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グラフふくおか 2015秋号 AUTUMN 通巻580号平成27年9月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

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きらめきマイタウン −糸島市

「サンセットライブ」実行委員会
写真:サンセットライブの様子

潮風と太陽、心地のよい音楽。芥屋(けや)海水浴場を舞台に、約80組のアーティストが集結し、毎年8月末から9月初旬の3日間開催される

瑞峰(ずいほう)
写真:宿泊施設「瑞梅寺山の家」

自然を思う存分満喫できる宿泊施設。地元メンバーら8人で管理している

糸島の自然に恩返しを。九州最大の音楽イベント

 今年で23回目を迎えた「サンセットライブ」は、九州を代表する夏の野外音楽フェスティバルとして知られています。その始まりは、二見ヶ浦(ふたみがうら)でビーチカフェを営むオーナーの林憲治(はやしけんじ)さんが「日頃から恩恵を受けている糸島の自然に恩返しをしたい」と思い立ったことから。1993年から有志で始めた手作りのライブは、今や全国から約1万5000人が集まる一大イベントになりました。
 年々盛り上がりを見せる中、頭を悩ませたのはゴミの問題。使い回せる食器を使用したり、ゴミの分別を来場者自らに行ってもらうなど、環境に配慮したイベントづくりを心がけています。
 「自然の素晴らしさに気付いてもらえれば、環境を守ろうという意識につながるのでは」と林さん。日頃からビーチの清掃を行うなど、糸島を愛する仲間と活動を続けています。

自然の癒やしと、都会では日頃できない体験を

 過疎化のため昭和49年に廃校となった瑞梅寺(ずいばいじ)小学校を活用した宿泊施設「瑞梅寺山の家」。「自分たちが通った思い出の小学校跡地で地域を盛り上げたい」と、地元出身の井上和雄(いのうえかずお)さんを会長として、管理委員会を発足。脊振(せふり)山系の雄大な山の麓(ふもと)にあることから「瑞峰」と名付け、一般の人が宿泊できるバンガローやキャンプ場、研究室などを運営しています。
 県外から合宿で訪れる団体も多く、申し込みの多い夏休みや週末は抽選になることも。「日頃できないことを体験してほしい」と始めた炭焼きや草木染めの体験も好評で、毎回親子10組ほどが参加しています。
 「川のせせらぎと虫の音(ね)だけでなんにもない所ですが、自然の癒やしを感じに来てほしい」と井上さん。山間部と都市部をつなぐ懸け橋として元気いっぱいに地域を盛り上げています。
写真:「サンセットライブ」実行委員会の林憲治さん写真:定期的に地元有志で行われている砂浜の清掃活動の様子

(1)「サンセットライブ」実行委員会の林憲治さん (2)定期的に地元有志で砂浜の清掃活動も行っている

写真:「瑞梅寺山の家」指定管理者 「瑞峰」会長の井上和雄さん写真:山の家を活用した体験企画の様子

(1)「瑞梅寺山の家」指定管理者 「瑞峰」会長の井上和雄さん (2)年に数回、山の家を活用した体験企画も実施

おもちゃ病院 伊都国
写真:「おもちゃ病院 伊都国」代表の波多江保彦さん(前列左)とメンバーの皆さん

「おもちゃ病院 伊都国」代表の波多江保彦(はたえやすひこ)さん(前列左)とメンバーの皆さん。ドクターやナースとして壊れたおもちゃの修理に当たる

認定NPO法人九州補助犬協会
写真:補助犬

「介助犬」は車椅子を利用する人などを、「聴導犬」は耳の不自由な人を日常的にサポート。心の友としての役割も大きい

ものを大事にする心を育てる環境啓発活動

 お子さんがクラブ活動で作った電子小鳥の修理をしたことがきっかけで、退職後の平成19年、壊れたおもちゃを無償で修理する「おもちゃ病院 伊都国」を仲間4人と立ち上げた波多江保彦(はたえやすひこ)さん。現在は、23人のボランティアで月2回定期的に“診察”や“治療”を行っています。
 開始当初から依頼が殺到しているおもちゃの修理は、小・中学校での修理体験学習や、福祉施設などへのおもちゃの寄付にも発展。環境意識の啓発にも一役買っています。
 「特技を生かして地域に貢献できるし、何より治ったおもちゃを見て、目を輝かせる子どもたちの笑顔が最高のごほうびです」と孫世代との交流を楽しみにしているメンバーの皆さん。今後も「知恵と手を出し合って」をモットーに、ものを大事にする心を育てていきたいと張り切ります。

九州から補助犬の普及を目指して

 補助犬とは、盲導犬・介助犬・聴導犬の総称。平成27年8月現在、全国で盲導犬は984頭、介助犬は74頭、聴導犬は61頭が活躍しています。平成18年、九州ではまだ1頭もいなかった介助犬・聴導犬の普及を目指そうと、理事長の桜井恭子(さくらいきょうこ)さん夫妻が「九州補助犬協会」を立ち上げました。桜井さんたちのサポートで介助犬と暮らすための訓練を受けた2人が、難易度の高い厚生労働省の認定模擬審査に合格。そのうち1人は県内在住の方で、平成22年から介助犬との生活をスタートさせています。
 「一般の方にまだまだ認知されていない介助犬や聴導犬ですが、私たちが九州の認定窓口になって各県に1頭ずつ増やしていければ、存在が身近になって理解が深まるのでは」と桜井さん。障害のある人の自立と社会参加を促す社会の実現を目指します。
写真:興味津々で修理を見つめる男の子写真:命をよみがえらせたおもちゃたち

(1)壊れたおもちゃを持ってきた男の子は興味津々で修理を見つめる (2)大切な思い出とともに、命をよみがえらせたおもちゃたち

写真:理事長の桜井恭子さん(左)、副理事長の昭生(あきお)さん、スタッフの今田晶子(いまだあきこ)さん写真:月1回行われる市内外の病院や老人ホーム、学校訪問の様子

(1)理事長の桜井恭子さん(左)、副理事長の昭生(あきお)さん、スタッフの今田晶子(いまだあきこ)さん (2)市内外の病院や老人ホーム、学校を月1回のペースで訪問。治療などを目的としたセラピー犬の育成も行う