福岡県発の技術で
宇宙にチャレンジ

QPS-SARが地球を観測する様子

QPS-SARが地球を観測する様子(イメージ)

県内では、産学官を挙げて宇宙ビジネスの振興に取り組んでいます。福岡県の取り組みの概要と、「産」の要を担う宇宙開発企業、株式会社QPS研究所をご紹介します。

2023年にはISTSの招致に成功した様子

2023年にはISTSの招致に成功した

新たな成長産業として福岡県の宇宙ビジネスの創出を目指す

  •  2020(令和2)年、福岡県は衛星データなどを活用した宇宙ビジネス創出を推進する自治体として、内閣府・経済産業省から「宇宙ビジネス創出推進自治体(S-NET推進自治体)」に九州で初めて認定されました。これを契機に、「福岡県宇宙ビジネス研究会」(2024年2月時点:249会員)を設立し、宇宙ビジネスの振興に取り組んでいます。

     ロケットなどの機械開発や衛星データを活用したサービス開発、宇宙食など視野の広い宇宙ビジネスに参入する県内企業は約50社と年々増加。世界中から多くの研究者などが集う国内最大の宇宙国際会議(通称ISTS)の招致成功や、衛星分野の企業では国内初となる(株)QPS研究所の東証グロース市場への上場につながっています。

  • 福岡県(福岡県宇宙ビジネス研究会)の取り組み

福岡を拠点に小型人工衛星の開発で宇宙に挑む

  •  (株)QPS研究所が開発・運用に取り組むのは小型レーダー(SAR)衛星QPS-SAR。高度500〜600キロメートルの軌道にある衛星からレーダーを使って、夜間や悪天候でも地表の様子を高解像度で確認することができます。今年1月に発生した能登半島地震では被災地の状況を観測した画像データを提供するなど、被災地支援に役立てられました。

     同社は2005(平成17)年、八坂哲雄(やさか てつお)・九州大学名誉教授らが立ち上げた宇宙開発企業。2014(平成26)年からは八坂氏の教え子、大西俊輔(おおにし しゅんすけ)氏がCEOに就き、昨年12月に東京証券取引所グロース市場上場を果たしました。

     2019(令和元)年には実証機の打ち上げに成功。従来のSAR衛星に比べて20分の1の質量、100分の1のコストで実現しました。難しいといわれていた小型軽量化、さらにロケットの振動や過酷な環境での耐久性の実現には、県内の地場企業を中心に25社以上のパートナー企業が協力し、各社の得意な技術が結集されています。

     1月現在で商用機2機が稼働中。36機で地球を取り囲むことで、世界中ほぼどこでも準リアルタイムで観測できる未来を目指しています。

  • 創業者の八坂氏(左)とCEOの大西氏の写真

    創業者の八坂氏(左)とCEOの大西氏

    iQPS

    株式会社 QPS研究所
    [住所]福岡市中央区天神1-15-35レンゴー福岡天神ビル6F

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  • QPS-SARとの交信成功を喜ぶスタッフの様子

    QPS-SARとの交信成功を喜ぶスタッフ

  • QPS-SARがとらえた福岡PayPayドーム付近の様子

    QPS-SARがとらえた福岡PayPayドーム付近

  • 衛星がロケットから分離された瞬間の様子

    衛星がロケットから分離された瞬間