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2019 冬号 WINTER 通巻597号 令和元年12月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

特集第10回海外福岡県人会世界大会

海外福岡県人会
県費留学生OGインタビュー

 

子どもたちに日本を見せる。その機会がある素晴らしさ

パラグアイ福岡県人会

熊谷清美(くまがい きよみ)さん

 
熊谷清美(くまがい きよみ)さんの写真

Profile

1992年に、県費留学生として九州大学歯学部に留学。現在はパラグアイの南部、エンカルナシオン市で歯科クリニックを経営。パラグアイ福岡県人会会計担当

熊谷清美(くまがい きよみ)さんのお仕事の様子

 
 

 私は、パラグアイ出身の日系二世です。母は12歳の時に八女市から、父は16歳の時に杷木町からパラグアイに移住しました。父は18歳の時に町の木工所で働いていましたが生活は本当に大変だったそうです。両親は自分たちが苦労した分、私たち四姉妹に「必ず大学に行きなさい」と言い聞かせ、大学に行かせてくれました。今では両親に感謝の気持ちでいっぱいです。

 私は、1990年にブラジルのサンタマリア国立大学を卒業し、1992年から1年間、県費留学生として九州大学歯学部に留学しました。初めは環境に慣れずにすごく大変でした。大学の教授は厳しかったですが、とても良い方で、いろいろな場面で力になってくださいました。勉強だけでなく、医局のみんなで旅行やカラオケ、ゴルフ、野球などを楽しみ、1年間があっという間に過ぎました。今では福岡に来た時に当時の仲間と会えることが楽しみで、思い出話に花を咲かせています。当時、両親の実家にも行きましたが、想像以上に山奥で驚きました。両親は2013年に福岡で開催された世界大会に参加し、故郷を訪問することができてとてもうれしかったそうです。

 パラグアイの福岡県人会は現在52家族の会員がいます。私は会計を担当しており、ゲートボールや魚釣りなどの行事を開催しています。福岡県人会には県費留学生制度や担い手育成招へいプログラムがあり、子どもたちに自身のルーツである福岡を見せる本当に素晴らしい機会だと思います。子どもたちにはルーツである福岡のことや、日本語を学ぶことの大事さを伝えたいと思います。

 1998年にハワイで開催された世界大会にも参加しましたが、福岡での世界大会には初めて参加しました。本当に素晴らしい大会で、友人との再会、各国の県人会の方と友人になることができてとてもうれしく思います。これからも故郷である福岡への思いを深め、また皆さんと出会える日を楽しみにしています。

熊谷清美(くまがい きよみ)さんのご家族の写真
 

二世、三世たちが祖先の歴史・文化に触れる素晴らしい経験

ブラジル福岡県人会

古川(ふるかわ)・植松(うえまつ)・マルシアさん

 
古川(ふるかわ)・植松(うえまつ)・マルシアさんの写真

Profile

1996年に県費留学生として九州大学法学部に留学。帰国後、猛勉強して国立社会保険院の公認弁護士に。さらに第3地方連邦司法の試験に合格。現在はサンパウロ州のサントアンドレ市で連邦判事を務める

古川(ふるかわ)・植松(うえまつ)・マルシアさんのお仕事の様子

 
 

 私は、1996年に県費留学生として九州大学法学部に留学し、国際法を学びました。また、私の長男も今年度の担い手育成招へいプログラムで、福岡に来日しました。息子は短期間でしたが、福岡の歴史や文化を学んだ他、いろいろな経験をしたことで物事を深く考えられるようになり、よりグローバルな世界観を身に付けたようです。「将来福岡へ留学する」という大きな夢を持ってブラジルへ帰国しました。私たちは親子で素晴らしい経験をさせていただきました。

 私は、九州大学で学んだ法律分野の知識だけではなく、日本の日常生活を知ることで人としても大きな成長を遂げました。その経験を生かし、バランスのとれた法律家になれたと思います。

 私の祖父母は、より良い生活を求め、故郷の家族や友人と別れ、夢を追ってブラジルへ移住しました。移住後はとても苦労したと聞きました。私が祖父母のルーツである福岡へ留学生として訪れ、彼らの故郷を知り、親戚にも会えたことは祖父母にとって、大きな幸せだと思います。県費留学生制度は、福岡を知らない二世、三世たちが祖先の歴史、町、祖父母が話す方言、文化に触れるという貴重な経験ができる魅力的な制度です。

 また、担い手育成招へいプログラムは、県人会の子どもたちのもっと日本を知りたい、日本語を話したいという気持ちを高めてくれる機会になります。将来の留学生につなげていく、素晴らしい事業だと思います。

 ブラジルでも多くの元留学生が活躍できているのは、県費留学の経験が大きいです。次世代の留学生のためにも、これから先もこの重要な留学生制度が継続されることを祈っています。

平成8年度福岡県移住者子弟留学生送別会での写真