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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
発表事項
(1)年頭挨拶
(知事)皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
今年の三が日はとてもよい天気に恵まれまして、皆様、お健やかに新年をお迎えになったこととお喜び申し上げます。
振り返ってみると、4月に知事に就任して以来、8月には5年連続6度目となる大雨災害に見舞われました。また、新型コロナのパンデミックについては、今もなお抜け出せずにいる状況です。
災害からの復旧は着実に進捗しています。引き続き災害防止のための改良工事、あるいは強靱化工事、そして被災地の復興、振興に向けて全力で取り組んでいかなければいけないと思っているところです。
新型コロナについては、この年末年始は非常に落ち着いた状態で本県は年を越すことができました。これも県民の皆様方が感染防止対策に非常に気をつけていただき、慎重な行動を取っていただいていること、また、認証店をはじめとする事業者の皆様方に感染防止対策を徹底していただいていることが非常に大きいと考えています。心より感謝申し上げます。
そして、最前線で奮闘いただいている医療機関や検査機関の皆様方、また疫学調査や入院調整、健康観察などに御尽力をいただいている県市の保健所、あるいはコロナ対策本部など、関係者の皆様方に深く敬意を表する次第です。
今、オミクロン株による第6波の到来の懸念が高まっています。本県としては、新たに陽性となった方の周囲について広く検査を行い、ウイルスを捕捉し閉じ込めていきます。同時にワクチン3回目の接種を極力円滑に、早く進めていきます。そして、経口治療薬の投与体制を強化していきます。
さらに、12月にも発表しましたが、準備病床から即応病床への迅速な切替えはもとより、先手先手を打つことによって、県民の皆さんの命と健康を何としても守り抜いていく覚悟です。そして、ワクチン検査パッケージや感染防止認証制度を活用して、社会経済活動との両立を図り、打撃を受けている地域経済を立て直していく考えです。
今、世界においては、こういった新型コロナウイルスの収束に向け、ワクチンの接種や治療薬の開発が進められています。デジタル化や脱炭素化の動きも加速しています。さらに、今月発効したRCEP、米中対立の激化に伴う経済安全保障の動きなど、国際競争が激しさを増している状況です。
こうした目まぐるしく変化する社会情勢の中にあるわけですが、今年の干支は、十干十二支(じっかんじゅうにし)で言うと、壬寅(みずのえのとら)という年で、非常に縁起のいい干支であると言われています。
このような年に、福岡県としても、世界を視野に、未来を見据えて、この福岡県を発展させていくため、新しい成長に向けて力強く一歩を踏み出す1年としていきたいと考えています。このため、幅広い県政の中でも4つのことに重点をおいて取り組んでいく考えです。
第1に、次の福岡県を担う人財の育成です。県内どこでも充実した教育が受けられる環境を整備していきます。また、それぞれの夢に向かってチャレンジをする青少年を応援するため、特に実践的な外国語能力の向上に向けた取り組みを進めていきます。そして、自らが生まれ育った地域に誇りを持って、その地域の未来を担う人財を育てる取り組みを県内各地に広げていきます。産業、経済、スポーツ、文化、芸術など様々な分野を担い、活躍する人財を育成していきます。中小企業、農林水産業のDXを進めるためにも、担い手の育成に取り組んでいきます。
第2に、世界から選ばれる福岡県を実現していきたい。福岡空港の滑走路の増設工事は順調に進捗しています。北九州空港の滑走路延長、あるいは下関北九州道路の早期実現。さらに雇用を生み出す産業用地の造成など、将来の発展の基盤となる社会資本整備を積極的かつ着実に進めていきます。本県が持つ優位性やポテンシャルを生かして、デジタル社会を支える大規模データセンターの誘致、あるいは先端半導体拠点の構築に取り組みます。戦略的な企業誘致を進めていきます。2023年、日本で開催されるG7サミットの誘致についても、福岡市、地元経済界とともにチャレンジを続けていきます。これを機に、本県の持つ強みを世界に向けて発信し、国内外からの企業誘致、人材の集積につなげ、世界から選ばれる福岡県の実現の一助としたいと考えています。
第3に、成長産業を創出です。本県には既にバイオテクノロジー、あるいはロボット工学技術、さらには宇宙、ブロックチェーン、こういった先端的な技術、工学を用いた企業が集積しています。こういった新たな成長産業を創出していきたいと考えています。また、カーボンニュートラルの動きの中で、響灘沖の洋上風力発電の促進区域への早期指定、さらにはCO2フリー水素を作り、運び、使う、こういった取り組みを進めます。この風力発電にせよ、水素にせよ、関連産業の集積、県内中小企業の参入を促進するとともに、これをもってカーボンニュートラルの実現を目指したいと考えています。
第4に、ワンヘルスの推進です。ワンヘルスの推進行動計画を策定します。この中で、このワンヘルス実践の中核拠点となるワンヘルスセンターの整備を保健環境研究所において進めていきます。また、動物保健衛生所を設立します。今年11月にはアジア獣医師会連合(FAVA)大会が福岡市で開催されます。これを機に、本県のワンヘルス推進の取り組みを世界に向けて、さらに発信をしていきたいと考えています。
私が目指す、住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、お子さんを安心して産み育てることができる、ジェンダー平等の地域社会づくり、これは誰一人取り残さない社会の実現を目指したSDGsの理念と軌を一にするものです。県民の皆さんとのきずなを大切にしながら県政を進め、県民とともに福岡県の未来へと続く扉を開いていき、福岡県を九州のリーダー県たるにふさわしい県に飛躍、発展させていきたいと思います。このため、力強い一歩を踏み出す1年にしたいと考えています。皆様方の御理解と御協力をよろしくお願いを申し上げます。
新年が、福岡県民の皆さんにとってすばらしい1年となることを心より祈念しまして、私からの発表とさせていただきます。今年もよろしくお願いします。
(朝日新聞)コロナについて、2点お伺いします。1点目、先ほど年末年始の感染状況が非常に落ちついているとおっしゃっていましたが、隣県などでは感染が相次いでいる事例も起きています。そうした中で、今後の見通しについて、今、知事はどのように見ていらっしゃるか教えていただけますか。
2点目は、昨年末に尾身会長らが、「オミクロン株の感染者全員入院の方針を、都道府県ごとに見直す」という意見を政府に上げていました。まだ、政府から正式な通知はないと思いますが、県として、今後どのようにしていきたいかという方針がおありでしたら、教えていただければと思います。
(知事)本県については、12月下旬以降を見ると、新規陽性者数はデルタ株の方が多いわけです。新規陽性者数が2桁となる日は増えていますが、やはり依然として低い水準にとどまっている状況です。オミクロン株についても、散発例は見られますが、県内の各地域に広がっている状況には、まだ至っていないと見ています。
しかしながら、全国的に、あるいは隣県において増加傾向が見られています。東京、大阪では感染拡大傾向が2週間以上続いています。予断を許さない状況にあるという認識です。
引き続き、変異株のPCR検査、そしてゲノム解析による監視を徹底して、幅広に検査をかけて、そして陽性者を早期に発見して、対処していくことによって、感染拡大防止、封じ込めを図っていく考え方です。
それと、尾身先生たちが年末におっしゃった、今後のオミクロン株陽性者への対応ですが、現段階で政府からの方針の変更は伝えられていません。ただ、これからオミクロン株が急激に広がっていく、増えていくことを想定した場合に、今のように全員を入院させることは、非常に無理が出てくると私も思います。
特に全ての病床が陰圧室ではないことを考えると、医療機関内における感染リスクもあります。やはり、オミクロン株で陽性になった方に対する入院措置についての方針見直しが早期に必要であると考えていまして、本県からも厚生労働省に対して、意見を申し上げています。
(西日本新聞)関連して、オミクロン株の広がりについてです。知事はデルタ株が多いとおっしゃっていましたが、デルタのスクリーニングの結果、多くはデルタ株が陽性になっているということでよろしいでしょうか。ゲノム解析に回っている検体はあまり多くないということでしょうか。
(がん感染症疾病対策課)ゲノム解析に回している件数は、徐々に増えてきているというのはあります。
(西日本新聞)ゲノム解析に回しているけど、そこでオミクロン株ではなかったというケースが多いということですか。
(がん感染症疾病対策課)現在、解析中です。
(西日本新聞)解析に回っている検体が増えているということでしょうか。
(知事)スクリーニングでデルタ株が陰性になって、ゲノム解析に回す件数は増えてきています。この年末年始の全体を見ると、陽性者の中では、やはりデルタ株の比率がまだ高いということです。
(西日本新聞)年明けから徐々にゲノム解析に回っている検体が増えている、徐々に増えていっているという状況でしょうか。
(がん感染症疾病対策課)そうです。
(NHK)病床の使用率が15%に満たなくても、コロナ警報を出すかもという話が年末にあったかと思います。現在、使用率が2%前後と低い水準で、年末に無料の検査も早く進めたこともあります。今後、コロナ警報も先手を打つといいますか、対応として、警報を出す基準といいますか、考えていらっしゃることはありますか。
(知事)病床使用率は現在2%程度という状況です。しかしながら、12月に発表したように、オミクロン株であると推定される方が1日あたり30名を超える状況になれば、まず、全1,558病床を準備病床から即応病床に切り替えるという対応を取ります。そうした上で、県民の皆さん、事業者の皆さんに対する各種の要請措置を伴う「コロナ警報」については、その状況を見て判断をしていきます。
(共同通信)オミクロン株の感染者について、全員入院という政府の方針に対して、見直すように厚生労働省に申し入れているというお話がありましたが、いつ、どのような形で申し入れているのか、少し具体的に教えていただけますか。
(知事)本県の事務方は、常に厚労省とは意見交換をしていますので、そういった中で、オミクロン株陽性者の入院措置についての見直しを早期に、明確に出していただきたいと申し上げています。
(RKB)経口治療薬の投与体制を強化するという話でしたが、何か具体的に進んでいる話はありますか。
(知事)今現在、経口治療薬の投与体制については、処方できる薬局が292か所登録しています。これについて、可能であればさらに拡大していきたいと思います。
この経口治療薬が、大きなゲームチェンジャーになってくると思います。
(FBS)重点目標の人財の育成、充実した教育が受けられる環境について関連すると思いますが、県立高校のタブレット端末については、今どういうお考えでしょうか。
(知事)現在、県立高校におけるICT教育環境の整備は、既に取り組んでいます。そういった中で、生徒の皆さんがお持ちのスマホを活用しながらという実証もやっているところです。そういったこともありまして、大体3分の1から4割ぐらいの生徒さん向けの端末は県で用意していますが、全員分はない状況です。
しかし、小中学校が既に1人1台になっています。また、大学に行くと、今では紙のノートではなく、学生はタブレットで記録を取り、また先生に質問することが一般的になっています。
こういうことも考え合わせたときに、県立高校においても充実したICT環境の整備、教育環境の整備は必要であると考え、タブレット整備について、積極的に進めていきたいという考えで検討を進めているところです。
(FBS)できれば全員分ということですか。
(知事)予算的な検討をしなければいけませんが、極力、効率的な方法でとは思いますが、基本としては、1人1台タブレットという形を目指して進めていきたいと考えています。
(終了)