満面の笑みです。
糸島漁協船越支所長の松隈徹(まつぐまとおる)さんは、「おいしく味わうなら、だしのうまみが効いた吸い物や鯛(たい)飯、ぷりぷり食感が楽しめる刺し身がおすすめ。旬を味わえるのが天然物の良さ。漁獲量が注目されがちですが、多くの人に糸島の天然マダイを食べてほしい」と話します。
糸島漁協の直売所「JF糸島 志摩(しま)の四季」には、地元で水揚げされた新鮮な魚介類が並び、天然マダイも購入できます。
海況によっては鮮魚の入荷がない日もありますが、店頭にはマダイを使ったラーメンやマダイをだしに使った鯛液みそなどの加工品もそろえています。