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知事定例記者会見 令和4年4月12日(火曜日)

更新日:2022年4月12日更新 印刷

知事定例記者会見 令和4年4月12日(火曜日)

この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。

この知事記者会見録の模様は、  ふくおかインターネットテレビ  動画配信しています。

発表事項

苅田港新松山臨海工業団地の第2期分譲を開始します(港湾課)

 

記者発表資料 [PDFファイル/529KB]

 

 

(知事)今日の発表事項は1件です。

 このたび県が造成した、苅田港新松山臨海工業団地の第2期分譲を開始します。4月15日午前9時から受付を始めますので、お知らせします。

 苅田港新松山臨海工業団地は、平成29年から令和3年度までの5年間で整備を行い、完了しました。この土地は、苅田港、北九州空港、東九州自動車道の苅田北九州空港インターチェンジにほど近いところにあり、まさに「陸海空に直結した交通の結節点」です。利便性がとても高い工業団地です。

 第2期分譲地の近隣には、既にトヨタ自動車九州、日産自動車九州といった自動車関連の企業が立地しています。また、ユニ・チャームプロダクツなどの企業も多数集積しており、新たな事業の立ち上げや、各企業の既存事業のさらなる発展、拡大に最適な、大きな魅力を持った地域であると考えます。

 さらに災害への対応として、巨大地震による津波の影響を考慮して護岸を高くしており、災害に対する事業継続性についても十分備えている土地となります。

 この工業団地が持つ魅力、また強みといったものに加え、優れた技術を持つ企業の集積、人材の豊富さといった福岡県が持つ大きな優位性を生かし、航空宇宙関連産業や、半導体、蓄電池といったカーボンニュートラルの関連する産業などの製造業、運輸業、電気、ガス等エネルギー関連の業種などを分譲対象として、国内外から戦略的な企業誘致を進めたいと考えています。

 分譲方法は公募によります。全体の分譲面積ですが、区画内の道路を含めて、29万6,684平方メートルです。区画は本県が分割しての分譲ではなく、進出企業の要望により決定することとします。ただし、最少の分譲面積は5,000平方メートル以上でお願いします。

 分譲価格は、1平方メートル辺り2万2,000円です。坪単価に直すと7万2,600円です。

 分譲の申込資格は、自ら施設を建設し、操業していただくこと。それから、必要な資力、信用を有するといった要件を全て満たす企業、または個人としています。

 詳細については県のホームページに掲載していますので、ご確認いただきたいと思います。

 県内はもとより、国内外の企業の皆様に、この新松山臨海工業団地の魅力を知っていただき、福岡県へ進出していただけるよう、企業誘致活動に取り組んでいきます。そして、世界から選ばれる福岡県の実現に向けての1歩としたいと考えています。

質疑応答

(KBC)発表事項について、分譲対象の業種が最先端企業やエネルギー企業など、ある程度絞られているように思いますが、意図があれば説明いただけますでしょうか。

(知事)これは、例示を挙げており、最先端の企業でないと駄目だということではありません。

 ただ、現在、世界的にもカーボンニュートラル、脱炭素化の動きが大きくなっている。また、この土地は、24時間運用可能な北九州空港との近接性もある。そして、本県の産業振興に当たっての方針といった様々な点を踏まえ、航空宇宙関連の産業の立地にも適していると考えますし、あるいはカーボンニュートラルの観点から、半導体や蓄電池関連の産業、さらには洋上風力の関連産業の企業といったものも考えられると思っており、そういった企業の皆さんがご立地いただけるのであれば、本県としても歓迎申し上げたいと思っています。

(KBC)今、挙げられた企業が誘致できた場合、福岡県にとって、どのようなメリットがあるとお考えでしょうか。

(知事)県の産業政策、またカーボンニュートラルに向けての取組に大きく寄与すると思います。また同時に、これからの発展可能性といいますか、非常に成長の可能性が大きい分野ですので、産業面、また雇用の拡大といった観点でも、大きな期待が持てると考えています。

(KBC)国際情勢やコロナウイルスの影響等もあると思いますが、今回の公募に、どれぐらいの期待がありますか。

(知事)県内の既存の産業用地等についても、色々と企業の皆さんからのお引き合いもいただいています。本県も色々な働きかけをさせていただいている。そういう中で、現在、福岡に限らず、国内企業の皆さんの投資意欲は旺盛であると考えています。

 こういったことから、交通結節点として非常に立地条件の良い新松山臨海工業団地には、関心を持っていただいている企業もあり、既に複数社、お問い合わせをいただいているとも聞いているので、多数の企業の皆さんに手を挙げていただければと期待しています。

 

(KBC)新型コロナウイルスに関連して、BA.2や、国内でXEという新しい変異株についても確認がされました。今、福岡県でも感染状況下げ止まりという状況もありますが、今の状況の受け止めと、新たな課題、また対策等、お考えのことがあれば教えていただけますでしょうか。

(知事)新規陽性者数について、現在7日移動平均で見ると、2,422人になっています。下げ止まりの状況が続いていると考えています。しかも、BA.2への置き換わりも懸念されますし、検疫において新たな変異株が検出されたという情報も聞いています。

 いずれにせよ、感染拡大防止に向けて、現段階で決して気を緩めていい状況にあるとは思っていません。しかしBA.2であっても、基本的な感染防止対策は変わりません。また、厚労省のアドバイザリーボードの報告において、ワクチンによる発症予防効果、あるいは重症化の予防効果があると言われています。特に今、若い方のワクチンの接種率の伸び悩みもあります。ぜひ、早期の接種についてご検討いただければと考えています。

 本県としても引き続き、基本的な感染防止対策やワクチン接種の促進といったことに取り組みつつ、医療提供体制についても、引き続き強化を図っていきます。併せて、重症化リスクの高い高齢者の皆さんを守るための取り組み、住み慣れたところで必要な医療が的確に受けられるという体制を整えていきます。

 また、本県の特徴として、全ての宿泊療養施設に医師、看護師が24時間365日常駐しています。この体制を活用し、医師、看護師の皆さん方の情報の共有化を的確に図るために、クリティカルパスシステムも構築しました。こういったものも活用して、宿泊療養施設を準医療機関として活用を図る等により、医療提供体制の逼迫を回避しながら、治療の必要な方に適切な治療を提供して命を守っていく取り組みは引き続きしっかりと、全力挙げて継続していきたいと考えています。

 

(KBC)知事就任から間もなく1年ですが、この1年の振り返りや、2年目の抱負等あれば教えていただけますか。

(知事)約1年前、4月11日が知事選の投開票で、県民の皆さんから支持をいただき、当選させていただきました。

 就任当時、コロナの第4波に突入していました。新型コロナ対策と災害対応、いずれも県民の皆さんの命を、生活を守るということです。新型コロナ、災害対応にもちろん待ったなしで、まずは取り組んできました。

 私は県職員、副知事を含めると、40年以上県行政に携わってきました。つまり、これまでの知事とは違い、まずは県政や県内のことを勉強してからといったことは言えないわけです。県民の皆さんからも、この経験を生かして、即戦力として期待されていると考えています。そのことから、その県民の皆さんの期待に応えるべく、スタートダッシュをかけるつもりで臨んできたというのが、まず思いです。

 1年間、様々ありました。まず、新型コロナ対策では、必要な方に適切な医療を提供することを最大の眼目として、医療提供体制の維持・強化に重点を置いてきました。

 就任時、病床は802床でしたが、現在1,650床。医師会の皆さんのご協力もいただき、増床を図ってきました。宿泊療養施設も現在は12施設で、2,468室を確保しました。

 また、福岡方式と言われますが、血中酸素飽和度を用いたトリアージの方式をつくり、それを徹底しました。

 さらに、すべての宿泊療養施設に医師、看護師を24時間常駐させるという体制も取りました。こういった福岡方式を活用することにより、第5波、第6波においても医療提供体制の逼迫は回避できたものと考えています。

 また、飲食店の皆さんにも厳しい要請を続けてきましたが、97%、98%という事業者の皆さんにご協力いただきました。本当に感謝申し上げます。

 また8月には、5年連続6度目となる豪雨災害に見舞われました。私も被災者の皆さんに直接お会いして、切実なお声をお聞きした。その声を受け止め、農業・商工業者の皆さんの事業継続意欲を失わせてはいけないと考えました。発災直後の9月議会に提案させていただき、農林漁業者の収入保険等への加入促進の補助金、あるいは農地中間管理機構を活用した、市町村の枠を越えた広域的な移転先農地の確保等、今までなかった新しい取組を始めました。

 平成29年7月の九州北部豪雨についても、現在、復旧及び再度災害防止のための改良工事が順調に進んでいます。

 併せて、BRTの路線についても、JR九州による線路の撤去、また道路整備等が順調に進んでいます。こういったことも踏まえ、日田彦山線沿線の地域の振興についても、地元の東峰村、添田町の皆さんとも意見を交わしながら、現在、取組を進めています。

 また、豪雨災害については、私も県職員当時、治水に5年以上携わってきました。しかし、現在の想定雨量、流下量では対応できないような雨が毎年のように降っている。こういうことから、単なる河川改修だけでは治水効果を上げていけないということで、流域全体で治水対策に取り組む必要があると考えています。

 この流域治水という考え方は、水田の雨水貯留機能を向上させる田んぼダムや、あるいは事前にため池やダムについて事前放流を行って降水に備える、あるいは、グラウンドを活用して貯留地として機能を果たすといったことです。この流域治水を進めようということで、3月には二級水系について流域治水プロジェクトをつくりました。

 こういった喫緊の課題について取り組んできたところですが、私も県政の進め方において、多くの方々、様々な主体と連携してこそ、県の力が2倍にも3倍にも、掛け算で増えていくんだと申し上げています。この考え方はもちろん変わっていませんし、これを踏まえて、県の力を大きな力にしていきたいと思っています。

このためには、市町村との連携が大切だと思っており、もちろん政令市との関係もあります。選挙当選後、直ちに高島市長、北橋市長、いずれも直接お訪ねして、これからの県民・市民のための行政を、共に力を合わせて進めていくことについて合意をしたところです。今、両市長ともしっかりと、必要なときには機動的に携帯電話を使って連絡を取り、コロナ対策をはじめ、様々な施策の推進についての相談をしながら取り組ませていただいています。

 そして、市町村との連携という観点からは、もっともっと、県庁を市町村の皆さんに頼っていただきたい、相談をしていただきたい。そして、本県も市町村の皆さんの声をしっかり受け止めて、市町村の皆さんを支援する。市町村の皆さんと一緒に事業を組み、施策を進めていきたいと思いました。

 このため、これまで広域地域振興課と市町村支援課がありましたが、これを改組して、4月から市町村振興局に格上げをし、その中に政策支援課と行財政支援課の2つの課を置くことで、機動的かつきめ細かに市町村を支援してまいりたいと考えています。

 それから、議会との関係もあります。私も、議員の皆さんも、直接県民の皆さんから選ばれている、これは同じです。ですから、議院内閣制である国と違って、県は二元代表制です。いわば県政の車の両輪であるわけです。この両輪のどちらかがゆがむというか、お互い違う方向を向いていたのでは、県政という車は側溝に落ちてしまいます。こういうことがないように、議会の皆さんとの信頼関係は重要であると考えています。

 同時に、議会は我々に対するチェック機関でもあります。チェック機関としての機能も果たしていただきながら、緊張関係も保ちながら意見交換を図って、県政を前に進めていきたいと考えています。

 実際、これまで1年間、代表質問や一般質問、あるいは予算特別委員会等を含む委員会審議を通じて、厳しいご意見やご指摘も賜りました。私としては、こういった厳しいご指摘、ご意見を大切にして、ご指摘を施策や事業に活かしていきたい。これは職員にも申し上げていることで、そのときの答弁が終わればいいとか、聞き流すようなことなく、県民から直接選ばれた県民に身近な存在である議員の皆さんのご意見は、しっかりと尊重すべきであると考えているところであります。

 そういう中で、議会でもコロナ関連だけで19回の補正予算を組ませていただきました。これに対して、大変時間的な余裕のない中で緊急の対応もしていただき、場合によっては、これまであまり認められることもなかった知事の専決処分も複数回にわたり認めていただいた。このことによって、飲食店の皆さんに対する協力金の支給も含め、的確なコロナ対策を採ることができたと考えています。感謝申し上げます。

 次に、県庁の活性化についてです。仕事の進め方の中で特に、若手職員の声を聞きたいと思いました。働き方改革、また行財政改革を進めるためにも、若手職員による事務事業の見直しに向けた提案を途中で遮ることなく、私のところまで現場の若手職員の皆さんの意見や提案を聞きたいと思い、昨年の夏にこれを行いました。

その結果、2,408件の提案が挙げられました。このうち1,864件を採用し、現在、順次見直しを図っています。県には職員提案制度等、様々あります。今回行ったような若手職員の皆さんの意見を吸い上げるといった取り組みを含め、新たな取り組みを今年から行っていくように、現在、新しい仕組みを考えているところです。

 人事面において、4月1日に人事異動を行いました。この中で、女性の声を反映させるということで、管理職への登用人数としては過去最高となる23人の女性職員を登用しました。これによって、女性の管理職は初めて100人に到達しました。管理職に占める女性の割合は18.0パーセントと、これも過去最高を更新したところです。

 仕事の進め方については、このような考え方の下で色々な取組を進めさせてもらいました。

そして、私は世界を視野に、未来を見据えて新しい一歩を踏み出すと申し上げ、4つの重点分野を挙げてきました。

 1つは「次代を担う人材の育成」です。まず就任してすぐ、県の青少年育成の基本的な県としての方針を示すものである「福岡県青少年プラン」について、1年前倒しで改定を行ったところです。そして、予算でも計上しましたが、人材育成の基本は教育であると考え、県内のどこにいても格差ない充実した教育環境があることが必要だと思い、全ての県立学校に、生徒1人1台のタブレット型パソコンを配備することとしました。私立学校についても、これができるような助成制度を設けました。

 子供たちが世界に羽ばたいていくためには語学が要ります。実践的な英語能力をつけていただきたいと思い、アメリカ領事館と話をし、全面的なご協力をいただき、スタンフォード大学の英語教育プログラムを福岡県仕様に直した「Stanford e-Fukuoka」を開始しました。90名の高校生の皆さんに応募いただき、うち30名を選抜して、既にこのプログラムがスタートしているところです。

 スポーツの面でも、福岡県タレント発掘事業の修了生から、昨年の東京2020オリンピックでは3人のオリンピアンが誕生しました。本県としては、オリンピック・パラリンピックのレガシーを残す。真の共生社会を築いていくことこそが、オリパラのレガシーであると考えています。こういったことから、今年度からはパラスポーツについても、タレント発掘事業に取り組みたいと考えています。

 また、産業人材の育成でも、11月には九大と九経連、デロイトトーマツと県の4者で「九州DX推進コンソーシアム」を立ち上げました。これは、中小企業の皆さんのデジタル化が遅れている。さらにデジタルトランスフォーメーションまで進めようとなると、中小企業の中に、各企業の事業自体をよく知って、デジタルトランスフォーメーションが推進できる人材を育てないといけない。このためにDX推進コンソーシアムを立ち上げ、DX人材を育成していきます。

 また、農林水産業でもスマート農業を進めていくことから、農業大学校のカリキュラムを見直しました。そして、農業大学校においてスマート農業機械を導入し、こういった農業におけるDX人材の育成を始めることといたしました。

 2つ目は、「世界から選ばれる福岡県の実現」です。1つは、現在、カーボンニュートラルの大きな潮流があること、また半導体の不足があります。こういったことから、熊本にはTSMCが進出します。しかし、これを1つの大きなチャンスと捉えて、本県にある約400社の優れた半導体関連企業の皆さんをさらに成長に導いていく、また新たに国内外からの半導体関連企業の誘致も図ることで、「グリーンデバイス開発・生産拠点構想」の協議会を立ち上げたところです。この新しい構想の下でしっかり進めていきたいと思います。

 また、国の成長戦略にもありますが、大規模データセンターの国内の最適配置が挙げられております。これを受けて、直ちに私も萩生田大臣にお目にかかり、大規模データセンターについて、福岡県への誘致を働きかけているところです。この1つの候補地として、直方・鞍手工業用地の整備を進めることとしました。

 それから、高島市長、倉富九経連会長と共に会見しましたが、来年のG7サミットの誘致に手を挙げさせていただきました。5月か、6月には決定されると思いますが、ぜひ呼び込みたいと思っています。

 3つ目は「成長産業の創出」という取組です。コロナ禍で非常に厳しい状況が続いていますが、こういったときだからこそ、ピンチをチャンスに変える発想が必要だと考えます。将来への発展の種をまいて、この芽を育てていくことに取り組んでいきました。

1つはバイオです。久留米市を中心に、県内には200社を超えるバイオ関連企業が立地をしています。こういった福岡県と久留米市の取組が評価されて、国から「地域バイオコミュニティ」第1号に昨年6月、認定されました。

 また、宇宙ビジネスについても、九州大学発の宇宙ベンチャーのQPS研究所が先日宇宙開発利用大賞で内閣総理大臣賞を受賞されました。昨年11月には、私も大分県の広瀬知事と4県の知事で岸田総理を訪問して、宇宙ビジネスについての意見交換を行いました。

私からは、日本の都道府県では福岡県だけが取り組んでいるので、衛星の開発、衛星コンステレーションの構築についての財政支援、またデータの政府調達利活用について要望を行いました。今回、国の令和4年度予算に、衛星コンステレーション構築関係で約58億円が計上されたところです。

 4つ目の柱がワンヘルスです。先般も発表しましたが、私としては、福岡県をワンヘルスの世界的な先進地にしていきたい。まさに今のCOVID-19、SARS、MERS、エボラ、SFTSといった、人の命に影響する新興・再興感染症、これらは人獣共通感染症です。人の感染症の約6割は動物由来と言われています。これらに対抗するとともに、さらには、薬剤耐性菌の対応策も考える必要があるので、この機能をしっかりとつくっていきたいと思います。

 このため、ワンヘルスセンターを作ることとし、今の太宰府市内の保健環境研究所を、みやま市の保健医療経営大学の閉校後の敷地と建物を活用させていただきながら、この場所で改築、充実を図っていきます。現在、本県は家畜保健衛生所しか持っていないため、家畜に関するデータしかない。ところが、動物由来、人獣共通感染症という観点から考えますと、ペットや野生動物から人にウイルスがうつることがあるわけです。このため、家畜のみならず、野生動物や愛玩動物、さらには動物園などの展示動物に関する情報、あるいは検査・分析、こういう機能を一体的に持つ動物保健衛生所を日本で初めて開設することとしました。これをみやま市内に設置予定の保健環境研究所と同じ敷地内につくり、この2機関の有機的な連携を図って、ワンヘルスセンターとしての機能を果たしていきたいと考えています。

 以上、重点的な項目を4つ申しましたが、もう一つ、「誰もが安心して暮らせる、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県」をつくっていきたいと申し上げてきました。このためには、人権がしっかりと守られなければいけない。人権を守り、ジェンダー平等を推進していきます。

こういったことから、1つの取り組みとして、4月1日から性的少数者の方々へのパートナーシップ宣誓制度を開始しました。県内には、既に市町村でこの制度をお持ちのところもあります。また、企業の皆さんも様々なサービスの拡充に、今、取り組んでおられます。こういった自治体、企業とも連携して、パートナーシップ宣誓制度について、さらに内容の充実を図っていきたいと思います。

 また、本県においても残念ながら悲惨な虐待事案が発生しました。この反省も踏まえて、児相に対する第三者評価制度を日本で初めて盛り込んだ「子どもへの虐待を防止し権利を擁護する条例」を2月議会において制定しました。これを施行し、子供の命と権利をしっかりと守っていきます。

 また、暴力団壊滅の観点から申し上げると、工藤會、浪川会の主要な事業所も相次いで撤去されています。暴力団壊滅に向けて大きく前進しているものと考えています。

 それから、文化・芸術の振興という観点では、新福岡県立美術館の基本計画を11月に策定しました。また、スポーツの観点では、残念ながら75回をもって一旦終わることになった、福岡国際マラソンがありました。しかし、地元の競技団体の皆さんや監督の強いご要望も踏まえて、県としても、新たに主催に入る形で福岡国際マラソン選手権大会を復活させることとしました。これについては、詳細が決定次第、改めて記者会見をして発表させていただきたいと思います。

 また、大濠にある福岡武道館の跡地に新県立美術館を建てます。これに伴い、福岡武道館は千代の福岡市民体育館の敷地内に移転し、新たに建築する方針を決定しました。

 令和4年度に向けての抱負ですが、令和4年度に向けては、何といっても当初予算です。私が知事となって、初めての本格予算を編成させていただきました。この予算は、12月、2月の補正予算と合わせて、16か月予算という考え方の下で、年度間の谷間ができないように、切れ目なく、様々な政策を進めていくこととしています。

この予算編成に当たり、各部の部局長、課長とも議論や検討を行いました。結果、前年度よりも70件以上多い222件の新規事業を盛り込みました。

 当初予算のキーワードとして、「命」「成長」「安心」の3つを挙げています。

新型コロナや災害といったものから命と生活を守るということで、「命」を挙げています。

「成長」では、人を育てる、人が支える産業を育てる、企業を育てる。それによって世界を視野に福岡県を飛躍・成長させていく。こういう考え方で「成長」を挙げています。

 また、「安心」では、全ての方の人権を守り、大人も子供も安心してたくさんの笑顔で暮らしていける社会をつくっていきたいと考えています。この中では、4月に新宮町に開所した福岡県医療的ケア児支援センターにおいて、医療的ケア児の方、またはその御家族に対するワンストップの支援を、県内のいろいろな団体、機関と連携し、ネットワーク化を図りながら続けていきたいと考えています。

 2年目の抱負ですが、まずはこの当初予算を基軸に置き、同時に、向こう5年間の福岡県総合計画も議会にお示しし、承認されました。この総合計画を踏まえながら、県政を計画的に、そして着実に進め、福岡県の未来に向けて新しい一歩を踏み出していきたいという抱負を持っています。

 

(KBC)福岡の「避密の旅」について、今月の28日までが申込の期限だと思いますが、政府に対して、福岡県として延長を求めたりしますか。

また、現在、感染状況が下げ止まりの中で、ゴールデンウィーク期間中は多くの人の流れが生まれる可能性がありますが、その辺りについてどうお考えか教えていただけますか。

(知事)「避密の旅」については、政府とも延長について協議していますが、報道されているように、政府も、ゴールデンウィークにおける取扱いについては、現在検討中です。引き続き、国の方針もしっかりと見ていきたいと思っています。

 

(日経新聞)半導体関連について、もう一度お伺いします。県のコンソーシアム、他府県との連携があるとのことで、先日、九州全体の半導体育成人材のコンソーシアムが立ち上がりましたが、様々なコンソーシアムがある中で、県として、九州の半導体産業について、どのように貢献していくのか、改めて、意気込みなどもお伺いします。

(知事)世界的な半導体不足による、自動車産業をはじめとした様々な企業、製造業等への影響は深刻であると思います。また、カーボンニュートラルも実現していかなければならない。このために必要な技術を高度化していくことや、人材不足などの課題が半導体産業においても山積していると考えています。

 こういったことから、本県では、今年の2月に九州大学や安川電機などをはじめとする企業の皆さん、特に世界のトップシェアを誇るような半導体関連企業の皆さんと、福岡県グリーンデバイス開発・生産開発拠点協議会を設立しました。この協議会を基に、様々な新製品の開発、研究を進めると同時に、そのための人材の供給が必要になりますので、人材育成にも取り組みたいと思っています。

 その一つとして、本県ではこれまで工業高校で自動車を製造してきました。半導体についても、県立の工業高校全てに半導体関連の実習等ができる機器を整備することで、半導体関連企業に就職して活躍できる生徒を育てる取り組みを、新年度予算に盛り込んでいます。こうした人材の育成、供給、そして新製品の研究、開発の支援等を進めます。

福岡県には優れた半導体企業が約400社あります。もちろん、県外の企業も歓迎しますが、現在既に県内にある企業の皆さんの成長、発展を改めて支援していきたいと思っています。これが、シリコンアイランド九州の復活にもなるかと思います。

(日経新聞)今年度以降の企業誘致と観光客誘致について、知事のお話の中で「世界から選ばれる福岡県」という言葉が度々ありますが、その実現のために、今後どのようなことをして貢献するのか。いろいろと総合計画でもKPIを設定されていますが、改めてお伺いします。

(知事)企業誘致という観点、半導体電池関連やグリーンデバイス等、特徴ある分野についての誘致についてですが、現在、県内で誘致をするために県が提示できる土地が非常に少ないです。例えば、県では久留米・うきは工業団地をつくりましたが、久留米工区の大部分は資生堂に進出いただきました。県内各地に就業の場、雇用の場をつくるという観点からも、市町村と協議しながら、企業を呼び込めるような工業団地、産業用地を戦略的に整備していく必要がある。これは積極的に進めていきたいと思います。

 特に今、企業の皆さんからお話を聞くと、水や電気、インフラは当然として、インターチェンジからのアクセス等についてよく尋ねられます。また、人材を確保できるのかといったこともよくお尋ねをいただきます。

 こういった条件をよく考えながら、市町村と共に、産業用地の造成、確保を図り、企業誘致を進めていきたいと思っています。

 また、観光についてですが、観光は非常に裾野の広い産業であると思います。しかし、現在コロナによって大きな打撃を受けています。今はだいぶ観光客も戻ってきているとはいえ、まだまだ本格的にはなっていないし、インバウンドについては、まだこれからという状況です。しかし、これをにらみながら、国内外問わずしっかりとプロモーション活動を行っていかなければなりません、海外の誘客に向けてのプロモーションもしっかりと行っていきたいと思います。

 また、観光地を磨くとよく言われますが、これが点であってはなかなか難しい。我々も慣れない土地に観光で行っても、交通手段も時間も距離も、どこにどんなお店があるのかもよく分からない。きちっとした観光商品、観光ルートとして、これをご提案できることが必要であると思います。そういった意味からも、観光ルートの造成をしっかりやっていく必要があると思います。

 再来年の春、JRの国内最大の観光キャンペーンであるデスティネーションキャンペーンについて、大分県の広瀬知事と話して、福岡と大分で協力してやろうということになり、手を挙げたところ、採用されました。

再来年の春のデスティネーションキャンペーンに向けて、例えばJRとの観光切符をつくるとか、あるいは観光ルートや観光商品をつくって提案するなど、今から1年以上かけてしっかりと取り組む必要があると思います。

 

(FBS)1年の振り返りに戻るのですが、御自身で採点されて、この1年は何点だったと思いますか。

(知事)これは県民の皆様から見て、それぞれご判断があろうかと思いますので、自分で点数をつけることは控えさせていただきたいと思います。

 ただ、知事から任命される部長や副知事と違って、知事は県民の皆様から直接選ばれた立場ですので、県民の皆様に選んでいただいたことに対する感謝とともに、県民の皆様との絆を大切にして、県民の皆様のために県政をかじ取りしていく責任の重さ、重大さを痛感した1年でした。

特にコロナ対策について申しますと、ウイルスも変異を続ける中で、今まで誰も経験がなく、何が正解であるのか見通しづらい。こういう中で判断、決断をしていかなければいけない。この難しさを痛感した1年であったと思います。

 

(終了)

 

 

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