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2017 冬号 WINTER 通巻589号 平成29年12月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

きらめきマイタウン 直方市

 

たくみのたまご

 

高校生レストランで
直方から未来の“たくみ”を

 直方市の古町商店街には、月に1~2回だけ営業するレストラン「たくみのたまご」があります。運営するのは、大和青藍(やまとせいらん)高等学校調理部の生徒たち。「現場での経験を通して、理想と現実のギャップを知り、仕事の本当の楽しさややりがいに気づくことができたら」と平成24年にオープンしました。

 メンバーは1年生から3年生まで計31人。和食や洋食、それぞれのプロを目指す生徒たちが、材料の発注や仕込み、接客などレストラン運営の全てを自分たちで担っています。「レストランの運営はチームワークが大事。周囲の意見を大切にすることを学んだ」と部長の田中円(たなかつぶら)さん。お客さまの「おいしい、ありがとう」の声にやりがいを感じながら、「将来はレストランで働きたい」と夢に向かって仲間と切磋琢磨しています。

「たくみのたまご」を運営する調理部の生徒と顧問の先生たち

「たくみのたまご」を運営する調理部の生徒と顧問の先生たち。厳しい料理の世界へと進む彼らにとって、たくみのたまごの活動は貴重な修行の場にもなっている

 
たくみのたまごの名物、お持ち帰り用の『藍カレー』

「たくみのたまごの名物、お持ち帰り用の『藍カレー』もおすすめです」と部長の田中さん

洋食と和食それぞれのセットやデザートを提供

洋食と和食それぞれのセットやデザートを提供。現在の店舗は約30席だが、将来的にはもっと大きな店舗での運営を目標にしている

 

NPO法人直方川づくりの会

 

“夢の遠賀川づくり”を通して
まちづくりと人づくりを

 穏やかに流れる遠賀川と美しい河川敷の風景は、自然豊かな直方市の象徴ともいえる存在。しかし、以前は石炭産業の影響で川は黒く濁り、地域の人々さえ近づくことはなかったといいます。

 そうした中、「身近な川のことをみんなで考えたい」と平成8年に「直方川づくりの交流会(現在のNPO法人直方川づくりの会)」が発足。50年後の遠賀川をこんな姿にしたいという思いを描いた「遠賀川夢プラン」を作成し、河川敷の整備やオートキャンプ場の開設など、行政と協力しながらその夢を一つ一つ実現してきました。そして、平成16年にかなえた大きな夢が、川づくりの拠点として市民の学習の場になっている遠賀川水辺館の開館です。現在、水辺館では小さな子どもから大人まで、多くの市民がさまざまな活動を行っており、「世界子ども水フォーラム」に参加するなど活躍の場は広がっています。

遠賀川水辺館では、誰もが川やそこに住む生き物、環境について自由に学ぶことができる

 
ビオトープ「春の小川」では、たくさんの川の生き物に出会うことができる

年間約50校の小中学校が勉強に訪れるというビオトープ「春の小川」。ここでは、たくさんの川の生き物に出会うことができる

メンバーは22人

メンバーは22人。「ここで学び、環境に関する仕事に就いた子も。会のテーマである“川づくりは人づくり”が実現していることがうれしい」と代表の野見山(のみやま)ミチ子さん(左から2番目)

 

古高取(こたかとり)を伝える会

 

直方市の、そして福岡の宝を
広く伝えていきたい

 遠州七窯の一つとして名を高め、現在も県内各地に窯元がある高取焼は、1606年に福岡藩主・黒田長政が朝鮮陶工の八山(はちざん)に命じ、現在の直方市にある永満寺・宅間に窯を開かせたのが始まりといわれています。この高取焼の中で、直方にあった宅間窯や内ヶ磯窯、山田窯で焼かれたものを「古高取」と呼びます。茶陶(茶の湯に用いる陶器)として多くの名品を生み出した「古高取」の魅力を伝える活動をしているのが、平成20年に発足した「古高取を伝える会」です。

 「いずれは、膨大な数の発掘出土品や高取焼に関する資料を展示し、直方市民をはじめ多くの人々に古高取の魅力を発信する資料館を」と語るのは、事務局長の末松登志子(すえまつとしこ)さん。約70人のメンバーと共に直方の素晴らしい宝を後世に伝える活動に励んでいます。

学習会を開いたり、窯元を見学したりするなど精力的な活動を行っている

 
内ヶ磯窯跡から発掘された沓形茶碗

現在は福智山ダムの底に眠る内ヶ磯窯跡から発掘された沓形(くつがた)茶碗

毎年市内の小学6年生を対象に高取焼の歴史を伝える焼物教室を開催

会では毎年市内の小学6年生を対象に高取焼の歴史を伝える焼物教室を開催している。新入小学校での子供焼物教室では焼き上がった自分のお茶わんでお茶会が行われる

 

NPO法人汽車倶楽部

 

石炭と鉄道のまちの財産を
次世代へとつなぐ

 かつて石炭産業で栄えた直方にとって、石炭と関わりの深い蒸気機関車は、まちの歴史を語る大切な遺産。その蒸気機関車に、時代をつくってきた人と人との「絆」を、次の世代へと運んでもらう事をテーマに活動する「NPO法人汽車倶楽部」では、現在、蒸気機関車6両の修復や定期的な保守管理を行っています。

 理事長の江口一紀(えぐちかずのり)さんは、平成11年に個人で蒸気機関車を取得し、修復を行ったことがきっかけで汽車倶楽部を立ち上げましたが、「自分は決して“鉄道マニア”ではない」と語ります。「個人で収集したものはいずれただのゴミになってしまう。そうではなく次世代へとつなぎ、教育やまちづくりに貢献できたら」と江口さん。市内の小学校の社会科見学にも協力しています。

メンバーは約80人

メンバーは約80人。月に1度、県外からもメンバーが集まり、蒸気機関車の手入れをしている

 
汽車倶楽部が運営する「九州レイルウェイショップ」の、迫力満点の鉄道模型

汽車倶楽部が運営する「九州レイルウェイショップ」には、迫力満点の鉄道模型が。かつて直方にあった「直方機関区」が復元されている

社会科見学では、実際に石炭を燃やしたり、蒸気機関車のブレーキに触るなど、普段ではできない体験ができる