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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
1 発表事項
(1) 1都3県への緊急事態宣言発令を踏まえた新型コロナウイルス感染症への対応について
(福岡県新型コロナウイルス感染症対策本部(事務局:がん感染症疾病対策課))
(知事)一昨日ですが、本県において新型コロナウイルスの陽性者約9,500人分の個人情報の漏えいが発覚しました。関係者の皆様、県民の皆様に心からおわびを申し上げます。
現在、調査を進めているところですが、これまでのところ、報道された男性以外については情報がインターネットで拡散されているという報告を受けていないところです。対象となられました皆さまには、事実関係のお知らせと同時に、謝罪をさせていただきたいと思っています。また、再発防止に努めていきたいと考えています。
先ほど、新型コロナウイルス感染症対策本部を開きまして、現在の感染状況、医療提供体制、国から出された1都3県を対象とする「緊急事態宣言」とその「基本的対処方針」を踏まえ、県民及び事業者の皆さんに以下のお願いを要請することとしました。
まず、県民の皆さんに対してです。緊急事態宣言の期間、今日から2月7日までですが、対象となっている東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県への移動を自粛していただきたいということです。
また、会食につきましても、会食はお店だけではなく、個人のお宅で行うホームパーティーも含め、なるべく普段一緒にいる方々と少人数、短時間で、会話の際はマスクを着用して、大声を避けていただきたいということです。最近、自宅感染が非常に増えています。その対応の一つです。
それから、今までも要請してきていることを引き続きしっかりやっていただきたいと思います。県外への移動については目的地の感染状況、自治体の呼びかけを確認して慎重に考えていただきたい。
それから、高齢者との接触は、お一人お一人慎重に対応していただきたいということです。
事業者の皆さんに対しては、引き続きガイドラインに従った感染防止対策、ステッカーの標示をお願いし、国と同様、在宅勤務をしっかりやっていただき、人との接触を減らす、そのための事業運営をやっていただきたいということです。
それから、コロナにより本当に多くの事業者の皆さんが大変な困難に見舞われているわけですが、経営が非常に厳しくなっている事業者の皆さんには、県、商工会議所、商工会といった相談窓口にご相談いただきますようお願い申し上げます。
感染状況ですが、本部でご報告したとおり、昨日は陽性者数が388名となり、過去最多になりました。合計で1万人を超えたわけです。病床稼働率は64.3%、重症病床稼働率は18.2%と、前回のピーク時と比べると低くなっていますが、徐々に上がってきているところです。
このため、本県としては、医療提供体制が逼迫する事態が生じないように、病床、そして宿泊療養施設の確保をより一層進めていきたいと考えています。病床ですが、現在600床、そのうち110床が重症者向けです。現在も医療機関と協議を続けており、随時増床をしていく予定です。今日も、本日付で約10床ぐらい増床する見込みです。宿泊療養施設ですが、現在4施設、1,057室を確保しており、できるだけ早期に追加の施設を確保すべく、今、関係者と協議をしており、来週中には1施設稼働させていきたいと考えています。
このたびの緊急事態宣言は、1都3県を対象として発出されたものです。国の分科会の提言にある「ステージ4」からの脱却を目指すものだとされています。それと比べますと本県は、その前段階であるステージ3にまだ該当していないと考えていまして、まだ踏みとどまっている状況です。直ちに医療提供体制が逼迫する状況にはないわけですが、この足元の状況を見ますと、感染状況は決して予断を許すものではありません。強い警戒感を持って今後の動向を注視し、また分析をしっかりやっていきたいと思います。
なお、今後、感染拡大の歯止めがかからず、医療提供体制が逼迫するようなおそれがある場合には、県としては追加的な措置、また国に対して緊急事態の宣言区域に含めていただく要請、これらを視野に入れた検討を進めていかざるを得なくなると思います。そういう意味で、まさに今が正念場です。県民の皆さん、事業者の皆さんにおかれましては、先ほどお願いしました点について、しっかり守っていただきますようお願いします。
最後に、話が変わりますが、大雪です。
現在、県内に大雪注意報が発表されています。夜にはこれが大雪警報に切り替わる見込みとなっています。今後の気象情報、あるいは市町村からの防災情報には、十分御注意ください。
特に路面凍結による転倒、車両の運行が大変難しくなるおそれがありますので、不要不急の外出は控えていただきたいと思います。また、風が強い中での屋外の作業は非常に危険です。これを控えていただくこと、それから水道管の凍結防止措置、あるいは停電への備えというのを各家庭でやっていただきたいと思います。
(記者)今回、新規陽性者数が300人台という非常に大きな数字になっていますけれども、まだ踏み込んだ、時短営業などの措置は取られませんでしたが、その点について、知事としてのお考えをお聞かせいただけますか。
(知事)今回、388人で過去最高となりました。一方で、1都3県に対して、ステージ4からの脱却ということで緊急事態宣言がなされたわけです。それを考えますと、私どもは今、ステージ3に当たるか当たらないかのところで踏みとどまっているのではないかという認識です。これは色々専門家の方々ともご意見を交換した結果でありますが、そういう認識をしています。
そこで、今までお願いしたものに加えて、緊急事態宣言の対象期間は対象区域への移動を自粛していただくことを新たに付け加えてお願いします。
それから、会食についても色々お願いをしてきましたが、自宅での感染が増えています。年末年始にホームパーティーをされた方も大勢いらっしゃるということも言われていますので、それも踏まえて、家庭における会食も対象にして、しっかり対応していただきたいというのを加えました。
それから、人との接触を減らすということで、在宅勤務を増やす、テレワークを増やす、あるいは時差通勤、自転車通勤をしていただくとか、そういったことを企業側でも努力をしていただきたい、協力していただきたいと思います。
まずはこれらをしっかりやって、今のこの状況に歯止めがかかっていくかどうかしっかり見極め、分析します。医療提供体制がしっかり提供され続けるかどうかという観点から見ていきたいと思います。
今回の1都3県で実施されるような追加的な措置も頭に置きながら、また緊急事態宣言地域の区域に追加していただくお願いをするかどうかを考えていきたいと思います。
(記者)さっきおっしゃったような取組というのは、おおむね今までもやってきた取組だと思うのですが、これを改めて呼びかけることで、どういうメカニズムで今の300人台というのが減るとお考えですか。
(知事)一つは、まず、この388人という数字をどう見るかという議論、これは専門家の方々と色々意見交換をしましたが、年末年始を挟んで、年が明けた後、医療機関を受診される方が増える、それから、検査を受けられる方が増えたと。そういう意味で、この季節特有のものなのかどうかというのはもう少し見極める必要があるのではないかということが一つあります。
それから、緊急事態宣言の地域については、今まではご自身で行くかどうかを考えましょうと言っておりましたが、1都3県に対して宣言が出された以上は、県民の皆さんには、これらの地域との移動は控えていただきたいという意味で、新しく追加したということです。
(記者)医療提供体制についてですが、知事の言葉で、「直ちに逼迫する状況にはない」ということですけども、この病床稼働率を見ますと、66%を超えていまして、「パンク寸前」という医療現場の声と少し乖離があると感じるのですが、どうして「今、逼迫する状況にない」と、今、知事がおっしゃるのか、そして今、今日もベッド数も10床ぐらい増えて610床になる見込みということですが、どこら辺までそのベッドの数を増やしていきたいというのはありますか。
(知事)最後から答えますと、760床が目標になっており、できるだけそれに一日も早く近づけていきたいということで、できる限り毎日増床していきたいという気持ちで医療機関との調整をしている状況です。
それから、医療の逼迫状況をどう見るかということですが、現場の声をお聞きしながら、また、専門家の意見も聞く必要がありますが、大事なことは、陽性者の方々のそれぞれの症状に合わせた適切な医療が提供されることです。したがいまして、陽性者の症状に合わせて、症状が出ない方、無症状者の方もかなりいらっしゃいますので、そういった方々が宿泊療養施設に入っていただいて、医療機関において治療しなければならない方々に絞って入院をしていただく。
今、専門家とも議論をしているところですが、今入院されていて、すでに快方に向かわれている方でも、あと少しだからそのまま継続入院をされている方もいらっしゃるわけです。そういった方々についてきめ細かく、入院・入所のときの仕分だけではなくて、退院されるまでの間の過程で大丈夫な方はそのまま病院にいていただくのがいいのかどうか、そういったことも含めて今議論をしているところです。
(記者)踏み込んだ追加の措置とか、緊急事態宣言に入れるかどうかの検討なのですけど、その数字的な目標というのを示したほうが協力とかも得やすいと思うのですけど、知事はその辺はどういうふうにお考えでしょうか。
(知事)これは、尾身先生も色々記者会見で言っておられますが、一個一個の指標の数字、それはそれで意味がありますけれども、総合的な判断が必要だろうと思っているわけです。一方で、感染拡大をこれ以上許さないという課題、一方で、厳しい措置というのは長続きをしない、影響も大きいということもあります。そういう意味で両方のバランスを取る。それから、どれだけの期間それが必要かどうかとか総合的な判断をしていかねばならないので、毎日毎日しっかりモニターして、分析し、現場がどういう状況になっているかを考えながら、スピーディーに決断していかなければならないと思います。
(記者)先ほどのやり取りの中でも、第2波と比べて重症病床稼働率がまだ25%以下だと。
(知事)低いです、はい。
(記者)そのように低い状況だと思うのですが、その追加の措置を考える上では、重症病床の稼働率25%というのは一つの指標になるのですか。
(知事)指標にはならないということを申し上げるのではなく、一つの指標がどうだ、ではなくて、色々な指標を集めて総合的な判断をしていく必要があるということを申し上げています。A指標、B指標があるとすると、それぞれが違えば総合判断が変わってまいりますので、1個の数字を挙げるのは難しいと申し上げました。
(記者)先ほどステージ3にも当たるか当たらないかの現状だという説明でしたが、それは昨日までの状況も踏まえてそういう分析ですか。
(知事)昨日、388人の前提として、4,000件以上PCR検査を行いました。検査数を大幅に増やしているけれども、陽性率は7、8%とか、ある程度抑えられています。
(記者)一方で、一番重要視されている医療提供体制の点で、病床稼働率というのはもう昨日の段階で66.5%、これだとステージ4の値に非常に近づいていますが。
(知事)数字的には、一部該当すると思います。
(記者)陽性率もこの2日で、6、7%とばんと増えて、少なくともステージ3以上にはなっている指標にはなるかと思うのですけれども、その辺を踏まえてもまだ達していないということですか。
(知事)陽性率はステージ3に該当していない。
(記者)陽性者数では、どうですか。
(知事)陽性者数は該当しています。
(記者)その辺を踏まえても、まだステージ3ぐらいという判断ですか。
(知事)そうです。総合的な判断をすると、病床数、宿泊療養施設を増やし、適切に入院、入所していただく、それをしっかりやりながら、今日お願いしたようなことをもう1回しっかり県民の皆さん、事業者の皆さんにご協力いただきながら、これを実現し、何とかこれに歯止めをかけていきたいと思っているところです。
(記者)この質問に関連してなんですけれども、ステージ2ですときちんと評価した上だとは思いますけども、県民に「まだ大丈夫」という誤ったイメージを与える可能性もあるかとは思うのですけれども、それについてはどうお考えですか。
(知事)決して予断を許さない状況にあると思っています。ものすごく強い警戒感を持って、今の事態と今後の推移を見ているわけです。そして、しっかり分析して対応していくことが基本です。
今しっかり事業者の皆さん、県民の皆さんに取り組んでいただかなければ、このまま感染拡大に歯止めがかからず、ひいては医療提供体制が逼迫するような事態にもなりかねませんので、事業者の皆さん、県民の皆さん、改めてお一人お一人が人にはうつさない、人からうつされない、ひょっとしたら自分がかかっているかもしれない、という感染防止の基本をしっかり意識し、行動していただくことがまず第一だろうと思っています。
(記者)とはいえ、現状300人以上、それがどうかという評価はこれからなのかもしれないのですけれども、この数字のままでいっていいのか、それとも減らすべきなのか。
(知事)陽性者がたくさん出ますと医療提供体制に負荷がかかる、これは当然です。したがって、この数字はできるだけ抑え込みたいと思っています。この388人は、年末年始にかけての行動の結果だということですし、正月明けに、医療機関を受診される方が増えたということで、今の数字が出てきているかについてしっかり分析し、見極める必要があると思います。基本的には、できるだけ感染防止をし、陽性者を減らすということですが、そのためにも今日お願いしたことをしっかりやっていただきたいということです。
(記者)評価の見方なのですけれども、そうすると300人に達していない、100人後半ぐらいのレベルであれば維持可能だったということ、そういうふうにも受け止められるんですけれども。
(知事)維持可能かどうかというのは、病床数と宿泊療養施設の確保の問題であり、医療スタッフを含めて、医療提供がしっかりできる、全体が対応できるような体制を取れるということが大事なわけです。社会経済活動が続く限り、人との接触や地域間の移動が少なからずあるわけです。そういう中にあって、陽性者が発生するということは致し方がないところはあると思います。
しかしながら、一人一人の行動を変えることによって、人との接触を避けることによって、陽性者数が減ることは分かっているわけだから、それはしっかりやっていきたいということであって、そのレベルが100人だったら福岡県は回るとか回らないとかは、医療提供サービスの提供者側と、陽性者の発生数とのバランスの問題です。
それから、一つだけ言うと入院の方もいらっしゃるけれども、数十人が毎日退院されています。出られる方もいらっしゃる、入る方もいらっしゃる。そこのバランスをうまく取っていければ、全体として医療提供体制の負荷が減っていく。それをできるだけ早く実現できたらいいなと思っています。
(記者)緊急事態宣言の要請も視野に入れた検討をせざるを得なくなるというところなのですけど、これは、国はステージ4からの脱却というのが緊急事態宣言のポイントにしていますので、それを検討せざるを得なくなるというのは、ステージ4に入った段階でそういう検討をせざるを得なくなるという認識でよろしいのですか。
(知事)少なくとも今の段階では、国はステージ4からの脱却ということで1都3県の宣言をしています。本県としては、まだその手前のステージ3に当たるか当たらないか。今、非常に正念場だということです。ステージ4に該当するかどうかというところと、ステージ3の手前だというところの両方を総合的に判断して考えなければならないから、どうなったらどうだということは、今はなかなか難しいわけです。まずはステージ3の手前に本県はいると思っているから、そこを超えるかどうかというところが一つの考えどころだと思っています。
(記者)じゃあ、考え方とすればステージ4に入った段階ではなくてステージ3の段階からもう検討されますか。
(知事)その段階から色々考えていかねばならないと思います。
(記者)緊急事態宣言を要請されますか。
(知事)そこは総合判断をすると申し上げています。今のところ、ステージ2にぎりぎり踏みとどまっていますが、これから先どうなるか分からないので、それはそのときに色々な指標を見て、総合的な判断をして、特に一番大事なのは医療提供体制の確保ですから、そこを見て次の一手、次の行動というのを考えたいということです。
(記者)さっきから関連で出ているステージの話なのですけども、昨日時点で県が公表しているデータを基にすると、本当にステージ4に当たっている項目がもうかなりあって、それでも、今、知事は「ステージ3にも入ってない」とおっしゃいましたが、逆にどういう状況になれば、あと何が満たしてしまうとステージ3に入るのかというご認識はいかがでしょうか。
(知事)それぞれの指標が3、4に掲げられているわけです。全体がどういうふうに当てはまっているかを見ていくということですが、その数字が、単に超えている、超えていないだけではなくて、現場の医療提供体制が、実際にどんな状況になっているか、直接、専門家とか医療機関、関係者と今も色々議論しています。そういったものを併せて総合的に検討していくということです。
一方で、それに該当したときに対応策を考えなければならないので、その対応策が、状況に合ったピンポイントで効果のあるような対策になるかどうか、これを含めて考えていくため、そういう意味では、どういう状況でどういう体制というのが、ある種総合的に判断しなきゃいけないところがあるから、今、確たることが言えないと申し上げたのはそういうことです。
(記者)逆にお聞きすると、仮にステージ3に全ての指標が満たしても、医療現場からそういう声が上がっていなかったり、専門家からステージ3じゃないと言われたら、それは総合的に判断して、その可能性もありますか。
(知事)言いたいことは、今、行政は行政として医療提供体制側の充実強化を図る、県民の皆さん、事業者の皆さんはそれぞれの行動、事業活動においてしっかり協力、ご理解をいただきたいと思います。それをやることによって、今の状況から脱却をできるはずだし、したいと思っています。
まずはそこが先であり、どうなったらこうする、ああするということではないような気がします。それより、毎日毎日それぞれが意識をして行動する。その積み重なりが結果の数字ですから、結果も見ながら、深く分析をしながら対応を考えていく。毎日毎日しっかりモニタリングして分析して、どう対応するかを考え続けていくということです。
(記者)確保想定病床の760床で、それに対してもう稼働率が50%を超えちゃっていると思うのですけれども、確保想定病床が増えれば病床稼働率は下げられるかなと思うのですけれども、760床をさらに上げる計画はありますか。
(知事)将来あり得ると思いますが、まずは760床に向けてやっていきます。先日、600床と言ったのですが、今日も10床ぐらいまた増やします。毎日ずっと協議していますので、どんどん積み上げていきたいと思います。
(記者)昨日知事は福岡、北九州市両市長などの首長とも協議されたと思うのですけれども、両首長から、もしくはほかの首長からもそうですけれども、時短要請をしてほしいとか、もしくはステージについて、何か県と違う考えが出たりとか、そういうことはあったりするのですか。
(知事)本県の足元の感染状況の分析、医療提供体制、このタイミングでの国の動き、緊急事態宣言とその中身、考え方、それらを踏まえて、県としての考え方をまとめて、数日来、両政令市、久留米市、市長会、町村会、色々なレベルで協議をしてきたわけです。今日お示ししたような内容を本県は提示し、これについては全員賛成でした。
(記者)テレワークを事業者にも要請をするということですけれども、どの程度まで要請するのか。春のときは数字を出されていたかと思いますけれども。
(知事)第1波のときにもお願いをしたわけですが、両方の意見、なかなかうまくいかなかったなというところと、やればできるじゃないかという企業が出ています。それぞれの企業の実態は違うと思いますが、それぞれの業種、事業を所管する商工部をはじめとする各部において、関係団体に対して、もう1回改めてお願いをするということです。業種、業態に合わせて、できるだけ人との接触を避けるような工夫をしていただきたいとお願いすることになると思います。
(記者)ということは、数字的な目標を示さずにできるだけということですか。
(知事)今のところはそうです。
(記者)時短営業まで踏み込まなかったということですけれども、これはやはり、経済を止めてはいけないというか、そういった考えというのはあったのでしょうか。
(知事)人の命は非常に大事です。一方で、感染防止対策として厳しい措置を実施すれば、それだけ社会経済活動、雇用に影響が出るわけです。また、そういった措置は長続きをしないわけです。したがって、コロナとは長く向き合っていかねばならない段階で、ピンポイントで強い措置を行って息切れしてはいけないわけですから、感染拡大の防止と、社会経済活動のバランスを当然考えざるを得ない。そういうことも含めて、今回の私どもの決定に至ったということです。
(記者)自宅待機なのですけれども、キャパを超えてしまって、完全にちょっと目詰まりを起こしつつあるような状況になっていると思うのですが、これについてどういうふうに対応していこうというのはございますか。
(知事)今、自宅待機は確かに増えてきている。自宅感染も増えているから自宅待機をできるだけ減らしたいというのが基本的な考え方です。今までも一生懸命やっていますけど、ここのところ数字がとても増えているため、入院と入所の調整に若干の時間がかかっているようになっているということです。そのために二つ考えていて、一つは医療提供体制という意味では、ベッド数を増やすこと。それから、宿泊療養施設については施設数を増やす。来週末にも立ち上げたいと考えています。
それで、キャパシティーを広げていくと、それだけ宿泊療養施設の数が増えるので、入る人から見ると選択肢が増えます。あそこは遠いから入りたくないとか、そういうことはなるべく減らしたいので、受皿を整備すれば、それだけ入ってもらいやすくなるのではないかというのが第1点。
それから、もう1点は、「あなたは陽性です、症状に合わせた形でこの病院へ、あるいはこの宿泊療養施設へ」とお伝えする時、宿泊療養施設への入所は、保健所による呼びかけが極めて大事になりますので、昨日両政令市長、久留米市長、市長会、町村会代表と協議した際にも、一層の呼びかけ、働きかけを強化してもらいたいということをお願いしたところです。
(記者)第2波のときに保健所がパンクしていましたけど、今、もっと数が増えて、もっと手が回らなくなっているかと思います。
(知事)そういう状況があります。それで、昨年、県と市長会、県と町村会で保健師の応援派遣の協定を結んだわけです。今回、25人の市町村の保健師が、4つの宿泊療養施設のスタッフとして協力に来ていただくことになったということですが、今後、そういった仕組みも考えます。それから、経験者をもう1回採用するとか、保健所職員の負荷を見ながら、しっかり対応していきたいと思っています。
(記者)医師会が昨日の記者会見の中で、第2波の2倍ということで300人と、そこまでは想定しているという話をされて、恐らく300人がマックスという想定で今シミュレーションされているようなのですが、それを今、300人を超える水準になってきたときには、さっき知事がおっしゃったバランスというのが成り立っていくのでしょうか。
(知事)第2波では、324人入院されたわけです。あのときの確保病床数は490床でした。医療関係機関のご協力によって病床数は増えてきており、その努力は引き続きやっていくということ、症状に合わせた仕分をしっかりやって、陽性者の中で多い無症状者、軽症者の方々に宿泊療養施設に速やかに入っていただくことが、非常に大事なことだと思っています。
(記者)12月に、大阪や北海道で、大阪市に出すとか札幌市に出すとかでエリアを絞った外出自粛要請だったり、時短要請をして、ちょっと下がったのかなという感じだと思いますが、福岡県で緊急事態宣言を要請するようになる前に、そういったエリアを絞った要請をする考えとかは検討されたのでしょうか。
(知事)これは今後の事態の推移を見ながら分析し、医療提供体制を中核に据えて、どういう対応を取っていくかということになりますが、課題に対する対策の検討案の一つにはなると思っています。
というのは、第1波の後、5月だったと思いますが、北九州市で急増したときには、北九州市限定で市民の皆さんへ市外への外出自粛をお願いしました。それから、特定の2業種について休業協力を要請しました。あのときは全国に先駆けて地域限定バージョンで要請させていただきました。そういう経験もありますし、それらも踏まえて、防止対策と効果的な対策、そしてなるべくほかの分野への影響が小さくなることを総和として考えていきたいので、色々なアイデアの一つにはなると思います。
(記者)県内各地で成人式がひかえていますが、成人式の呼びかけとかあれば教えてください。
(知事)若者が一つの節目を迎えて、新たな人生の次の一歩を踏み出される大事な時期にこういうことになっているのは非常に残念です。しかし、今、世界中でコロナに直面をしているわけですから、その中において、それぞれの成人を地域の皆さんと共に祝うということは大事であるため、その地域の事情に合わせて感染防止対策をしっかり取りながら、どういう形で実施するのかを考えていただければと思います。
(記者)実はホームパーティーで結構感染が増えていますというお話されていましたが、何件ぐらいでていますか。
(知事)それは後から数字で出せる範囲でお答えします。
(がん感染症疾病対策課)ちょっと正確な数字は出せませんが、こういった事例があるというような内容はまたお話しできる機会があるかと思います。
(記者)それは、時期的にいつ頃からそういう事例とか、もし何かあれば。年末年始の特徴というふうに絡めて分析できればこちらもありがたいので、そういうところも分かれば教えていただければ。
(がん感染症疾病対策課)はい、検討します。
(記者)冒頭に情報漏えいの話をおっしゃっていましたが、知事が情報漏えいについて把握されたのはいつのタイミングだったのかというのが一つ。また、再発防止に努めるとおっしゃっていましたけれども、具体的にどんなことをされる予定なのか。
(知事)定例の年頭会見を行い、部屋に戻る途中に、報道機関からのぶら下がりがあり、そこで質問された時がその話について私が耳にした初めてでした。ですから、「まだ承知をしていない。調べてみます」というお答えをそのときさせていただきました。それが最初です。
それから、これまでのところ、インターネット上で当該データが誤送信した相手以外の方にどこまで広がっているかというところは確認できてないので、引き続き、事実関係の確定を急ぎたいと思います。その上で、事実が判明した段階で、なぜ情報漏えいが起こったのか、また、起こらないようにするためにはどうしたらいいかという再発防止をしっかり検討したいということです。
(記者)現状、グーグルドライブで個人情報を入れたものの運用を一旦やめていますけれども、入院調整に何か影響が出たりとかしていますか。
(知事)今おっしゃったとおり、コロナ本部に入院調整本部というのがあって、陽性者の方の症状に合わせて適切な医療機関に受け入れをお願いしているわけです。それに使うためのツールだったわけです。個人情報の塊であるために取扱いは十分注意してきたわけですが、医療関係者の方が出したメールが、似たようなアドレスの別の人に行ったということが発端となりました。個人情報は全部、今、削除されており、入院調整には支障が出ないような形で、個人情報を守りながら速やかな調整を今、一生懸命やっています。
(記者)滞っているということはないわけですね。
(知事)ないです。むしろ、しっかり調整していかないといけないと思っています。
(終了)