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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
(知事)本日は、私から1つ、発表させていただきます。福岡県文化賞についてです。
福岡県では、県民の皆さんの幅広い文化活動を促進し、文化の向上・発展を図るために、平成5年度から毎年、文化振興に顕著な功績のあった個人、団体に福岡県文化賞を贈っています。これまで114の個人・団体の方に表彰を行っているものです。
このたび、市町村、文化関係団体、報道機関などから推薦いただいた33の個人・団体の中から、外部有識者で構成される福岡県文化賞選考委員会の選考を経て、福岡県文化賞の贈呈を決定しました。
まず、個性的、創造的な文化活動を行い、優れた業績を残された個人・団体にお贈りする「創造部門」ですが、博多人形師の川崎幸子さんです。
日本の古代史を題材に、独自の作風を確立され、博多人形の世界に新たな分野を開拓されてきました。JR博多駅構内に展示されていますが、高さ155センチの「大きな博多人形 卑弥呼」は、県民の皆さんをはじめ本県を訪れる多くの観光客の皆さんに、博多人形のすばらしさを伝えてくれています。後継者の育成にも積極的に力を注がれており、本県の伝統文化の継承・発展に大きな貢献をいただいている方です。
2番目に、地域の特性を生かした活動を通じて、地域社会づくりに功績のあった個人や団体にお贈りする「社会部門」ですが、これは朝倉市の「山里の廃校利用美術館 共星の里 黒川INN美術館」です。
過疎化により廃校となった黒川小学校の校舎を有効利用して、卒業生である尾藤悦子さん・長司さん夫婦と、長司さんの高校時代の美術部の先輩で、アーティストの柳 和暢さんが、廃校を利用したアート空間を企画・提案し、平成12年に開館しています。平成12年の開館以来、地域と人、アートを結ぶ拠点として、アーティスト、創作活動をする方、運営を手伝うボランティアの方、さらにこの地に暮らす地元の皆さんを結ぶ場所として長きにわたり人々のつながりを生み出しており、地域文化の向上・発展に大きく貢献をしているものです。
最後になりますが、個性的または創造的な創作活動を行い、将来活躍が期待される個人や団体にお贈りする「奨励部門」です。株式会社しくみデザイン代表取締役の中村俊介さんにお贈りします。
体を動かすだけで触れることなく演奏できる新世代楽器アプリ「KAGURA」、あるいはプログラミング言語を必要としないプログラミング教育アプリ「Springin’」の開発、「Springin’」を活用したモデル授業を展開するなど、教育分野にも注力され、その活動は教育関係者からも高い評価を受けています。
「Springin’」は、先般、私も体験させていただきましたが、非常に楽しくプログラミングを学ぶことができる、子どもたちにとって良い教材になっていると思ったところです。中村さんはクリエーターとして常に先進的な開発を続けられており、本県のメディア芸術分野の向上・発展に大きく貢献いただいています。
この3個人・団体の今回の贈呈式は、今後の新型コロナの感染状況にもよりますが、3月19日土曜日にアクロス福岡で行いたいと考えています。この詳細については、後日お知らせします。ぜひ報道関係の皆さんもご出席、ご参加いただければと思っています。
なお、昨年度の贈呈式の様子、あるいは受賞者へのインタビューを記録した記念動画を制作しており、ふくおかインターネットテレビに掲載しています。こちらも、ぜひご覧いただきたいと思います。
私からの発表事項は以上です。
(朝日新聞)コロナの県内状況についての認識と、今後のコロナ警報やまん防に関する協議、要請についての考え方を改めてお願いします。
(知事)現在の福岡県における感染状況についての認識です。1月に入り、感染の拡大傾向が続いており、ここ数日、新規陽性者数は3桁で推移しています。まさに第6波の中にあるという認識をしているところです。年末年始に人の移動、接触の機会が増えた、そして、また同時に感染力の強いオミクロン株への置き換わりが急速に進んでいることが、この急激な感染拡大の要因であると考えているところです。
これに対する対応です。まず感染を検知することについて、陽性者が発生した場合、濃厚接触者に限らず、幅広くPCR検査を実施する。これは従来と同様の取り組みを行います。そしてPCR検査やゲノム解析による監視を徹底し、早期にこれを捕捉して、感染の拡大を防いでいきます。
また、陽性が判明したら、本県では、第5波の段階から、「福岡方式」と呼ばれている中の1つですが、パルスオキシメーターを用いた血中酸素飽和度によるトリアージを行い、入院が必要な方、宿泊療養施設や自宅で療養する方の振り分けを行い、病床の効率的な運用を図っていきたいと考えています。
同時に、昨年末からは、無症状であって感染について不安を感じる皆さんに対する無料検査事業を開始しました。これについては、1月9日までで約2万3,000件の検査を実施しました。陽性となった方に対しては、直ちに医療機関の受診を促し、感染拡大の防止を図っています。この無料検査を実施する登録検査所ですが、年末段階では5か所でした。現在は118か所まで拡充しています。引き続き、薬局などのご協力をいただきながら、この拡充に取り組んでいきたいと考えています。
次に、医療の提供体制です。病床については1,558床、うち重症病床206床を確保しています。今後、このフェーズの引上げのタイミングは病床使用率の状況等を見ながら図りますが、前倒しすることも視野に入れ、既に関係医療機関に対しては協力要請を行ったところです。1月11日時点の病床使用率は5.9%、重症病床使用率は1.4%と、いずれも低い水準にとどまっている状況です。
次に、ホテルなどの宿泊療養施設です。宿泊療養施設は、今、全ての施設の再稼働の準備を進めており、1月下旬までには確保している全11施設2,234室を再開します。同時に、あと1施設の確保に向けて協議を進めており、まずは2,400室程度に増やしたいと考えています。
次に、治療薬の提供体制です。今、メルク社の飲み薬が既に市中に出ています。今後、ファイザー社の飲み薬も期待されています。県医師会にご協力いただき、この経口治療薬の処方が可能な医療機関は県内で395機関を確保しています。また、薬局は342か所あります。合計で737か所です。
同時に、自宅療養される方については、経口治療薬以外にも薬を必要とされる方もいます。自宅療養者への薬提供に対応していただける薬局は、1,903か所を確保しました。また、自宅療養者に対して往診、あるいは外来診療を受け付ける医療機関については、1,000機関を確保しています。さらに自宅療養者に対して訪問看護が必要な場合があります。保健所の要請に応じて訪問看護を行う訪問看護ステーションについては、56か所を確保しています。
このように検査体制、医療提供体制、宿泊療養施設の対応、さらに自宅療養者への支援体制を取っており、今後の状況の変化に機動的に対応して、これらをフル稼働させて、オミクロン株に対して立ち向かっていきたいと考えています。何としても県民の皆さんの命と健康を全力で守っていきます。
デルタ株であっても、オミクロン株であっても、基本的な感染防止対策は一緒です。県民の皆さんにおいても、マスクの正しい着用、手指の消毒、密を回避していただく、部屋の換気をこまめにしていただくなど、基本的な感染防止対策を徹底していただきたいと思います。そして、外出されるときは混雑していない時間、場所を選んで、できる限り人との接触の機会を低減していただきたいと思います。
そして、もし感染について心配だと不安を感じる場合には、県の無料検査を利用していただきたいと思います。検査場所の最新情報は、県のホームページ、コールセンターで確認いただければと思います。発熱等の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
それと事業者の皆さんに対するお願いです。各社の報道でもよく伝えられているとおり、医療機関、行政機関もそうですが、陽性者や濃厚接触者になると待機期間が設けられますので、業務を継続していくのが非常に難しくなるケースがあります。こういったことも考え合わせて、ぜひテレワークの推進を各職場において改めて検討していただき、推進をお願いします。
お互いを守るという意識で行動し、力を合わせて感染の拡大を防いでまいりましょう。よろしくお願い申し上げます。
(朝日新聞)文化賞受賞者の件ですが、川崎さんがこのタイミングでの受賞が決まったのは、理由は何かありますか。
(知事)川崎さんは、博多人形という福岡の伝統文化を代表する分野において優れた業績をお持ちです。この伝統文化の継承、発展、そして後継者の育成に積極的に取り組んでいただいており、こういったことが決定の要因であるとお伺いしています。
タイミングは、選考委員会において議論いただいていると思いますが、基本的には色々な団体からの推薦や、これまでの実績を踏まえて判断されており、特に何年間やってきたからとか、そういう一律的な期間の規定はありません。
(RKB)感染者が増えた場合の対応方針について、今のところ考えていることを教えてください。
(知事)年明け以降、新規陽性者が増えている。極めて強い危機感を持って注視しています。しかし一方、オミクロン株の特性を見たときに、現在では軽症、無症状の方が非常に多い。このことにより、今の病床使用率、特に重症病床使用率等は極めて低い水準にとどまっている状況です。
このコロナ対策において、重要なのは皆さんの命と健康を守ることです。つまり、適切な医療提供体制を維持、確保していくことです。医療をひっ迫させないことが大切ですので、本県では今、福岡コロナ警報発動の指標を病床使用率で設けています。この点については、変更ありません。
このことから、病床使用率が「15%以上」で国とまん延防止等重点措置の協議を始めるとなっていますが、推計を用いながら、この15%以上に達することが確実と見込まれた場合には、直ちにコロナ警報の発動、同時に国に対してまん延防止等重点措置についての協議、要請を行っていく考えです。
(読売新聞)沖縄県では、自宅療養者の方が車中泊をして、家庭内感染を防いでいるような事例も見られるようです。県内でも健康観察などで車中泊をしているケースが確認されていますか。今後、軽症者が増えることで、自宅療養がかなり増えてくるかと思いますが、それに対して、ケアをしていく考えはありますか。
(がん感染症疾病対策課)車中泊の情報は入っていません。
(知事)エコノミー症候群等の心配もあるので、あまり無理な自主隔離は望ましくないと思います。ただ、家族のことも心配のため、そういう対応を取られていると思います。
我々としては、自宅療養をされる際についても、必要な医療の提供については1,000の医療機関を確保していますし、また、必要な場合は訪問看護も行うため、県内56か所のステーションにも既にお願いしています。そして、飲み薬、もちろん医療機関の処方が必要ですけど、これも必要に応じて自宅療養の方にも処方をすることになるわけです。
生活支援についても、外部委託を用いながら、食料や生活必需物資を自宅療養の方のお手元にお届けする。遅くても2日以内にはお届けする体制を取っていまして、昨日も私自身が事業者の方ともお話しました。引き続き、全力で取り組んでいただきます。また、提供する内容についても、できるだけ皆さんの要望に応えられるようにやっていきたいと思っています。改善を図れるところは改善を図りながら、しっかり対応していきます。
(KBC)今日、全国知事会もありますが、今、国に対して改善を求めるようなことは何かありますでしょうか。
(知事)今はまだ、今日の知事会に向けて検討はしていますが、1つは、国は都道府県に対して、大規模ワクチン接種センターの設置を求めるというご発言もあります。
ただ、今回は1・2回接種のときと違って、都道府県にはワクチンの供給はございません。よって、本県が接種センターを設けるとしても、エリアの市町村の皆さんからワクチンの拠出をしていただくことが必要になり、その調整が必要になります。もちろん市長会、町村会等とも今いろいろ協議を進めています。ぜひ、我々のブロックで作ってほしいという場合には、市町村もワクチンの拠出に協力いただけるものとは思いますが、市町村は市町村で、ファイザーであれ、モデルナであれ、できる限り前倒しで接種を進めていきたい、また、進めていくべきであるという考えもあるので、できれば都道府県に対しても、大規模接種会場を作る場合には、ワクチンの供給を直接国からしていただけるような体制を取っていただきたいということが1つあります。
地方創生臨時交付金等の財政支援措置についても、第5波が収束した後、一旦途切れているような措置もあり、こういう財政措置の充実についても要望をしていきたいと思っています。
(NHK)病床使用率15%がコロナ警報の1つの基準ですとお話しされていました。具体的に、もしコロナ警報が出されたときの、県民だとか飲食店事業者へ、どんな規制がかかるのか、改めてお示しいただければと思います。
(知事)福岡コロナ警報の第1段階発動であれば、県単独措置による各種のお願いを県民、事業者の皆さんにすることになります。
ただ、今回の場合を考えますと、感染のスピードが非常に速い。デルタ株に比べて、感染速度が全然違っています。病床使用率で見たとしても、その病床使用率の上昇スピードが加速度的に速くなっていく恐れも、なきにしもあらずです。
そう考えたときに、県単措置と、国のまん延防止等重点措置の間の間隔は極めて短いものになると思っています。本県としては、コロナ警報を発動する段階で、もちろん国とも協議して、まん延防止等重点措置の見通し等を確認しますが、国のまん延防止等重点措置が適用されるまでの間についても、これと同等の要請を行うべきではないかと考えています。
つまり、事業者の皆さんに対する営業についても、時短要請、あるいは県民の皆さんへの都道府県間の移動についての自粛要請をお願いすることになろうかと思います。
(NHK)コロナ警報が出された場合も、まん防のときに想定されている多様な要請と同じようなことを、コロナ警報の段階でお願いするということですか。
(知事)そうしないと、この間の期間が非常に短いということになりますと、僅か1週間程度で措置内容が変わる。発表したからすぐに、例えば明日から事業者の皆さん、県民の皆さんがその行動について、予定を変える、店を閉める、といったことはできません。一定の猶予期間を置かないといけない。
それを考えますと、このオミクロンのスピードを考えた場合、この県単措置を行う時間は今回どれぐらい取れるのか。これはかえって、県民生活、あるいは事業者の事業活動において、大きな混乱を引き起こしかねないと思います。
そういったことから、県警報発動と国とのまん延防止等重点措置の協議の状況を見合わせながら、コロナ警報発動の段階から、まん延防止等重点措置と同等の県単措置を県民の皆さんに余裕を持ってお願いをしたいと思っています。
(NHK)そうすると、例えば飲食店であれば、認証店はお酒が提供できるけど、認証店でないとできないといったことも適用されるという認識でしょうか。
(知事)昨日、山際大臣から発表もありました。ただ、政府の考えの細かい内容がよく分からないところもあります。今日、確認するようにしていますが、政府がそもそも第三者認証制度やワクチン検査パッケージ等を設けたのは、やはり感染防止を図りながら社会経済を回していく、ウイズコロナに向けての出口戦略のためであったわけです。ですから、認証店と非認証店の間で、認証店に逆インセンティブを与えるようなことはあってはならない、望ましくないと考えています。
こういった意味で、認証店についても非認証店と同等の協力金が支払えることについては歓迎すべきと思います。ただ一方で、営業は午後8時まででお酒も出しては駄目となると、事業者はお休みするということも考えられるわけで、果たしてそれでいいのか、疑問に思っているところがあります。国に狙い、考え方は確認したいと思っています。そこは事業者がチョイスできるとも聞いていますので、そこをきちんと確認して、本県から事業者にお願いをする際には、明確に判断していただけるようにしていきたいと思っています。
(朝日新聞)オミクロン株の特性として、軽症や無症状が多いことで、病床使用率がそこまで上がってこず、その一方で、感染者が今後急増してきたときに、宿泊療養施設がひっ迫してくる可能性、そこをさらに超えるスピードで感染拡大した場合の対応については、いかがでしょうか。
(知事)病床に入院していただく方は中等症以上です。重症化のリスクが高いという方です。
現在は20代、30代を中心に非常に若い方の感染が多い。しかし、今後、感染が広がっていく中で、中高年齢者、高齢者の数も増えてくることも考えられます。そうすると、やはり重症化リスクも当然高くなってくるわけです。こういった方には、医療機関内での医療の提供、治療が必要になってきます。このために、本県が確保している1,558床を活用していかなければいけないと思います。
軽症・無症状の方はそこまではいかず、健康観察が必要な方については、宿泊療養施設に入所となります。感染するとホテルに1日入ればいいというものではありません。一旦ホテルに入っていただくと、10日間ほど入所となります。2,400室あっても、ホテルに全員に入っていただくことは困難な状況が到来するとは思っています。
このために、自宅療養をされる際にも、医療機関や訪問看護ステーション等の適切な医療の提供ができる体制はしっかり整えます。健康観察についても、陽性者数が相当増えた場合、本県の保健所だけでは対応が困難ですので、外部委託方式を導入しています。外部委託による110名体制の健康観察要員を配置し、こちらから自宅療養者に対し、健康状態を日々確認させていただくことをお願いしたいと思っています。
(西日本新聞)警報発動と同時に重点措置と同様の措置を行うということですが、酒類提供について、今の重点措置区域でも対応が割れているところです。認証店に対して、酒類提供についてはどうお考えでしょうか。
(知事)国の協力金を中心とした見直しについて、今日、もう一度、確認したいと思います。事業者の皆さん等の意見も伺いながら、我々もある意味、選択の余地を残すのかどうかをしっかり考えていきたいと思います。
(西日本新聞)いずれにしても重点措置になれば、認証店でも21時までの時短措置は必要ということですか。
(知事)そうです。基本的には21時まで。営業時間そのものは21時になると思います。
(終了)