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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
1 発表事項
(1)国への緊急事態措置延長の検討の要請について
(新型コロナウイルス感染症対策本部(事務局:がん感染症疾病対策課))
(知事)福岡県は5月12日から緊急事態宣言の対象区域と指定され、その措置を実施しているところです。この緊急事態宣言の期限は5月31日までとなっており、あと7日間を残すのみとなっています。そこで現在の本県内の新型コロナウイルスの感染状況について検討しました。また、県内市町村の皆様のご意見、専門家のご意見を伺った上で、県としては5月31日をもって緊急事態措置の解除を行うということは困難であると判断したところです。このため、本日午後2時過ぎに西村経済再生担当大臣に電話をかけ、緊急事態措置の延長についてご検討いただくよう、要請を行ったところです。
本県の感染状況は、5月12日に単日の陽性者数としては過去最多の634人となったところです。直近10日間は、前週の同一曜日と比べ、減少が続いているところです。新規陽性者数が減少傾向にあります。これはご協力いただきました県民の皆様、事業者の皆様のおかげでございまして、改めてお礼を申し上げます。しかしながら、ステージ4の基準である、1週間の移動平均で183人というラインから見ても、未だ高い水準にあります。地域別に見ましても、県内全ての地域でステージ4を上回る状況が継続しているところで、予断を許さない状況にあると考えています。また、病床使用率は、5月24日時点で80%となっています。このうち、重症の方のための重症病床の使用率、これも50.6%と5割を超えているところです。入院が必要な方が入院できない状況ではありません。しかしながら、深刻な状況が続いていると言わざるを得ません。ステージ4の基準は、病床使用率全体で50%となっており、非常に深刻な状況です。しかも、病床使用率のピークは新規陽性者の発生のピークから2週間程度遅れてくるとも言われており、この辺を勘案すると、今が病床使用率のピークであるかどうかということは、まだはっきり判断するに至らないところです。さらに、現在の新規陽性者の9割を超える方が変異株による感染であるということを考えると、早期のリバウンドも懸念されるわけです。このような状況を考え、5月31日をもっての緊急事態宣言の解除は困難であるという判断に至ったところです。
この緊急事態宣言が延長されることになった場合の措置ですが、5月12日以降、本県が取り組んできた内容、あるいは市町村の皆さまのご意見、さらにこの週末に国の対策本部会議において新たな基本的対処方針が示されるということですので、これらを踏まえ、総合的に検討し、決定していきたいと考えています。
これは決定次第、本県においても対策本部会議を開催し、決定したいと思います。その際に皆様にお示しをしたいと考えています。
先ほど、ご協力に感謝すると申し上げましたが、この緊急事態措置において、外出の自粛、また、飲食店の皆さんの休業あるいは営業時間の短縮をお願いしています。飲食店等については、この12日のスタートから24日まで、本県は2万3千件以上の飲食店の皆さんの状況を調査しました。この結果、98.7%の皆さんがこの要請に協力いただいているということです。まさに歯を食いしばって協力をいただいているところでございまして、改めて心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
現在、ご協力いただけていない飲食店が県内全域で300件ほどあると把握しています。これらの事業者の皆さんには繰り返し協力要請を行っているところであり、これからも引き続きお願いを続けていきたいと思います。その上で、正当な理由なく、要請に応じていただけない飲食店については、特措法に基づく命令等の措置も視野に入れながら、対応していきたいと思います。ぜひ、そのような措置を必要としないように、これからでも、休業、時短についてご協力をいただければと思いますので、なにとぞ、よろしくご理解、ご協力のほど、お願いを申し上げます。
次に、病床の状況についてです。新型コロナの患者さんを受け入れる病床について、これまでも順次ご協力いただき、病床を増やしてきました。4月19日の時点では、802床でしたが、本日、新たに92床を確保し、5月末時点の確保目標である1,220床をクリアしました。現在、1,298床の状況です。このうち、重症病床については、158床から14床増え、172床に増床したところです。
次に、ホテルなどの宿泊療養施設についてです。5月28日金曜日に、新たに久留米市内の「グリーンリッチホテル久留米」を開設します。この部屋の数は157室で、これにより県全体の宿泊療養施設の確保は9施設、1,891室となりました。目標を2,000室とおいて取り組んでおり、現在、福岡市内のホテルと協議を進めているところです。このような状況で、医療提供体制の確保、強化についても、努力して進めているところです。
次に、ワクチンについて3点報告します。
1点目は、医療従事者向けのワクチンについてです。医療従事者向けのワクチンは、今年春、早い段階から、県にも配布されました。そしてこのファイザー社製のワクチンは、有効期限が製造から6ヵ月とされており、今現在、ディープフリーザーに保管されているワクチンについて、この有効期限を確認する必要があると考えました。今現在、医療従事者の接種も進んでおりますが、この有効期限をよく確認せず、もしも保管中に期限が切れるということになると、廃棄をせざるを得ないという状況になりますので、今配布している県内56医療機関について調査しました。昨日から調査を行い、現段階では40施設からの回答ですが、この40施設に保管されている1万6千本のうち、200本ほどが6月末で有効期限を迎えます。残りの3分の1が7月末、その残りの3分の2が8月末という期限でした。この有効期限の短いものから優先的に使用して、ワクチンを一本も無駄にすることのないよう調整を行っているところです。
2点目に、高齢者のワクチン接種についてです。高齢者のワクチン接種の際に、どうしても体調が悪いとかにより、キャンセルが入る場合があります。このワクチンは一旦注射針を入れると、その後6時間程度しか保管できないものです。そこで、その日のワクチンの余りが出たという場合の対応について、市長会、町村会、それから両政令市とも協議を行い、ワクチンを有効活用するための指針を作成しました。内容は、ワクチン接種を行う県、市町村が、あらかじめ接種対象者のリストを作成していきます。そして接種会場でキャンセル等が発生した場合には、そのリストに基づいてワクチンを接種するということを伝えておきます。この接種対象者のリストですが、接種会場で直接接種にあたっていただく方、従事される方、高齢者の皆さんと業務上接触する機会の多い方、それから新型コロナウイルス対策業務に従事される方、さらに危機管理、災害対策業務、また住民の皆さまと直接接触する窓口業務といった業務に従事する行政職員、それに加えて市町村長が特に必要と認める方を接種対象者としてリストアップしています。なお、市町村が既に独自に方針を定めている場合には、その市町村の判断によって行っていただくということです。市長会、町村会等々との協議の結果、まとめました方針は以上のとおりです。
それから3点目ですが、7月末までの高齢者に対するワクチン接種は難しい、あるいは県による広域接種センターを設置してもらえれば非常に助かるという申し出があっている市町村は8つあります。これらを支援するために、広域接種センターを田川市の福岡県立大学、それからみやま市の保健医療経営大学に設置することとし、今準備を進めています。この両センターでのワクチン接種の予約受付は、6月1日から行います。この予約については、ウェブと電話で受け付けることとします。詳細については改めてお知らせします。接種ですが、これは国からワクチンがいつ届くか確認中で、この日付が確定次第、6月7日頃に接種を開始したいと考えているところです。予約受付は6月1日から開始します。
(記者)午後2時頃、西村大臣に「緊急事態宣言の延長について検討をお願いします」と伝えたとおっしゃいましたが、大臣からの返答はどういった内容ですか。
(知事)私からは本県における感染状況、新規陽性者の発生状況、それから病床の使用状況を説明し、「5月31日での解除は困難である」という意見を申し上げました。西村大臣は、「福岡県の状況については政府においても注視しており、感染者はここ数日間減少傾向にある。これは県の対策、県民の皆さんの協力もあってのことで非常にいい傾向にあると思うが、しかし未だ高止まりをしており、また病床使用率もかなり厳しい状況にあると認識している。そういうことを踏まえて、県の意見についてはよく理解できる。」ということ、そして「県の意見を踏まえて検討をしていきたい」というお話でした。
(記者)緊急事態宣言の延長を国にお願いしないといけない状況、感染者は減っている一方で病床使用率は上がっている状況だと思いますが、それについての知事の所感はいかがですか。
(知事)病床使用率については、本県では大学病院を含めて各病院に御協力いただき、4月19日時点から比べますと約500床増床している状況で、最大限の努力を図っていると考えています。一方で、今の感染状況は、感染力が非常に強い変異型ウイルスが出ており、新規陽性者の9割以上を占めているということです。専門家の皆さんも、この変異株の影響で感染拡大のペースが非常に速いということをおっしゃっています。また、人出が減っていても新規陽性者数が減少するまでの期間は、前回1月の緊急事態宣言時であれば2週間程度でしたが、今回は厚労省のアドバイザリーボードでの分析では、大阪で見ると約5週間、東京は約3週間以上とスパンが長くなっていると言われています。変異株の影響もあるとは思いますが、感染の状況が変化していることも十分に注意する必要があると考えています。
(記者)知事から西村大臣に緊急事態宣言措置の延長を要請されたということですが、知事としては緊急事態宣言措置の延長をいつまで続けていくとお考えでしょうか。
(知事)延長期間については、私からいつまでが望ましい等の意見は申し上げていません。本県が緊急事態措置の対象区域となった際の判断としても、福岡県が九州山口各県に及ぼす影響度の強さを踏まえて、国は広域的な観点から判断されました。そのことも考えますと、本県の感染状況、それに加えて九州山口各県の感染状況も含めて、政府で判断されると考えています。そういった観点から、いつまでとは私から西村大臣には申し上げていません。
(記者)変異株の感染力が強いという状況で、緊急事態宣言を出しても1月やそれ以前のような数の減り方とは違う次元の話になっているという状況は理解できますが、それを踏まえて今時点でさらに要請しないといけない状況にあるということについての知事の所感や、県民の皆さんにまた休業要請や時短要請を続けていかないといけないことについてどのように思われますか。
(知事)県民の皆さんには、日中も含む不要不急の外出自粛は4月20日から1か月以上にわたってお願いをしています。飲食店等の皆さんにも、4月20日以降の時短要請、緊急事態宣言に入ってからは休業要請も含め、強い要請をしています。これに対し御協力をいただいていることについて、心から感謝を申し上げます。しかし残念なことに、今の新規陽性者の状況、それに伴う病床使用率のひっ迫度合から、今月末に緊急事態宣言を解除することについて困難であると判断をせざるを得ないということについて、私としても大変残念に思いますし、また引継ぎご不便、ご苦労をおかけする県民の皆さん、事業者の皆さんに対して、大変申し訳なく、改めてご協力をお願いしたいと思っています。
(記者)段階的に時短や休業、商業施設の休業要請をしたと思いますが、その効果はタイムラグもあったりすると思います。緊急事態宣言を延長するにあたって、今までやってきた対策の効果というのはどう捉えていらっしゃるのでしょうか。
(知事)4月20日以降、県単措置に始まり連続して措置を採ってまいりました。その効果を数値をもって説明することは非常に難しいことですが、新規陽性者数のピークを抑えてきたという一定の効果はあるのではないかと思います。また、緊急事態措置以降の措置につきましても、この10日間ほどの新規陽性者数の発生状況を考えますと、やはり効果がでてきているという感じです。
(記者)6月以降の措置ですが、基本的対処方針がどう書き換わるのかというところが一番のポイントだと思います。今の感染状況や疫学調査等を踏まえて、知事としてこれからどういった対策が必要とお考えでしょうか。たとえば、お酒とカラオケの飲食店の休業要請をされ、その他の施設には時短要請をされていますが、今の感染状況を踏まえて、どういった対策が必要と知事自身はお考えでしょうか。
(知事)今回の緊急事態宣言に伴う各種措置や協力要請については、一定の効果がでていると思います。こういうことを踏まえますと、これまでの措置の継続を基礎にします。ただこれまでの措置について、市町村にも色々なご意見があろうかと思います。本県は、今週のうちにそういった意見を取りまとめ、見直すべきは見直し、また場合によって強化すべきと考えられるものは強化することで、具体的に詰めていきたいと考えています。
(記者)22日から月末までの予定となっている大型施設の土日の休業要請ですが、それについて6月以降はどのように考えていますか。
(知事)土日の人出についても、緊急事態宣言等のコロナの影響がない時期と比べると、かなり人流が減ってきているということです。特に天神、博多駅、小倉、久留米のデパートの皆さん、デパートは生活必需品の中の衣料品を扱っており、品目、価格帯が様々でなかなか見分けが難しいです。こういうなかでも、食料品、化粧品等以外の売り場を閉じ、人流抑制が感染拡大防止に効果があるとご判断いただき、特段のご協力をいただいていることに本当に心から感謝申し上げます。このようなご協力の効果も今から出てくると思います。
(記者)先ほどワクチンの有効活用指針について説明があったと思いますが、このリスト化する中で「その他市町村長必要と認める場合」と書かれていますけど、具体的にはどういったケースが考えられますか。
(がん感染症疾病対策課)お伺いしているなかでは、消防団員であるとか、そういった方を追加したいという市町村もあったときいております。
(知事)救命救急とか医療従事者に準ずる方は、医療従事者として接種しますが、地域の消防団は含まれません。しかし、火災とか災害の現場で本当に御協力いただいているのが消防団の皆さんです。そういったことから、市町村長の判断で対象とされるケースもあります。
(記者)ワクチンの打ち手ですが、救急救命士も打ち手として拡張できるようにと決めたみたいですが、県として救急救命士をどのように活用しますか。
(知事)政府が、薬剤師、臨床検査技師、救急救命士といった様々な医療に関係する方で打ち手となりうる方をリストアップされて、地方自治体を支援しようとお考えになっていると思います。本県の広域接種センターについて申しますと、今現在、我々としては、医師、看護師で対応することが可能であると考えており、その準備を今進めているところです。
(記者)追加で研修を開いて育成等はしますか。
(知事)現段階では、そのようなことは予定していません。ただこれから、高齢者、その次は基礎疾患のある方、64歳以下の方という接種順になっており、対象者も増えていきます。こういった中で、やはり打ち手の確保の問題が出てこないとも限りません。このため、市町村とも状況を確認しながら、必要に応じて対応していきたいと思います。
(記者)広域接種センターでは、予約に関して、これまで市が行ってきた予約と、県のセンターの予約が被らないようにするのが難しそうだと思いますが、どのような対策をとられますか。
(知事)これは、国の接種センターや他県においても非常に苦慮されていると思います。市町村のシステムの中に県のシステムを入れ込むのは、混乱が生じます。よって本県としては、予約される皆さんに、二重予約のないように気を付けていただきたい。また、もし二重に予約をされていても、片方で接種をされれば、もう片方はきちんと取り消していただきたい。それがワクチンの無駄を生まないことになりますので、ご協力をお願いしていきたいと思っています。それと、万が一、いろんな事情でワクチンの余剰がでる場合に、その時は指針に沿って、ワクチンを無駄にすることのないように取り扱っていきたいということです。
(記者)予約の主催は、県の分は県がやって、市の分は市がやるということですか。
(知事)各市町村で、本県センターの予約もやっていただくというのも考えられますが、やはり市町村の対応人員が限られている中で、いっぱいいっぱいでやっておられるので、本県としては、市町村にお願いをするのは難しいと判断し、県のセンターは県のセンターが受付をやっていきます。
(記者)受付ができるのは6月1日からですか。
(知事)そうです。
(記者)どこにお住まいの方がこのセンターを利用できるのですか。
(がん感染症疾病対策課)予約開始の段階で公表します。まだ調整が終わっていないところがありますので、近々に発表させていただきたいと思います。
(記者)ワクチンの有効活用指針に「行政職員」とあるのですが、これは首長も入りますか。
(知事)含まれます。首長は、各市町村においてコロナウイルス対策の本部長にあたる立場で指揮をとっておられると思いますので、対象となります。
(記者)先ほどのワクチンの有効期限は、県が実施主体になっている医療者向けのワクチンの話ということでよろしいですか。
(がん感染症疾病対策課)医療従事者向けのワクチンです。
(記者)一番直近のものが6月末ということですか。
(知事)医療従事者用が、2月頃に到着しました。その有効期限が6か月なので、割と近々に有効期限が来る可能性があると思いまして、それを確認して、万が一にも冷蔵庫に眠ったまま有効期限が切れることがないように、徹底したいと考えています。
(記者)前回の会見で、知事は5月中に第1回目を全員打って、それで3週間後には全員の接種が完了するということだったと思いますが。
(知事)6月末であれば問題ないという認識です。ただ、有効期限を確認しないと、もしも5月末までというものがあれば、後の祭りということになってしまいます。現在、医療従事者は約8割が1回目の接種が完了しています。約5割が2回目の接種も完了している状況です。
(終了)