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知事定例記者会見 令和4年2月14日(月曜日)

更新日:2022年2月14日更新 印刷

知事定例記者会見 令和4年2月14日(月曜日)

この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。

この知事記者会見録の模様は、  ふくおかインターネットテレビ  動画配信しています。

発表事項

(1)令和4年度当初予算、令和3年度2月補正予算の概要(財政課)

  記者提供資料 [PDFファイル/1.56MB]

(知事)本日は、2月21日に開会の2月定例県議会に提案する令和4年度当初予算及び令和3年度2月補正予算について、その概要を説明します。

 まず、今回の予算の全体像として、令和4年度の当初予算、そして国の経済対策を最大限活用して編成した令和3年度2月補正予算、これに年内に着手すべき経済対策として昨年の12月県議会において議決いただいた12月補正予算の3つを一体的に考え、切れ目のない16か月予算として考えているものです。

 併せて、今議会には財政の健全化を着実に推進するため、令和4年度から8年度までを計画期間とした新財政改革プラン2022を策定して、これに沿って予算編成を行ったところです。

 次に、一般会計の予算規模について、当初予算は2兆1,529億円となっており、過去最大規模です。16か月予算ベースでは2兆2,672億円です。このうち2月定例県議会に提出するのは、当初予算と2月補正予算で合わせて2兆1,803億円です。

 なお、この2月補正予算については、経済対策の効果を早期に発現させる必要があります。このため、早期執行の必要があるため、県議会には早期に審議いただき、議決いただきたいと考えています。

 今回の当初予算の3つのキーワードは、「命」と「成長」と「安心」です。県民の命を守り、そして生活を守る。次に成長は、人を育て、産業を育て、そして未来に向かって世界を視野に成長していくものです。そして安心は、誰もがたくさんの笑顔で安心して暮らすというものです。この命というところでは、やはり新型コロナのまん延、あるいは大雨災害などから県民の皆さんの命と生活を守ることを考えています。

そして、成長については、これからの福岡の発展を担っていくのは、人であると私は常に申し上げています。この人こそが宝である。この人材の育成に取り組み、成長産業をつくり出して、福岡県を未来に向けて飛躍、発展させていきたいと考えています。

安心については、全ての大人も子どもも、全ての人の人権を守り、そして県民の皆さんが安心してたくさんの笑顔で暮らせる社会をつくっていきたいと考えています。

 では、予算の主な事項について説明します。

 まず、柱が3つあるわけですが、1つ目の柱は、「新型コロナ危機を克服し、安全で強靱な地域をつくる」です。感染拡大防止については、保育所や放課後児童クラブ等のマスク、あるいは消毒液といったものの購入助成などを引き続き実施します。

 ワクチン接種体制の強化については、接種回数、人員を増やした医療機関に接種単価の上乗せを行うほか、中小企業、大学等が設置する職域接種の会場設置運営を支援します。

 次に、保健医療提供体制の確保です。入院病床、宿泊療養施設については、引き続き確保及び運用を続けていきます。また、ECMOや人工呼吸器などの医療設備の充実の支援、さらに訪問看護ステーションなどを活用し、看護師による自宅療養者に対する健康観察を強化していきます。

 そして、コロナの感染が拡大してきた時期に、医療機関においてサージカルマスクや医療用のガウン、フェイスシールドなど、治療、あるいは手術などの場で必要な医療用資材が不足することがありました。この医療用資材を安定供給するために、全国でも例を見ない新たな流通備蓄体制を構築します。流通備蓄体制自体は既にありますが、本県では、今回、県医療機器協会のご協力をいただき、備蓄している資材が使用期限を迎えると廃棄していたものを使用期限が到来する前に販売していただくことにより、無駄にせず、かつ多額に上る我々の買換え費用を抑制していくという画期的な方法を新たに考えたところです。

 次に、地域経済の立て直しです。まず、資金繰りの支援で、中小企業の皆さんに対する県の制度融資に新たに金融機関による伴走型の経営支援を創出します。これは、中小企業の皆さんに経営行動計画を策定いただき、この進捗状況を把握しながら、金融機関が中小企業に伴走型で支援を行っていく制度です。また、新規融資枠については3,285億円の枠を確保し、中小企業の皆さんの資金繰りをしっかりと支援します。

 次に、地域商品券です。市町村、発行団体の皆さんには地域の個人消費を喚起し、商店街をはじめとする地域経済の下支えをするため、早期発行の準備をお願いしていきます。

 それから、新たな「福岡の避密の旅」観光キャンペーンについてです。コロナの感染の収束後、いち早く観光需要を取り戻す、このために新たな「福岡の避密の旅」の観光キャンペーンを打ち出したいと考えています。

 次に、災害からの復旧・復興です。本県は、平成29年の九州北部豪雨以来、5年連続、6度にわたる大雨・豪雨災害に見舞われたところです。引き続き再度災害の防止を図るために、河川の拡幅などの改良復旧を進めていきます。そして被災地の復旧・復興に全力を尽くします。

この九州北部豪雨で大きな被害を受けた日田彦山線沿線、この地域振興を図るために、日田彦山線についてはBRTによる復旧を今準備しています。このBRTの開通に向けて、道路の改良、また停留所の整備に取り組むとともに、添田町の彦山エリアに映画のロケーション誘致などの地域の取組を支援します。

 また、防災・減災、県土強靱化では、様々な公共事業等を進めますが、特にこの流域全体で水害を軽減させる流域治水を推進します。

 次に、2つ目の柱です。「世界を視野に、未来を見据えて新しい一歩を踏み出す」です。ここでは、重点的に4つの事項に取り組みたいと考えています。

 1つは、次代を担う人材の育成です。様々な分野で挑戦を行う方々の成長を応援したいと思います。まず、教育が全ての基本になると思います。県内どこでも充実した環境で子どもたちが学ぶことができる環境を整えるために、新たに県立学校において生徒1人1台のタブレット型のパソコンを整備します。生徒用に約4万1,000台、教員用に6,000台、合わせて約4万7,000台のタブレット型のパソコンを整備します。そして、私立学校においても1人1台パソコンの整備が行われるので、これに対する助成を行います。

 そして、やはり器具をそろえるだけではなく、教員の皆さんのICTの活用能力を向上させていく必要があるので、新たに研修を実施します。

 そして、県立の特別支援学校において、ICTを活用したテレワーク実習を行いたいと思います。また、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を使った接客の研修も行っていきたい。これは、特に肢体不自由な方に対する研修を行い、こういったテレワーク実習を行って、高等部の生徒の皆さんの就職を支援していきたいと考えています。

 それから、実践的外国語能力の向上についてです。既に昨年発表しましたが、アメリカのスタンフォード大学と連携した教育プログラム「Stanford e-Fukuoka」を実施します。

 さらに友好提携を結んでいるタイ・バンコク都と高校生の相互派遣を行い、英語によるコンペ・ディスカッションを実施し、英語能力を向上させたいと思います。

 さらに小中学校の体験型英語学習を、年間の指導計画に取り入れた英語教育モデルを開発します。これは北九州市の八幡東田地区にセイハの英語村が今度整備されます。ここでは、もちろん英語の体験もできますが、そういった英語の体験を取り入れた教育学習、英語学習、この学習教育モデルをつくっていこうというものです。

 それから、未来を切り開く若者の応援について、将来の地域リーダーとして活躍する人材を育成ということで、これまで田川において田川飛翔塾という中学生を対象とした取組を行ってきました。これは、非常に大きな効果を上げています。この取組を県内各地に広げるため、令和4年度では他地域に拡大していきたいと考えています。

 次に、様々な分野で活躍する人材の育成は、産業、経済、国際、農業、スポーツ、文化、芸術など様々な分野で活躍する人材の育成についてです。まず、大牟田高等技術専門校において、デジタル技術系の訓練科目を新たに設けたいと考えており、このための準備を進めていきます。

 それから、国際という点では、もちろん移住された方の海外県人会もあるわけですが、企業の皆さんが現地の支社長や駐在所長等で活躍されている、福岡ゆかりの方がつくっている「企業県人会」も香港やシンガポール等、各地にあります。こういったところに、大学生の皆さんを派遣して、海外におけるビジネス体験をしてもらうというものです。

 また、福岡には国連の機関であるハビタットがあります。この国連ハビタットと連携して、ハビタットの活動現場に若手の企業経営者を派遣して、途上国の課題解決に貢献するといった人材の育成を図りたいと思っています。派遣先はカンボジアを考えています。

 次に、農業の分野では、女性が中心的な役割を果たしていくことになります。この女性が認定農業者になるための農業経営改善計画の策定を支援します。また、自らの農場で新たな品目を作っていきたいという場合の防風ネットや農薬費用等の費用の支援も行います。

 スポーツにおいては、パラスポーツにおけるタレント発掘事業に取り組みます。さらに、アーバンスポーツであるスケートボードやBMXの指導者を養成する講習会を実施します。

 文化芸術の面では、廃校になった小学校を活用し、3名の若手の芸術家に、学校を利用してアトリエとして使ってもらう。この方々が滞在、製作を行う。これに対して、著名な芸術家の方に指導をお願いすることで、これからの福岡の芸術を担う若手の育成を図りたいと思っています。

 また次世代の音楽家の育成に向け、福岡ジュニアオーケストラアカデミーを設立します。これは小学校3年生から中学生ぐらいを対象としたもので、30名程度を考えています。

 次に、「世界から選ばれる福岡県の実現」についてです。将来の発展基盤の充実では、まず福岡空港の滑走路の増設を着実に進めます。もう一つの国際空港である北九州空港については、旅客便の路線運行便数がコロナで今、非常に減っていっているため、この早期回復を目指し、来年度から6年度までの3年間を「ネットワーク再構築推進期間」として、航空会社の運行の支援、また国際貨物のさらなる集荷の促進に取り組み、北九州空港の2,500メートルの滑走路を3,000メートルの延伸につなげたいと考えています。

 次に、国内外からの戦略的企業誘致について、まず、グリーンデバイス開発・生産拠点構想を推進します。これは、先日共同記者会見しましたが、安川電機などの県内の先進的なデバイス関連企業、また九州大学などの教育研究機関、それに県による産学官の協議会を立ち上げました。この協議会において構想を推進していきます。半導体産業は、世界的な半導体不足。さらに、このカーボンニュートラル時代に対応する技術の高度化、人材の不足といった課題を抱えています。こういう中で、本県には数多くの優れたグリーンデバイスの関連企業が立地しています。また、半導体人材を育成する大学、高専、工業高校、企業の研究開発を支える公的な支援機関も集積しています。こういった強みを生かして、このグリーンデバイスの開発・製造拠点を形成していこうというものです。

 中身的には、多品種変量生産プロジェクトの支援、あるいは三次元半導体研究センターの機能拡充に向けた設備の充実、あるいはグリーンデバイス半導体の新製品開発等に対する助成。さらに、人材育成として、県立工業高校に半導体製造技術の実習環境を整備し、人材を育成していく、半導体関連企業で活躍できる人材を育成していくものです。

 それから、次の国際金融機能の誘致では福岡市、あるいは九州経済連合会とともに「TEAM FUKUOKA」を形成して、今、取り組んでいるところです。金融機関の拠点開設の支援、また海外でのプロモーション、あるいはフィンテック企業とのマッチングなどに取り組みたいと考えます。

 次に、成長産業の創出です。まず、グリーン社会の実現ですが、県、市町村、事業者、そして県民が一体となった脱炭素化の取組を進めます。本県は地球温暖化対策実行計画において、2030年度までに温室効果ガス排出量を、2013年度と比べ46%削減する目標を掲げることとしています。

 この実現のために、まず率先して県有施設の太陽光発電設備の導入、省エネルギー化の可能性の調査にかかりたいと思います。さらに、移転改築を行う新福岡武道館を省エネルギー化するための実施設計を行います。また、中小企業の省エネ設備の導入、あるいは住宅の断熱性能の向上といった省エネ改修を支援します。

 次に、新たに、水素によるグリーンイノベーション戦略を推進します。水素エネルギーでは、水素産業への参入または水素関連製品の導入といった相談があります。これをワンストップで受け付けるため、九州大学と連携をしたワンストップ相談窓口を開設します。このほか、高効率の燃料電池システムなどを活用した工場の脱炭素化を目指す、いわゆる水素ファクトリーに向けたモデル事業、また県内企業のグリーン水素に関連する製品開発を支援します。

 それから、自動車産業については、我々の北部九州は、イギリス一国に匹敵するほどの自動車の生産能力を有しています。しかし、この自動車の分野において、今、電動化あるいは自動化といった、CASEと呼ばれる100年に一度の変革が起こっている状況です。我々はこれまで、この北部九州の自動車産業について、150万台構想、あるいは180万台構想といった、どちらかというと規模、生産能力を重視した構想を立て、拠点化を図ってきましたが、CASEの潮流に対応し、北部九州自動車産業のグリーン先進拠点としての形成、これに向けて取り組んでいきたいと思います。県内のサプライヤーの皆さんが電動化分野へ参入するための相談センターの開設や新製品の開発の支援。さらに、我々は、トラック協会とトヨタ自動車と協力して、水素燃料電池を使った商用トラックの運行の実証を行っていますが、これを1歩進めて、FCトラックによる配送ネットワークを構築するための研究会を立ち上げたいと思います。

 それからバイオについてです。バイオは、久留米を中心とするバイオバレーの取組をしてきましたが、この地域について、地域バイオコミュニティとして国から指定されました。この福岡におけるバイオコミュニティの形成を進めます。バイオベンチャーの創業期の資金調達を支援するため、ベンチャーキャピタルと連携し、効果的なビジネスマッチングを行うことや、あるいは九州大学と連携し、スマートセル実証ラボを設置して、関連研究開発を支援します。

 次に、ワンヘルスの推進です。県民、そして事業者の皆さんがワンヘルスの理念に基づき、自主的に行動し活動することによって、人の健康、動物の健康、そして環境の健全性、この3つが調和した社会をつくる。これを次世代につないでいくことを目指します。そこで、ワンヘルスの推進行動計画をつくり、2月議会に提案します。この行動計画に掲げる施策、取組を進めて、ワンヘルスの推進を本格化させていきたいと考えています。

 まず、ワンヘルスセンターをつくるため、この中核施設として、今、太宰府市にある県の保健環境研究所をみやま市に移転改築をし、整備充実を図ります。今後、当研究所の詳細な整備計画は立てますが、現段階では、遅くとも令和9年度には新たな研究所を供用開始したいと思っています。

 また、動物については、本県は、家畜保健衛生所しかありません。この家畜に加え、野生動物、愛玩動物の保管、保健衛生を一元的に担う動物保健衛生所の設置に向け、基本構想を策定します。

 それから、今年11月にアジア獣医師会連合、通称FAVAと言われていますが、このFAVA大会が福岡市で開催されます。このテーマがワンヘルスとなっています。国内外から多くの獣医師の皆さん、研究者の皆さんが参加される予定です。これを契機として、本県の先進的なワンヘルスの取組を世界に発信するほか、県民の皆さんにも、公開講座を通じ、ワンヘルスについての理解を促進してほしいと考えています。このFAVA大会は、11月11日から13日までヒルトン福岡シーホークで、参加予定者数は約3,000人とお聞きしています。

 3つ目の柱は、「誰もが安心して暮らせる福岡県をつくる」です。住み慣れたところで働く、そして長く元気に暮らす、子供を守り育てることができる、こういった地域社会づくり。これは、まさに地方創生の基本です。この地域社会づくりを一層進めます。

 このような中で、中小企業は、本県の産業経済の発展の原動力であり、雇用の8割を担っています。中小企業の皆さんの振興を図っていかなければいけないと考えます。この中でも、小規模事業者の皆さんの経営基盤を強化していこうということで、専門家による相談、また小規模事業者のデジタル化の取組を支援します。

 2番目は、生産性向上の取組の支援です。本県では、かねてから「中小企業生産性向上支援センター」を設け、中小企業の皆さんの生産性の向上、デジタル化の支援を行ってきました。このセンターに新たに「デジタル支援ユニット」と、生産性が低い分野とよく言われている宿泊業の「宿泊業支援ユニット」の2つのユニットを設置して、中小企業の生産性の向上を支援していきます。

 また、国連が掲げる17の目標、SDGsの目標があります。県内企業のSDGsの登録制度を創設します。

 次に、本県の基幹産業である農林水産業の振興も、地域における就業の場という意味では非常に大きな存在です。「あまおう」は非常に人気があり、昨年は17年連続で販売単価日本一を達成しました。「あまおう」は令和4年度には本格的な販売開始から数えますと20周年を迎えます。この20周年を契機として、さらに「あまおう」の生産を拡大していく必要があると思います。高い技術力を持っている県内の企業との連携を図ります。労働時間の約5割は収穫や、出荷、調整作業に費やされており、農家の皆さんの作業の省力化を図るためにロボットの実用化を進めます。

 また、「あまおう」のブランド力の一層の強化を図るために、有名パティシエの皆さんなどによる応援CMを作成し放映します。主に首都圏や関西圏での放映を考えているところです。

 それから、「福岡の食」の販売拡大・消費促進ですが、首都圏や関西圏のトップシェフの皆さんのお店で福岡フェアを開催します。また、バイヤーの皆さんに向けた商談サイトを活用した販売活動を強化します。福岡県は食材において、海のものや山のもののバランスがいいという評価を全国的にいただいていますので、こういったことを通じて、福岡の食の魅力を一層高めていきたいと考えています。

 次に、雇用機会の拡大です。これについては、まず若者の皆さんに県内企業の魅力をPRします。県内の色々な優れた企業、または魅力のある企業の情報が若い方々に知っていただけていない状況があります。特に県外の大学で学んでいる方々については、そういう傾向があります。こういったことから、県内企業の魅力をPRするオンライン座談会を週1回開催します。

 次に、子育て女性就職支援センターの就職支援強化です。子育て中の女性、なかでも一人親家庭の皆さんは、就職についてご苦労されていることがあります。この皆さんを応援するため、求職されている方が利用しやすいように地域の商業施設などで相談会を開催します。また、子育て中の方は時間的な制約も多いということがあります。このためオンラインやオンデマンド型のセミナーを実施したいと考えています。

 それから、中高年のキャリアアップという点では、私が福祉労働部長のときに当時の麻生知事とともに立ち上げた「70歳現役応援センター」があります。今、人生100年時代となり、定年も延長されてきました。こういったことを踏まえて、70歳現役応援センターを「生涯現役チャレンジセンター」と改称をしたいと考えています。

 機能としては、引き続き高齢者のマッチング支援を行います。併せて、現在は50歳代で、今はまだ会社にお勤めの方々が次の自分のキャリアを考える必要があります。こういったキャリアプランの相談窓口を、「生涯現役チャレンジセンター」に新たに設けたいと考えています。

 また、ニートや引きこもり、難病を患っている方、さらには刑務所から出所された方など、それぞれ働きづらさを抱えている方もいらっしゃいます。こういった方々に対して、週20時間未満の超短時間の雇用など、社会実証的なモデル事業を実施したいと考えています。

次に、長く元気に暮らすという点です。ジェンダー平等の実現にあたり、大きな課題の1つと考えているのは、やはり経済分野におけるジェンダーギャップです。これを解消していくことを目指しています。このため、ほかの産業に比べて多様で柔軟な働き方が普及しており、今後、成長が期待されるIT産業において女性が活躍できる仕組みを作っていきたいと思っています。我々が思うよりも、このIT産業においても女性の就業は意外と少なく、この分野での開拓を行いたいと思っています。

 また、パートナーシップ宣誓制度を4月1日から導入します。受領証カードの交付も開始します。パートナーシップ宣誓制度の実効を上げるため、市町村や企業にも働きかけ、制度の理解を促進していきたいと思っています。

 次に、高齢者、障がいのある人、困難を有する人への支援です。まず、認知症高齢者の支援として、認知症医療センターの機能を強化し、認知症高齢者や家族への相談対応を実施します。また、このコロナ禍で各地の認知症カフェがなかなか開けず、この再開も難しいと聞いています。こういったカフェの運営方法や継続して開催していくための相談支援を行います。

 障がいのある人の就業機会の確保です。本県では「まごころ製品」として障がいのある方が作った商品の販売等も行っています。同時に、やはり色々な作業を受注することが、高度障がいのある方の工賃の向上にも大きな効果をもたらします。障がい者施設では個々の受注に対応していても、大量の受注があった場合には対応しきれないことがあります。こういった大量の受注作業に共同で対応できるように、就労支援の場を県内2か所に設けたいと考えており、これについては、包括連携協定を結びました日本財団と連携して実施していきたいと思います。また、農福連携に取り組んでいる施設もたくさんあります。障がい者施設と農業者のマッチングを図っていく必要があります。農福連携推進員を2人配置していますが、これを増強して県内4地域にそれぞれ4名を配置します。

 それから、今、日常的な医療的ケアが必要だという子どもさんが増えています。ご家族の皆さんは、様々な支援に関するニーズをお持ちです。この医療的ケア児についてのワンストップでの相談対応、緊急時の一時預かりといった専門的な支援を行うため、こども療育センター新光園に「福岡県医療的ケア児支援センター」を開設します。

 それから、スポーツ立県福岡の推進です。来年、2023年に「ツール・ド・九州2023」が開催されます。この機運情勢を図るため福岡ステージのコースのオンライン大会を開催します。

 また、パラアスリートの発掘、育成、強化にも取り組みます。今、本県ではタレント発掘事業も行っており、今回のオリンピックでもタレント発掘事業から3名の方が出場されました。これをパラの世界にも広げていきたいということです。

 文化芸術の振興については、若手芸術家の滞在制作を支援することにより、本県独自の若手芸術家の育成事業を実施していきます。

 次に、健康づくりの推進です。健康づくり県民運動をずっと推進してきました。こういった中で、今回は食事の大切さをもう一度考えようということで、県産の農林水産物を使った「しあわせの福岡健康レシピ(仮称)」づくりを大学とも連携をして作り、そして普及していきたいと考えています。また、長きにわたり九州大学が行っています久山町研究の成果を活用した健康づくりの啓発資材を作ります。

 それから、移住、定住の促進では、子育て世代の皆さんへの移住支援金、これを18歳未満の子どもさん1人につき30万円加算するという拡充を図ります。

 今、地域おこし協力隊の皆さんが、県内にも多数いらっしゃいます。この地域おこし協力隊の皆さんが、今、活動している市町村に定住をしていただく取組を進めたいと思います。隊員の皆さんの希望を踏まえ、定住に向けた計画づくりのための専門アドバイザーによる支援を行います。

 次に、地域公共交通の強化について、コミュニティバスの利便性を高める必要があると思います。AI、デジタル技術を活用したAIオンデマンド交通の導入のため、システムの導入費や使用料等を支援します。

 安全で安心な地域づくりでは、本県は、飲酒運転の撲滅、暴力団の撲滅、性暴力の抑止の3つをテーマとして、県警とも力を合わせて取り組んでいます。こういった中、地域の皆さんにも防犯活動に意識を向けていただく。例えば、ジョギングや散歩など、日常生活の中で気軽に実践していただく、「ながら防犯」を広げいくため、これに取り組む企業、団体の登録制度の創設を考えています。

 次に、子どもを守り育てるということです。

 県民の皆さんの出会い、結婚、出産、子育てといった希望をかなえていくため、各ライフステージに応じてきめ細かな支援を行い、少子化の流れを食い止めたいと思います。市町村と連携した広域的な出会いイベント、企業や団体間の出会いイベントを開催します。また、出産を希望される世帯を広く支援するために、保険診療の対象とならない不育症の検査や治療費について、この費用の2分の1、上限を5万円として県単独の助成制度を創設します。

 また、子育て世帯は子どもさんが熱を出したときに非常に困ります。病児保育をより利用しやすくする必要がありますが、現状では今日はどこの病児保育が受け入れできるのかということが分かりません。よって、病児保育の空き状況を検索できるシステムをつくります。

 次に、きめ細かな対応が必要な子どもの支援です。

2月の県議会には、「子どもの虐待を防止し権利を擁護する条例」を提案します。ぜひ、議決をいただきたいと思っており、議決いただきましたら、この条例の周知をしっかりと図ります。

 また、本県においても、残念な児童虐待の事案が発生しました。本県の児童相談所が対応した令和2年度の件数は過去最多となっています。児童相談所による虐待への対応の質の向上が求められているところです。

 このため、NPO法人など、第三者機関による業務評価に取り組みます。また、一時保護所で子どもさんをお預かりしますが、この一時保護所にいる期間が長くなると、学習面での心配も出できます。今も学習指導専門員を各児相に1名置いていますが、これを2倍の2名配置し、子どもさんの学習をしっかりとサポートしていきます。

 次に、財政改革プラン2022についてご説明いたします。これからの社会経済情勢の変化に対応しながら、県民の皆さんに求められるサービスを提供し続けていくことが我々の責務です。このためには、事務事業の特段の見直しが必要です。同時に、成長産業の育成などによる税源の涵養も行っていかなければなりません。つまり、歳入、歳出と両面から財源確保に取り組み続けることが必要です。

このことから、今回の財政改革プランを策定しました。このプランを着実に実行していくことにより、財政調整基金等、三基金の取り崩しに頼らない財政構造に変換を図っていきます。

 計画期間は令和4年度から8年度で、目標については、この2つは、言わばストックの話です。このストックの目標を達成するためには、貯金を取り崩しながらやっていかなければいけないという構造自体を変えていく必要があるわけです。これをしっかり取り組んでいきます。

 その上で、この改革目標を置いています。1つの目標は、やむを得ない要因を除いた令和8年度末の通常債の残高を、令和3年度末と比べ、500億円程度は圧縮したいと考えています。

 もう一つが貯金です。経済急変による税収の減、あるいは災害発生といった緊急的な支出に柔軟に対応していくためには、やはり三基金の残高をしっかりと持つ必要がある。令和8年度末の財政調整基金等の三基金の残高を400億円から500億円程度は確保をしたいと考えています。

 この5つの柱に基づく改革措置を講じて、5年間で財政効果ベースで1,250億円の効果を上げていきたいと考えています。

質疑応答

(共同通信)予算に関して、まず質問させてください。当初予算の規模が過去最大となると同時に、財政改革プラン2022を策定されるということでした。この改革プランの策定の背景、財政の健全性に対する現状認識を教えてください。

(知事)予算規模が最大になった1つの大きな要因が、コロナ対策です。災害の復旧等については、かなり事業が進捗しまして、この復旧事業費そのものは圧縮されています。

 こういった中で予算編成を行い、財政健全化について、財政課で勤務していた当時から随分長く携わってきました。最初は、財政健全化指針を作って取り組みました。これまで緊急財政改革が必要だった場合もあります。これは収支ひっ迫、基金の枯渇という恐れがあったことで、職員の給与カット、あるいは県民サービスの圧縮といった緊急的な措置を行わなければいけないことがありました。こういったことは、今後あってはならないと思います。

 県民の皆さんに対してしっかりとした行政サービスを提供し続けるべきです。このために、安定的な財政基盤をつくっていくことが必要です。そして、こういった経済急変、あるいは災害の発生等々の事態の変化に対しても、財政対応力をしっかり持つということが必要だと思います。

 こういったことから、今回、財政改革プランを新たに策定し、これを踏まえながら、今回の当初予算についても、事務事業の見直し、民間活力の有効活用による財政収入の確保を反映させつつ、予算を編制しました。

 そして、このような改革措置による財源確保もできたことにより、今回の当初予算においては、新規事業として222件、108億円の予算を活用し、多くの新たなチャレンジを行うことができると考えています。

(共同通信)コロナへの対策です。4,000億円等のうち多くを中小企業の制度融資が占めるわけですが、このねらいを教えてください。

(知事)中小企業の皆さんに対して、まず第一は資金繰り支援があります。そして、経営基盤の強化、さらに、新たな事業の発展に向けた支援があるわけです。まず、中小企業の資金繰り支援という点では、新たな伴走型支援制度を設けました。これについては、保証料もゼロとする制度です。使いやすい制度を設けることにより、中小企業の皆さんが事業をしっかりと継続していただきたい。こういう考えから、新規の融資額も十分に確保したところです。

(共同通信)新型コロナウイルスに関して質問です。今週末でまん延防止等重点措置の期限を迎えますが、県内の感染状況に対する現状認識と、まん防の延長要請の必要性についてどのように考えていますか。

(知事)感染状況について、ここのところ新規陽性者は、1週間前の同じ曜日と比べると下回っている日も見られます。大体頭打ちといいますか、あるいはピークを越えたのではないかという意見もあります。しかしながら、昨日も4,000人を超える新規陽性者でした。新規陽性者数が高止まりする恐れもあるわけで、現時点では、急速に収束に向かっているという判断をするのはいかがなものかという状況にあると思います。

 本県は1月24日に県単独の措置を、27日からまん延防止等重点措置を実施しました。飲食店の皆さんには、97.5パーセントのお店に協力していただき、県民の皆さんにも非常に慎重に行動していただいています。こういったことから、まん延防止等重点措置の効果は一定程度出てきていると思います。

 これを踏まえながら、今の感染状況に対する認識、そして、まん延防止等重点措置の効果も考え合わせたときに、今、この重点措置を解除することになりますと、すぐに感染がリバウンドするのではないかという恐れが考えられます。期限どおりのまん延防止等重点措置の解除については、非常に厳しい状況にあると思いますが、引き続き専門家の皆さん、市町村の皆さんのご意見も伺っているところです。

また、国とも緊密に情報交換、意見交換を行っています。引き続きまん延防止等重点措置の取扱いについては検討したいと思います。

(共同通信)まん防要請の判断は、いつぐらいになりそうな見通しでしょうか。

(知事)本県がお伺いしているのは、17日頃に政府対策本部会議があるように聞いています。そこから逆算すると、やはり前日16日頃には、本県の意思を表明する必要があるのではないかと思っています。

(共同通信)病床使用率に関してはかなり高くなってきていて、9割超、100パーセント近くになるような恐れもある現状だと思います。先日、緊急事態宣言の適用要請基準について、重症と酸素投与が必要な中等症の方の合計という基準を示されましたが、例えばその病床使用率が95パーセントを超えるとか、新たな指標によって緊急事態要請を要請するというお考えはありますか。

(知事)直近の病床使用率は85.4パーセントです。現段階では、入院治療が必要な方が入院できない状況にはありません。また、これからもそういった事態は絶対に回避しなければいけないと考えています。

 緊急事態宣言について、現段階で宣言を国に要請する段階にはないと考えています。また、この判断基準については、命に直結するような重症の方、そういった重症度に着目して基準を考えているところであり、現段階ではこの基準を動かすことは考えていません。

 同時に、病床全体のひっ迫が懸念されるわけですので、病床の回転率を非常に上げていく必要があると思います。まずは、陽性が判明したときの入院の必要性の判断、いわゆるトリアージを徹底していきたいと思います。

 併せて、退院基準を満たした方の退院、あるいは後方支援病院への転院、また、入院4日目以降に、医師が入院治療の必要がない軽症になったと判断した方の早期の退院や転院を積極的に促すことによって、コロナ病床の効率的な運用を図っていきます。これについては、先般、後方支援病院やコロナ患者の受入れ病院の院長を集めた会議を開いて、協力をお願いしたところです。

 また、今、県の入院調整本部にて、転院の円滑化のための新たな仕組みづくりを急いでいまして、早期の運用を始めたいと思っています。

 そして、本県は、宿泊療養施設を12施設確保しています。全国的にも珍しい取組ですが、この全施設に医師、看護師を24時間常駐させています。早期退院できる方については、宿泊療養施設での受入れを原則として行っていき、そして、患者の皆さんの安全・安心を確保していきたいと思います。

 前回のときと違い、今回は宿泊療養施設はかなりまだ余力があるということです。この宿泊療養施設を十分に活用していきたいと思います。こういった様々な取組を行うことによって、病床の回転率を上げ、病床ひっ迫の回避に取り組んでいきたいと思います。

 

(西日本新聞)知事になって、初めての当初予算の編成だったと思います。知事として一番意識されたこと、一番思いを込めたところはどういったところですか。

(知事)県は広域自治体です。1つの市とは異なり、それぞれ特色があったり、課題も抱えていたり、県内には色々な各地域があるわけです。各地域では、県民の皆さんの暮らしもあります。こういった県内各地域への目配り、これは前小川県政においても非常に重視されていたと思います。

私としてもこれを基礎としながら、今回の予算は福岡県のあしたに向けて、未来に向けて新しい1歩を踏み出す予算にしたいと考えました。これがこの予算に対する私の一番の思いです。こういった中で、「命」、「成長」、「安心」の3つのキーワードを申し上げました。

 ただ、この予算がゴールではないと思います。全ての課題がこの1年で解決ができたり、あるいは目標が達成できるというものではありません。やはり県民の皆さんと手を携えながら、一つ一つ未来への扉を開いていきたいと思います。そのまず1つの扉をこの予算において開いていきたいと思います。

 

(KBC)来年度の予算に関しても、コロナ対策費をたくさん事業費として上げられていると思います。今回、病床のひっ迫度合いですとか保健所の体制の問題とかもあって、法律上、コロナウイルスを2類から5類へという意見が出ているような自治体もあります。今、服部知事のお考えもしあれば教えていただけますでしょうか。

(知事)ワクチンが開発され、これは人々を守る盾となります。また、ウイルスと闘う薬、中和抗体薬、そして、メルク社やファイザー社による経口治療薬も開発され、これはウイルスと闘う武器になり得ると思います。これらが開発されてきたことが、2類から5類への変更についての議論の基礎になってくると思います。

 ただ残念ながら、日本ではまだワクチンの3回目接種率が低く、かつ経口治療薬も供給が開始されたばかりであり、まだ十分に行き渡っている状況にはありません。

 さらに言えば、2類から5類に変えることによっての経費負担の問題もあります。そういった様々な状況や条件がしっかりと議論をされ解決されないと、簡単に2類から5類にということにはならず、その点は、政府も慎重に考えていただいていると思います。

 

(RKB)まん延防止等重点措置の関係でお伺いします。期限どおりの解除は非常に厳しい状況というお話でしたが、その根拠としては、病床使用率が8割を超えていることや、あるいは、ここ最近死者数が非常に増えており、こうしたことも判断の根拠にはされていますか。

(知事)病床使用率が非常に高いことも、十分に考え合わせなければいけないと思っています。それと、新規陽性者の発生状況がどんどん減ってくれば、入院を必要とされる方も当然減ってくるので、見通しが立っていくわけですが、今はまだ高止まり状態を脱し切れない状況です。また高齢者への感染も増えてきており、こういう状況を踏まえ、解除することによるリバウンドのリスクを考えたときに、今のまん延防止等重点措置について、非常に厳しいと申しました。

 

(終了)

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