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グラフふくおか 2013夏号 SUMMER 通巻571号平成25年6月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

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協働のススメ

県では、NPO・ボランティアや企業、行政など、多様な主体の「協働」による“新しい共助社会”づくりを進めています。このコーナーでは、毎号、新しい共助社会づくりに取り組む皆さんをご紹介します。

写真:「ワークショップたちばな」の製菓チームは、施設利用者24人、スタッフ8人で構成。
「ワークショップたちばな」の製菓チームは、施設利用者24人、スタッフ8人で構成。製造班と梱包班に分かれて作業しています

働く障害者の収入アップを応援!如水庵×障害者施設で作る「はかたサブレ はつこい」

プロの技術指導で魅力のあるお菓子づくりに挑戦

 「はかたサブレ はつこい」は、福岡市東区の障害者施設「ワークショップたちばな」をはじめとする県内の5施設と「株式会社 如水庵」の共同製作で、平成24年2月に誕生しました。「働く障害者の収入アップに繋がるような魅力のあるお菓子を作りたい」と、施設側がプロの技術指導を受けられないかと考えたことがきっかけ。「博多で長く愛されるお菓子づくりに専心されている如水庵さんにお願いしてみたところ、『私たちでお役に立てるなら』と快く引き受けてくださいました」と、ワークショップたちばなの担当ディレクター、上谷洋子さんは振り返ります。

 月1回、各施設が集まる会議に如水庵のスタッフも同席。「複数の施設で作っても味や焼き上がりが均一で、子どもからお年寄りまで食べやすいお菓子」を作ることを目標に工夫を重ね、価格やデザイン、ネーミングに至るまで綿密に企画されました。

サブレの空港デビューがさらなる「やりがい」に

 話し合いを重ね、最終的に決まったのが、国産の米粉を使ったサブレでした。「機械では出せない手作り感を大事にしたいと思いました。味が変わらないよう材料は全て同じ所から仕入れ、生地の絞り出しの量や成形の仕方を施設利用者の皆さんに教えたり、各施設の設備に合わせて焼き上がりまでの指導を細かく行っていきました」と如水庵の森純子副社長。20回以上の試作を繰り返し、1年半かかって完成させた商品は、5施設で販売され、今では100個単位の大口注文も入るように。さらには「空港オリジナル」のサブレも誕生し、今年5月から福岡空港での取り扱いが始まりました。「レシピや技術の無償提供だけでなく、ビジネス面でのアドバイスも勉強になりました。この経験を励みに、ここからまたがんばります」と、現場リーダーの六車朋篤さん。この1年で約1万個のサブレを売り上げた製菓チームは、生き生きとやる気がみなぎっています。

「はかたサブレ はつこい」ゴマ味は、「ときめきショップありがた屋」(福岡市中央区薬院)でも販売。
「はかたサブレ はつこい」ゴマ味は、「ときめきショップありがた屋」(福岡市中央区薬院)でも販売。アールグレイ風味の「空港オリジナル」は福岡空港にて販売中
写真:ベースの線を頼りに同じ太さと幅になるよう生地を絞り出していきます。
ベースの線を頼りに同じ太さと幅になるよう生地を絞り出していきます。ほろほろと繊細な口溶けのサブレは、手作業でしか生み出せません
株式会社 如水庵 副社長 森純子さん
地道な作業に努力されている施設利用者の皆さんの姿に心を打たれました。一人一人がもっとハッピーになれるようにとの思いが、こうして形になったことを嬉しく思っています。
ワークショップたちばな ディレクター 上谷洋子さん
如水庵さんとみんなのがんばりのおかげで、売り上げも好調です。空港オリジナルの反響がまた障害者のやりがいに繋がっていくと思いますので、期待しています。
ワークショップたちばな 現場リーダー 六車朋篤さん
サブレの形が崩れないようにパッケージデザインを工夫しました。ゴマ味の商品ラベルには障害のある作家が描いたイラストを起用しています。
写真:株式会社 如水庵 副社長 森純子さん 写真:ワークショップたちばな ディレクター 上谷洋子さん 写真:ワークショップたちばな 現場リーダー 六車朋篤さん
株式会社 如水庵
福岡市にある老舗和菓子店。「もなか黒田五十二萬石」「筑紫もち」など、良質の素材を吟味し地域から愛されるお菓子づくりに尽力するとともに、博多文化の継承に努める。
ワークショップたちばな
平成15年に設立された「社会福祉法人 明日へ向かって」が運営する障害者施設。授産品を販売する「ときめきショップありがた屋」を運営するなど、110人を超える障害者の働く場を作る。

問い合わせ 福岡県NPO・ボランティアセンター ☎092-631-4411 福岡県 NPO