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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
(知事)本県に出されている緊急事態宣言について、本日、政府対策本部において、緊急事態措置期間を延長するという決定がなされました。
これまで、本県においては、県民の皆様に対する不要不急の外出の自粛、また事業者の皆様には、飲食店等の皆様に酒類、あるいはカラオケ設備の提供を控えていただき、休業又は営業時間の短縮など本当に厳しい措置を要請し、大変なご理解、ご協力を賜りました。
現在、本県における新規陽性者数は減少傾向にあります。13日連続で前週を下回っています。しかしながら、その数は依然として200人前後で、高止まりの状態になっています。さらに、確保病床の使用率は67.9パーセント、重症病床の使用率は47.6パーセントとやはり医療現場に与える負荷は高い状況にあると言わざるを得ません。さらに感染力が強い変異株の影響を考えると、早期の解除によるリバウンドも警戒する必要があると考えます。このようなことから、5月25日に私から西村経済再生担当大臣に対し、本県に対する緊急事態宣言措置の延長を要請しました。本県からの要請も踏まえて、本日、政府対策本部における決定が行われたものと理解しています。本県ではこれを受け、先ほど県の対策本部会議を開催し、緊急事態措置の延長、そして措置の内容について決定しました。県民の皆様、事業者の皆様には引き続き大変なご苦労、ご不便をおかけすることとなり、心苦しく、申し訳なく思いますが、なにとぞご理解、そしてご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
では、内容についてご説明申し上げます。延長後の期間は6月20日日曜日までです。措置の内容は、基本的にこれまでの措置を継続します。
県民の皆さんへのお願いです。日中を含めて、不要不急の外出自粛、特に20時以降の外出自粛は徹底していただきたいと思います。また、九州地方知事会においても申し合わせしていますが、県境をまたぐ不要不急の移動は厳に慎んでいただいと考えています。新規陽性者数は減少傾向にありますが、感染力の高い変異株による陽性者が8割、9割を占めるという状況にあります。リバウンドを何としても防ぐためにも、人と人との接触機会を極力減らすことが必要です。皆さんが外出される際に、またお買い物に出かける際に、その買い物、外出が今急ぐものなのか、本当に必要なものなのか、今一度、立ち止まって考えていただいて、責任ある慎重な行動をとっていただきますようお願い申し上げます。
次に飲食店の皆さんへの要請です。引き続き、酒類またはカラオケ設備の提供は終日見合わせていただき、休業あるいは営業時間は5時から20時までの間とするようお願いします。利用されるお客様による酒類の店内持込みを認めている飲食店についても休業をお願いします。協力していただいた飲食店への皆さんへの協力金です。これも従前と同じで、中小企業は売上高に応じて4万から10万円。その他大企業は、売上高の減少額に応じて1日最大20万円。さらに家賃の支援として家賃月額の2/3、上限は20万円をお支払いすることにしています。このような協力金を協力店舗にお支払いするわけですが、現在要請に応じていただいていないお店、飲食店もあります。このような飲食店に対して、本県も繰り返し要請を続けているところです。正当な理由なく協力していただけないということですと、特措法に基づく措置、命令も視野に入れて対応していくことになります。そういうことにならないよう、ぜひともご協力をお願いします。
次に集客施設への要請です。先週からの集客施設への休業要請の効果ですが、まず、土日の人出についてです。この数値は、不要不急の外出自粛や飲食店での営業時間の短縮要請した4月24日、25日を基準にしてみるとどうかというと、県全域にまん延防止等重点措置と同等の措置をお願いした5月8日9日のJR博多駅周辺は20パーセント減です。そして緊急事態が発動された直後の土日が5月15日、16日です。これを4月24日、25日と比べると、博多駅周辺で28.5パーセントの減少、郊外の商業施設は5月8日、9日と比べると、若干増えているという状況です。しかし先週の5月22日、23日は大型集客施設に休業要請を行った日です。この状況ですが、これまでの減少率よりもさらに減っているということで、郊外の商業施設について、かなりの減少が見られます。やはり要請の段階を強めるごとに、博多駅、地下鉄天神駅周辺の人出も減ってきています。百貨店をはじめご協力いただいている集客施設の皆さん方に改めてお礼を申し上げます。そのうえで集客施設1,000平米以上の集客施設への要請です。こちらもこれまでと同様、非常に厳しいお願いと思いますが、生活必需品売り場を除いて、土日の休業、そして平日は20時までの営業時間の短縮を引き続きお願いします。そのほかの1,000平米以上の集客施設、映画館、体育館、スポーツクラブなどは、営業時間を20時まで短縮をお願いします。イベントを開催する際は21時まで、人数制限をお願いしています。1,000平米をこえるスポーツクラブなどへの休業要請ですが、スポーツクラブ、ヨガスタジオは、体育館や水泳場といった施設と同様の取扱いとするように6月1日以降国の方針が変更されることとなります。このため、このような施設については、6月からは土日の休業要請はせず、対象外とします。
それから、ご協力いただいた大規模施設、またその中にあるテナントの皆さんへの協力に対して、協力金をお支払いします。
次に、職場への出勤です。事業者の皆さんには、これまでも出勤者数の7割削減を目指して、ぜひ在宅勤務、テレワークの活用またはローテーション勤務等を行っていただきたい。休暇の取得等も行っていただきたいとお願いしています。各経済団体を通じてもお願いしているところです。また、出勤する場合でも、時差出勤等、人との接触を極力低減する取組みを引き続きお願いしたい。
それでは、緊急事態措置の解除はどうなのかということです。この解除については、国の対処方針に基づくと、ステージ3相当であるということを踏まえて、総合的に判断するとなっています。現在、感染力の高い変異株による感染が拡大していることを踏まえて、より慎重に判断している状態で、ステージ2に向けての動きが安定的に確認できるかどうかということになります。ステージ3やステージ2と言っても、なかなか県民の皆さんにわかりにくく、「これはうちの県においてはどういう状態を指すのか」となっていると思います。本県ではステージ3の状態は新規陽性者数が1日180人程度、この状態が1週間継続するということです。かつ、病床の使用率が50パーセント未満に低下する。他の指標ももちろんありますが、新規陽性者と病床の使用率は当然関連性があるため、この2つの指標を特に重視していくべきだと思います。
ステージ2とは、新規陽性者数が1週間平均して1日100人以下の状態が続き、そして病床使用率については、20パーセント未満ということです。
今の状況から考えると、現段階ではハードルが高いと言わざるを得ないと思います。専門家の意見も踏まえて、本県も判断したいし、そして国においても同様の対応をされると思います。緊急事態宣言の解除については、考え方を申し上げたところですが、国の基本的対処方針に基づき、緊急事態宣言の解除をもってすべての措置がぱっと終わるということにはなりません。まん延の抑え込みが確実になることが確認できるという状態になるまでは、一定期間、まん延防止等重点措置あるいは県独自の要請措置を行い、感染の再拡大を防ぐために、段階的に対策措置を緩和していくことになります。具体的にまん延防止等重点措置、県独自の要請措置をどう絶っていくのか、このことについては、本県も例えば県民の皆さまへの行動への対応、あるいは事業者の皆さまに対してはどうやっていくのか、休業あるいは時短がどうなっていくのか、本県も検討し、できるだけ早く、県としての考え方もお示しできればと思っています。今後の感染状況等も十分に見極めながら、判断していかなければいけませんので、ミスリードすることのないように注意していきたいと思っています。
医療提供体制についてご報告します。病床の確保・強化についてです。4月19日に802床でしたが、随時、増床してまいりました。本日、新たに48床を確保し、1,346床となりました。重症病床については、昨日までと同じ172床です。それから、宿泊療養施設については、本日、久留米市内に1施設、「グリーンリッチホテル久留米」を開設しました。グリーンリッチホテル久留米は157室ですので、確保しています宿泊療養施設は9施設、1,891室となります。病床については、引き続き、緊急時を見据えた1,480床に向けて取り組んでまいりますし、宿泊療養施設についても、目標の2,000室に向けて取り組んでいます。近日中に、福岡市内にもう1施設確保できるものと見込んでいます。
次に、自宅療養をされている方に対する支援です。生活支援、医療支援がありますが、まず生活支援についてです。現在、自宅療養をされている方が2,700人を超えるという状況です。この方々に対して、生活支援として、食料の確保が大変大切です。この食糧確保が困難であるという方について、日常の食事を補完するため、レトルト食品、缶詰、スープなど、さらには消毒液などのセットを無料で配送します。これは民間事業者に委託し、各自宅で療養されている方に配送することとします。これは6月1日からスタートします。
それから次が医療支援です。自宅療養をされている方で基礎疾患をお持ちの方など、医療提供の必要性、優先度が高い方。そして特段の事情がないが宿泊療養していただくことになかなか同意をしていただけない方、こういった方に対し、宿泊療養アドバイスチームを立ち上げ、そのチームの看護師、保健師が宿泊療養のメリットを丁寧に説明して、入所を促していきたいと思います。先ほどの生活支援と同様、6月1日からのスタートを考えています。これはこれまでサポートセンターと言っていましたが、宿泊療養アドバイスチームという名前を付けたところです。
それから、同じく医療支援ですが、自宅療養されている方で、保健所が対応できない夜間や休日に熱が出た、或いは倦怠感がある、いままでは無症状だったけども、症状が出てきた、こういう状況が出た場合に、受診や相談ができる地域の検査・診療医療機関を紹介する専用ダイヤルを開設します。これは、現在、医療機関、検査・診療医療機関と調整中です。この取りまとめができ次第、できるだけ早く開始したいと考えています。
次に、ワクチンの接種の推進体制です。
本県では、今年1月にコロナ対策本部事務局内にワクチン班を設置し、医療従事者へのワクチン接種や、高齢者へのワクチン接種に係る市町村への支援に取り組んでまいりました。6月1日から受付を開始します県の広域接種センターの設置など、広域的なワクチン接種体制を作っていくということが必要となりましたので、5月21日に人員を拡充し、3班16名体制で進めていました。今後、高齢者以外の方へのワクチン接種についても市町村を支援するという必要があると考えています。県の広域接種センターは現在の2か所に加え、更なる設置の必要性などについても検討する必要があると考えています。市町村を支援し、県民のワクチン接種を迅速に進めていく必要があると考えます。
この業務に従事する体制を強化するため、6月1日にがん感染症疾病対策課内に、新たな組織として「ワクチン接種推進室」を設置します。現在のワクチン班は16名体制ですが、これを25名に拡充して、強化してまいります。県の広域接種センターの対象とする方や設置場所などについて、この室で検討し、準備を進めていきます。
以上、緊急事態宣言の延長に伴って、各種の要請、措置を引き続きお願いすることになります。感染のリバウンドを何としても防ぎ、徹底的な封じ込めを図ってまいりたいと思います。
県民の皆さま、事業者の皆さまには、何卒ご理解とご協力のほどを宜しくお願い申し上げます。
(記者)先ほどの解除の目安のところですが、ステージ3というレベルにまず達した上で、さらにステージ2に減少していくということですか。
(知事)そうです。ステージ3のレベルになるということは前提条件です。その上で、ステージ2に向けての傾向が安定的に続くかということを見極めていかなければいけないと分科会の尾身会長も常々おっしゃっており、そういう考え方になると思います。
(記者)20日までの緊急事態宣言の延長ですが、期間の途中でそういった動きがあった場合に、前倒しして解除の要請をするような考えはいかがでしょうか。
(知事)本当に確実にこのような状況が見込める、そしてまた、その状況について専門家の皆さんにご意見を伺って、これならばと判断できれば、政府に対して意見を申し上げたいと思っています。
(記者)6月20日までに目指すところというのは、宣言レベルからの脱却というところを目指すということでよろしいですか。
(知事)6月20日まで緊急事態措置期間とされているわけですから、まずは20日には確実に解除できる状態を目指すべきと思います。その中で状況がよくなれば、1日でも早くこれを脱却できればと思っています。
(記者)知事のお考えとすれば、宣言レベルを脱却できたとしても、その次の段階として、まん延防止重点措置だったり、県の独自の時短要請だったり、そういった要請がその後もまだ必要という説明だったと思うのですが。
(知事)国の基本的対処方針において、緊急事態宣言措置が解除された地域について、まん延防止等重点措置等の措置をもって、徹底した封じ込めが確認できるまで必要な対策を打っていくということになっていますので、緩和措置について見直し等も図った上でということになると思います。
(記者)まん延防止等重点措置が続くということになると、今回の対策よりも緩和されるとは思うのですが、飲食店の時短要請とか想定されます。20日まで頑張って、さらに社会経済活動の制限がいつぐらいまで我慢すれば、どの辺まで頑張ればそのレベルに行くのかというところも気になると思いますが、知事はどういった見通しを持っていますか。
(知事)もちろん、できるだけ短い範囲、短い期間で、そのような措置がやめられることが望ましいと思います。具体的な中身や期間が想定されるのかということは、少し検討の時間をいただきたいと思います。
(記者)今回また延びたことで、飲食店もさることながら、周辺の事業者、例えば代行業者さんとか、納入業者さんとか、いよいよ経営が厳しくなっているような状況があるようですが、債務超過になっている業者さんに対して、県としてどう支援していくのか、また傷んできている経済についてもご意見いただいてよろしいですか。
(知事)月次支援について措置をとっています。この月次支援金につきましても、今、予算措置しているものは5月分ですが、6月の定例県議会に提案する補正予算の中で、6月分の月次支援金を給付するための予算を提案することとしています。そして国に対しても、知事会を通じて、持続化給付金、あるいは家賃支援金を国として再度実施していただきたいということを引き続き要望していきたいと考えています。
(記者)要請に応じない店舗に対する命令の検討ですが、正当な理由がない場合というのは、具体的にどんな理由があげられるのでしょうか。
(がん感染症疾病対策課)正当な理由というのは、その他、近隣に食事をする場所がないような場合、エッセンシャルワーカーの皆さんが食事をとるということで5時から20時の間以外で営業せざるを得ないようなところ、そういったものが考えられます。
(記者)今把握されている300店舗は、そういった正当な理由がないというところが多数なのか、どういった傾向があるのでしょうか。調査とか聞き取りはしているのでしょうか。
(知事)300店舗のうち百数十店舗は、中洲地区の店が多いということを考えますと、正当な理由というものは見出しがたいお店が多いと考えています。
(記者)ワクチン接種をいかに迅速に進めるというのが感染拡大防止のカギになると思います。接種室を設置されるということでしたけど、改めてワクチン接種に取り組む知事の意気込み、具体的にどういったものを進めていきたいかをお尋ねします。
(知事)みやま市と田川市に2か所設置します広域接種センターでの7月末までの高齢者へのワクチン接種が完了すると、本県における接種を完了できるということで、市町村の皆さんの求めに応じて開設をしたところです。さらに、保育協会とか教職員の団体等からも、リスク低減といった観点から、ワクチンの早期接種についてもご要望をいただいています。保育園に通う子どもや低年齢の子どもはワクチンを接種しませんので、業務上子どもたちに接触せざるを得ない皆さんには、そういう感染リスクについて懸念をもっておられると思います。そういった方たちを中心に、ワクチンの接種を県で対応すべきかと考えているところです。申し出をいただいている市町村以外も、人員の確保等についてもぎりぎりのところで努力をされているところが多いと思います。そのような職種の方々について、市町村において接種するといってもなかなか難しいケースが多いと思います。やはり政令市とか久留米市とかそういった大きな市と小さな市町村とは状況が違うと思います。そういった市町村のなかで、先ほどの職種の皆さんについて、県が対応していくべきでないかと考えているところです。そして、今後の64歳以下の皆さんへの接種についても、これはまだ計画等が明らかになっていません。こういった点については、今後市町村の皆さんと十分に意見交換をしながら考えていきたいと思います。
(記者)商業施設の土日の休業要請について、緊急事態宣言が始まった途中から追加されたメニューだと思いますが、新規感染者数が下がり、指標が減少傾向にある中で、土日についても延長を同じように求めていくという判断をされた理由と、実際に土日に休業をしているところとしていないところにバラつきがあるように思えるのですが、どのようにお考えですか。
(知事)今回の要請については、依然として陽性者数が高止まりであり、また病床のひっ迫度も高いということで、基本的に現在の要請を弱めるという方向には考えていません。そういうなかで、大規模施設についても引き続きお願いしているところです。特に衣料品についてどうみるのかということが大きいと思います。衣料品については、豪奢品といいますか、非常に価格が高いものは当然その対象にはならないと思います。それ以外のものについても、例えばお出かけ着から下着に至るまで同じ店舗で販売されていたり、あるいは売り場が同じであったりというケースも多く、衣料品のなかでの線引きが非常に難しいと思います。そういうことから、本県については衣料品については全て生活必需品のカテゴリーとしています。このような中で、百貨店、デパートには、感染拡大防止には人流抑制が効果的だというご判断をいただき、自主的に閉めていただいている。大変ありがたいことだと感謝申し上げます。またその他の施設についても、テナント方式の所も多いものですから、その管理者に対して改めてお願いをしているところですが、各テナントのご判断も尊重せざるを得ないというお話もあります。そういったことで、いまご指摘のような状況もあるわけです。6月1日から延長ということですので、各施設に対して、改めて県からもお願いをしてまいりたいと思います。
(記者)今後の見通しですが、ワクチン接種が進んできて、今回の山が最後の山になるのでしょうか。
(知事)今回の第4波に伴う緊急事態措置が最後にならなければいけないと思っています。このために、まずはこの今回の感染を徹底的に封じ込めることが、リバウンドや次の感染の山を防ぐ第一の手当だと思います。そして、我々の身を守る盾といえるワクチン接種が始まったわけです。治療薬が開発されない中で、現在はこのワクチンが最後の切り札であると言えます。このワクチンの接種を市町村に対して全力で支援して、接種率を早期に上げていきたいと考えています。
(記者)5月のクラスターの割合をみると、教育施設と職場でのクラスターがすごく多かったかと思いますが、その一方でテレワーク率はなかなか上がらない現状もあります。テレワーク率が上がらないことへの受け止めと、そこに対する対策などがあればお願いします。
(知事)いろいろな業種・業態がある中で、また、これまでのテレワークに取り組んでいただいた中で、情報の持ち出しの問題であるとか、様々な課題が明らかになってきたとお聞きしています。こういうことから、どうしてもテレワークに馴染まない、或いはできないということも出てきたと思います。しかし、もう一度、本県からも、業界団体等を通じて、テレワーク推進について、お願いを続けていきたいと思います。
(終了)