県では、NPO・ボランティアや企業、行政など、多様な主体の「協働」による“新しい共助社会”づくりを進めています。このコーナーでは、毎号、新しい共助社会づくりに取り組む皆さんをご紹介します。
「はかたサブレ はつこい」は、福岡市東区の障害者施設「ワークショップたちばな」をはじめとする県内の5施設と「株式会社 如水庵」の共同製作で、平成24年2月に誕生しました。「働く障害者の収入アップに繋がるような魅力のあるお菓子を作りたい」と、施設側がプロの技術指導を受けられないかと考えたことがきっかけ。「博多で長く愛されるお菓子づくりに専心されている如水庵さんにお願いしてみたところ、『私たちでお役に立てるなら』と快く引き受けてくださいました」と、ワークショップたちばなの担当ディレクター、上谷洋子さんは振り返ります。
月1回、各施設が集まる会議に如水庵のスタッフも同席。「複数の施設で作っても味や焼き上がりが均一で、子どもからお年寄りまで食べやすいお菓子」を作ることを目標に工夫を重ね、価格やデザイン、ネーミングに至るまで綿密に企画されました。
話し合いを重ね、最終的に決まったのが、国産の米粉を使ったサブレでした。「機械では出せない手作り感を大事にしたいと思いました。味が変わらないよう材料は全て同じ所から仕入れ、生地の絞り出しの量や成形の仕方を施設利用者の皆さんに教えたり、各施設の設備に合わせて焼き上がりまでの指導を細かく行っていきました」と如水庵の森純子副社長。20回以上の試作を繰り返し、1年半かかって完成させた商品は、5施設で販売され、今では100個単位の大口注文も入るように。さらには「空港オリジナル」のサブレも誕生し、今年5月から福岡空港での取り扱いが始まりました。「レシピや技術の無償提供だけでなく、ビジネス面でのアドバイスも勉強になりました。この経験を励みに、ここからまたがんばります」と、現場リーダーの六車朋篤さん。この1年で約1万個のサブレを売り上げた製菓チームは、生き生きとやる気がみなぎっています。