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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
発表事項
(1)オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策について
(2)緊急事態措置の適用を国に要請する目安について
(新型コロナウイルス感染症対策本部(事務局:がん感染症疾病対策課))
(知事)先ほど、本県の新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、オミクロン株の特徴を踏まえた対応を決定しましたのでお知らせします。
本県においても、先週土曜日の2月5日に、新規陽性者数が5,607人、過去最多となったところです。昨日の日曜日には3,946人、本日は3,191人と、3千人台にはなっていますが、これは休み明けの数字でもありまして、ピークアウトをしたと言えるような状況にはないと考えています。
第6波の感染ですが、これは年末年始や1月の3連休でのパーティ、会食など、飲食の場でのクラスターに端を発しました。まん延防止等重点措置の実施に伴い、現在、ほとんどの飲食店の皆さんは、営業時間短縮に歯を食いしばってご協力をいただいているところです。心から感謝を申し上げます。このようなご協力の効果もあり、現在、飲食店でのクラスターはほとんど見られないという状況です。
こうした中で、感染の場は、学校、保育所、高齢者施設等に移っており、そこから家庭に持ち込まれるというケースも増加してきています。
このようなオミクロン株の特徴を捉え、国の新型コロナ感染症対策分科会におかれては、いわゆる「新たな急所」とも言うべき場における感染防止策を緊急事態宣言の発出を待つことなく実施するように政府に提言されました。これを踏まえ、文部科学省から通知が4日に発出をされたところです。
本県としても、一刻も早くこの感染拡大を防ぎ、医療のひっ迫を回避するとともに、社会経済活動を維持するため、対策を直ちに実施します。
今回の対策を挙げています。まず、県立学校において実施を控えるものです。
まず学校について、大前提として、臨時休業は、児童・生徒の学びの保障や心身への影響、また、保護者の負担を踏まえて、慎重に検討する必要があると考えています。この点は学校に対しても、今回の通知をもって慎重に検討するように連絡しています。こういった中で、生徒の皆さんが長時間、近距離で対面形式となるようなグループワーク、また、近距離で一斉に大きな声を出すといった活動は実施しないこととします。また、実技の科目は色々ありますが、感染防止対策を十分に講じた上で実施することとし、近距離となる調理実習等の活動や、クラスマッチ等の感染リスクが高い学校行事は実施しないこととします。課外授業については、進学や、就職の指導を除き、実施しないこととします。部活動についても実施しないこととします。ただし、公式大会への参加及びそのための必要最低限の活動を除くこととしています。
市町村、教育委員会及び学校設置者におかれては、県立学校の取り組みを参考とし、地域の実態に応じて、適切に判断をしていただきますようお願いします。
次に保育所、認定こども園、放課後児童クラブです。保育所、放課後児童クラブにおいては、社会機能の維持の観点から、保育の確保と感染の防止を両立させるためにも、改めて基本的な感染防止策を徹底していただきたいと思います。発育状況等から、マスクの着用が無理なく可能であると判断される児童については、可能な範囲でマスクの着用を推奨していただきたい。難しい場合には、無理して着用する必要はありません。また保護者に対しては、送り迎え時の三密の回避、マスクの着用、消毒の徹底を協力・要請していただきたいと思います。
次に、高齢者施設、障がい者福祉施設についてです。介護現場における基本的な感染防止策を徹底していくことを繰り返しお願いしています。そのような中で、県が現在実施している、週1回受けていただくことができる高齢者施設職員などを対象としたPCR検査事業を活用し、職員の検査を促進していただきたいと考えています。発熱時は出勤しないよう徹底をお願いします。また、通所介護事業所等の利用者に対する健康状態の確認、マスクの着用、手指の消毒といった感染防止対策を徹底していただきたいと思います。特に、入所施設と併設している事業所における職員の動線、共有スペースの分離といった対策を徹底していただきたいと思います。もし陽性者が出た場合には、施設のゾーニングや介助をするときの留意点等に関して、感染症の専門医等から指導・助言を受け、適切に対処していただきたいと思います。
次に事業所についてです。事業所の皆さんに対してはこれまでもお願いをしていますが、改めて業務継続の観点から、在宅勤務などの活用による出勤者数の削減目標を前倒しして設定するようお願いします。
次に、県有施設についてです。一律に県有施設を閉館するといったことは実施しませんが、各施設におかれては、近距離、あるいは密集を生むといった活動など、感染リスクが高い活動について控えていただくように利用者や主催者に要請することとします。
次に、緊急事態措置の要請の指標について説明します。
現在、陽性者が増加していることに伴い、重症者、そして酸素投与が必要な中等症者の方も増加しています。2月6日時点では、重症者は11名、酸素投与が必要な中等症者は382名。合計393名となっています。この状況が続くと、医療提供体制や病床がひっ迫することが懸念されます。
このため、国に対する緊急事態措置の発出の要請については、目安を設定したところです。このことにより、社会全体のさらなる感染防止対策の徹底を図りたいと考えています。
この目安ですが、まず一点目は、新規陽性者数の7日移動平均の増加傾向が継続している点。もう一点は、医療のひっ迫度を見るという面から、病床使用率の改善が見込まれない中で、重症者数と酸素投与が必要な中等症者の数、この合計が730名を上回ると見込まれる場合です。この感染状況と医療のひっ迫度のいずれもが該当するという場合において、専門家や市町村と協議を行った上で、総合的に判断を行います。また、このような目安を設けて対応しますが、現在入院中の方で、コロナは陰性だったが身体機能が落ちている、あるいは介護、介助が必要である、透析が必要である、こういった理由から一般病棟への転床、転院がなかなか難しいという方もみられます。こういった方の受け入れについては、後方支援病院の皆さんに一段のご協力をお願いします。いつ誰がどこで感染してもおかしくないという感染状況が続いています。互いで互いを守る。守るべきかけがえのない命を守ってまいりましょう。改めてマスクの着用、手指の消毒といった基本的な感染防止対策を徹底し、そして混雑した場所は避ける、混雑しそうな時間に行くのはやめる、こういった慎重な行動をお願いします。
そしてワクチンについてですが、市町村や県の接種会場、あるいはかかりつけ医で接種できます。3回目の接種による予防効果も十分考えていただき、ワクチンの種類に関わらず積極的に接種を受けることをご検討いただきたいと思います。みんなの力で感染を封じ込めてまいりましょう。よろしくお願いします。
(共同通信)まず緊急事態宣言の国に要請する目安ですが、改めて、これまでの基準について説明していただきたいと思います。それについてどういう点がオミクロン株に即していなかったのかをご説明ください。
(がん感染症疾病対策課)従前の基準は、コロナ特別警報発動後に国と緊急事態措置の適用について協議を開始し、病床使用率が約50パーセントに達した段階で適用できるように国に要請を行うこととしています。
(知事)コロナ警報を定めた段階で、コロナ特別警報を発出し、さらに病床使用率が50パーセントを超えることが見込まれた段階で、国と緊急事態措置についての協議をしていました。しかし、今回のオミクロンの特性として、非常に軽症の方も多い。そういったなかで色々な状況から入院をしていただいている方が多いわけですが、やはり命に直結する重篤度をしっかり見ていく必要がある。こうしたときに重症者の数、さらに、重症化に結びつきやすく酸素吸入を必要とする中等症2と言われるレベルの方々の状況をしっかり捉える必要があると考えました。このことが、感染された方の命を守り、医療、病床のひっ迫を防ぐことにつながるということで、今回のような基準を設けました。そして、730人という数は、過去に重症、中等症レベルの方が病床に占める割合の最高値が47パーセントでした。この割合を現在の1,558床の病床にあてはめると730人という数になります。過去最高の病床の占有に至ると見込まれた段階で、緊急事態措置の要請について判断していきたいと考えています。
(共同通信)47パーセントですが、過去の実績や過去の最大値から考えて47パーセントまでは耐えられると判断されたということですか。
(知事)そうです。過去、それで乗り切ってきたということがあります。ただ、そこに至って判断するのではなく、47パーセントに達すると見込まれた段階で判断するということです。
(共同通信)実際に730人を上回っていなくても、「この調子なら上回るだろう」と見込まれた時点でということですか。
(知事)推計される場合ということです。
(共同通信)上回る前に要請する可能性もあるということですか。
(知事)そうです。その段階で市町村との協議も踏まえて、そこは総合的な判断をします。
(共同通信)まん延防止等重点措置が始まって10日以上が経ちましたが、その効果、現時点での評価と延長要請についての考え方をお願いします。
(知事)1月24日にまん延防止等重点措置と同等の県単措置、そして1月27日からはまん延防止等重点措置となったわけです。飲食店等の皆さんは、現在調査したところでは、97パーセント以上の皆さんがこの要請に応え、ご協力いただいています。このことによって、現段階で飲食店でのクラスター発生は見られない状況です。また、夜間などの人流も大きく減っているという状況です。まん延防止等重点措置については、一定の効果が出ているものと考えます。この延長については、現段階では期間延長の可否を見通せる状況ではありません。今後の感染状況、病床使用率等、各指標の推移を見た上で判断をしていきます。
(朝日新聞)新しい指標についてお伺いします。今回の目安で730人と設けられていますが、オミクロン株の特徴として、まず軽症の方が増えていって、先に病床使用率が100パーセントに迫ってくるような状況になった場合、この場合は730人が見込まれる状況になくても緊急事態措置を要請するという考えはありますか。
(知事)現在入院されている方の平均入院日数を我々は見ているわけですが、やはり軽症の方は比較的、退院されています。そういった中で、やはりどうしても重症の方と酸素吸入が必要な方は在院日数が長くなるということもあるので、ここを捉えて病床のひっ迫を見ていきたいと思います。
(朝日新聞)あくまでも730人という酸素投与が必要な中等症の方と重症の方に重点をおいて考えるということですか。
(知事)そうです。この方々が最優先で入院していただくことが、実際の治療においても必要です。まず、病床の使用にあたっては、この方々の入院が最優先になります。
(朝日新聞)学校生活の部活動の扱いや求めていく点についての通知に関する説明がありましたが、こうしたことを求める期限はいつまででしょうか。
(知事)これについては、文部科学省の通知においても期限は明示されていませんが、本県は今、まん延防止等重点措置を実施していますので、まずはこのまん延防止等重点措置の期間は実施していく考えです。
(朝日新聞)まん延防止等重点措置が延長された場合は、この内容も延長されますか。
(知事)はい。その時の感染状況を見る必要はありますが、現段階では「感染の場」が移っているので、期間延長に伴ってということになります。
(西日本新聞)コロナ警報について、まん延防止等重点措置の解除の目安として20パーセント未満と規定していましたが、これは現状も生きているということでしょうか。
(知事)現段階で解除の目安として変更しているところはありません。今、病床使用率は65.9パーセントという状況です。そういったなかで、重症、中等症の方も増えている。在院日数の長い方も増えているということを考えますと、病床使用率が20パーセントを下回るという状況にすぐになるとは考えにくいと思います。
(西日本新聞)そういった解除基準を重症、中等症の方の数で見直すという考えはありますか。
(知事)現段階では見直していません。ただ、今後、そういったことも含めて更に検討を続けていきたいと思います。やはり、病床の問題もありますし、陽性者全体がかなり減少傾向になったときに、病床使用率20パーセントだけをとらえて、それを達成していないからということでいいのか、ここは我々も議論をしているところです。また、継続して検討していきたいと思います。
(朝日新聞)確認ですが、コロナ警報の基準と今回の新しい基準の2つありますが、今回の新基準はオミクロン株の特性をとらえて決定したというもので、コロナ警報で定めている病床使用率50パーセントを超えたら緊急事態宣言を要請する考え方は残っているということですか。
(知事)コロナ警報、コロナ特別警報、そしてその基準に応じた対応について、現段階で変更しているものではありません。今回のオミクロン株の特性をとらえて、運用において、こういう対応をとったということです。
(KBC)緊急事態措置の新たな基準等について、各市町村とも協議を行ったとの話でしたが、市町村から何か意見があったかどうか教えていただけますか。
(知事)専門家、市町村の皆さんと協議しましたが、オミクロン株の特性、医療のひっ迫度を踏まえたうえで、基準を考えるべきだという意見です。今回の新たな目安は「適切である。」という意見をいただいています。そういった中で、飲食店の皆さんは本当に歯を食いしばって協力をいただいている、現在はクラスターも発生していないという状況から、緊急事態措置となっても飲食店に対する措置を強める必要はないのではないかという意見も承っています。
(KBC)直ちに緊急事態措置を要請すべきという意見はなかったということですか。
(知事)それはありません。
(読売新聞)知事はこれまで緊急事態の目安などについて、総合的判断とおっしゃられていて、今回こういう指標を設けられたということです。これを設けようと思った経緯やどんな思いからこういった指標を新たに設置されましたか。
(知事)この緊急事態措置については、本県もずっと国と意見交換しながら、様々な検討をしていました。ですから緊急事態措置について、全く検討してこなかったわけではないし、その中で一定の基準や今回の目安についても検討してきたところです。そのうえで、命に直結する状況で入院されている方、陽性者の重篤度をしっかりとらえて判断していくことが必要だと考えました。その一方で、感染拡大の状況もあり、今後も重篤な方が増えていく可能性があるという両面をとらえて、今回の目安を考えました。
(読売新聞)学校現場について、部活動や学校行事の対応が国の方針より先進的に出ているなと思いますが、ここはどういったご判断ですか。
(知事)基本的には、分科会の提言または文部科学省の通知を踏まえています。
(教育委員会)クラスマッチや部活動に関しては、文部科学省の通知内容よりも少し強化をしています。オミクロン株に置き換わって、10代以下の感染が増えているという特徴も考慮しまして、県教育委員会としては、学校の感染対策を強化するというところで、一つ進んだ対策を考えています。
(終了)