本文
この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
1 発表事項
(1)福岡県における緊急事態措置の実施について
(新型コロナウイルス感染症対策本部(事務局:がん感染症疾病対策課))
(知事)本日、国の対策本部において、福岡県を緊急事態措置を実施すべき区域に追加する決定が行われました。これを受け、本県では先ほど新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、5月12日から5月31日までの間、緊急事態措置として、県民の皆様、事業者の皆様にお願いをする内容を決定しました。
まず、県民の皆様への要請、お願いです。
日中を含め、不要不急の外出を自粛してください。特に20時以降の不要不急の外出自粛は徹底していただきたいと思います。
本日の新規陽性者数は、これまでで最も多い472人となっており、深刻な状況が続いています。感染力が高い変異株による陽性者、この割合も約8割を占めています。最も重要なのは、私達自身が外出する前に、この外出は本当に必要なのか、また、お買い物は今急ぐお買い物であるのか、一度立ち止まってしっかりと考えていただき、慎重な行動をとっていただきたい。我々自身が慎重に責任ある行動をとることが最大の効果を生む措置であると思います。
緊急事態宣言も発出されます。県民の皆さんには、外出自粛を徹底していただきますようお願い申し上げます。
このような中で飲食店を利用される場合には、感染防止対策が不十分なお店や休業要請や営業時間の短縮要請に応じていないお店の利用を厳に控えていただきたいと思います。
不要不急の都道府県間の移動、また県内でも感染が拡大している地域との不要不急の往来の自粛をお願いします。
今、感染対策が徹底されていないお店や、休業要請、営業時間の短縮要請に応じていない飲食店の利用を厳に控えていただきたいということ、そして20代から30代の若年層においても、4月中旬以降急速に感染拡大が見られ、重症化する事例もあります。慎重かつ責任ある行動をとっていただきますようにお願いします。
このような飲食店等の皆さんへの休業要請、また営業時間の短縮要請、応えていただくと、お店が閉まるという状態が発生します。お店が閉まった後、路上または公園での集団での飲食をされる方も本県の管轄する公園の中で散見されるところです。このような行為は、たとえ屋外であっても、やはり感染リスクが高いわけです。路上や公園での飲食など、感染リスクの高い行動は控えていただきますようお願いします。
次に、飲食店の皆様へのお願い、要請です。まず、飲食店等においては、酒類やカラオケ設備の提供は行わないでいただきたいと思います。酒類またはカラオケ設備を提供する飲食店等の皆様には、休業をお願いします。また利用されるお客様による酒類の店内持ち込みを認めている飲食店も同様に休業をお願いします。酒類またはカラオケ設備の提供を行わない飲食店等の皆様は、営業時間を5時から20時までの間とするようにお願いします。そして、休業または時短要請に応じ、ご協力いただきました飲食店には協力金をお支払いします。中小企業は売上高に応じ1日4万円から10万円。大企業は売上高の減少額に応じて最大20万円です。飲食店等の皆様には大変なご苦労をおかけすることになりますが、なにとぞご理解のうえご協力をお願いします。
次に集客施設の皆様へのお願い、要請です。不特定多数の皆さん、大勢の方が利用する床面積が1,000平方メートル以上の施設、例えばデパートなどの商業施設、スポーツ施設、遊技場、博物館、美術館などですが、このような床面積1,000平方メートル以上で、多数の方が利用する集客施設については、営業時間を5時から20時まで短縮していただくようお願いします。また、この施設内での酒類の提供は行わないようお願いします。
そして、職場への出勤についてです。事業者の皆様には、出勤者数の7割削減を目指し、引き続き、在宅勤務、テレワーク等の活用や休暇取得等の促進をお願いします。また出勤せざるを得ない場合も時差出勤や、公共交通機関を使わない、自転車通勤が可能な場合にはそのような方法を用いていただき、人と人との接触機会を極力減らす取組みを強力に進めていただきたいと思っています。事業の継続のために必要な場合を除いては、20時以降の勤務を抑制していただきたいと思います。現在、企業・事業所でクラスターが連続して発生しています。昼食をとる際の休憩室は更衣室、喫煙室での感染リスクが高いということがありますので、こういった区域での感染防止対策の徹底をお願いします。
次に、イベントの関係です。イベントについては、収容人数は上限5,000人、または収容率50%以内のいずれか小さい方でお願いします。加えて開催時間は21時までとするようにお願いします。県では今回の緊急事態措置としての対策を強化するために、県有施設については原則閉館といたします。また、県の主催イベントについても、原則中止又は延期とします。
次に、医療提供体制について説明します。これまで県民の皆様・事業者の皆様のご理解・ご協力のもと感染拡大防止の徹底、そして医療提供体制の強化に取り組んできました。この医療提供体制について、陽性者を受け入れる病床、これは随時増床を図ってきており、本日新たに67床確保しました。4月19日に我々の県単独措置を発表した時点での確保病床は802床で、今日この67床を増床しますので、合わせて1,007床確保することとなります。4月19日時点と比べると、205床の増床ができたということです。
また、宿泊療養施設は、今日北九州市内で新たな施設を開設し、確保している部屋数は合計1,538室になります。現在、福岡市及び久留米市でさらに施設の確保に取り組んでおり、病床1,220床、宿泊療養施設2,000室を目指して関係者と協議を進めています。
国が広域的な感染防止を図るという観点から緊急事態措置を本県に適用されるという判断をされたものであり、この判断を尊重し受け入れざるを得ないという県の判断に至ったところです。今回ご説明したように、緊急事態措置を徹底し、感染の封じ込めを行っていきます。県民の皆様・事業者の皆様にはこれまで以上のご不便、ご苦労をおかけすることとなりますが、一日も早くこの緊急事態措置から脱却することができますよう、力を合わせて頑張っていきましょう。ご理解とご協力をよろしくお願いします。
最後に聖火リレーについてご説明します。東京2020オリンピック聖火リレーについて、私は福岡県の実行委員会の会長を務めています。昨日記者会見でまん延防止等重点措置を前提とした聖火リレーの実施方法についてお知らせしたわけですが、本日緊急事態措置の区域に追加されるということが決定しました。このため再度県内の聖火リレーの実施について実行委員会や、聖火リレーを実施する予定の市町村と協議行い、方針を決定しました。その方針を基に組織委員会と協議した結果、福岡県内の聖火リレーについては、すべて公道では実施しないこととしました。
これに替えましてセレブレーション会場、11日には平和台陸上競技場、12日には関門海峡ミュージアムイベント広場の2つの会場で、無観客の中で点火式を行いたいと考えています。これまで聖火リレーに向けてご準備いただき、思いを持っていただいた聖火ランナーの皆さんには、ぜひセレブレーション会場での点火セレモニーに参加をしていただきたいと思っています。そしてランナーの皆さんがトーチにともした聖火をトーチキスの形で聖火を繋いでいく、このようなイベントを行いたいと考えています。ぜひ聖火ランナーの皆さんには両セレブレーション会場での点火セレモニーにご参加いただきたいと思っています。いずれのセレモニーも2時間ほどを予定しているところです。
(記者)緊急事態措置について、今日、陽性者数も過去最多となるなど、感染の拡大がみられます。もっと早く出した方が良いのではないかという声もありますが、知事の今のお気持ちはいかがですか。
(知事)本県では、4月19日に福岡市、また、4月22日に久留米市と協議の上、いち早くまん延防止等重点措置に準じる厳しい要請措置をとってきました。そして、この措置の効果を感染してから発症するまでの期間、つまり10日ないし14日間という期間をもってその効果を見極める必要があったので、本県も注視してきました。
その後、いったん陽性者数が減少傾向にあったものが5月1日から再び増加傾向に転じたので、その日のうちに西村大臣に対し、まん延防止等重点措置の要請を行ったところです。
県として早め早めに対策をとってきたと考えています。
緊急事態措置について、今回国は、やはり福岡県が九州・山口の地域に及ぼす影響の大きさを勘案して、広域的な感染拡大の防止を図るという観点から決定をされたものと伺っておりますので、この国の決定を尊重したいと考えています。
(記者)この要請について、酒類の提供をする店に対する休業ということで、従わない店舗もこれまで以上に増加すると想定されると思いますが、実効性の確保はどのように考えていますか。
(知事)これまで、県単独措置であっても、また、まん延防止等重点措置であっても、本県は協力をお願いするお店を確認しています。現在、県全域において、本県が確認したところでは96%ないし97%協力していただいていると記憶しています。
引き続き、緊急事態宣言が発出された後も、このような確認は当然行います。そしてその中で、協力いただいていない店については、丁寧にその必要性を説明し、協力いただけるように話をしていきたいと思います。
(記者)積極的に命令等の手段を講じるということはありますか。
(知事)法において認められている手段は、最終的には活用していくことになると思いますが、まずはその前に、しっかりとした丁寧な説明をしていくということが必要であると思います。
(記者)緊急事態措置は5月12日からということですが、本日7日の新規陽性者数が過去最多となりました。12日までの間の対策はどういった形でとられていくのか教えてください。
(知事)すでに発表しているように、そもそもまん延防止等重点措置を1日に要請し、そこから国の決定まで時間がかかると本県も考えていましたので、今、まん延防止等重点措置とほぼ同等の措置、つまり福岡市、久留米市は時短については20時まで、その他県域全域については21時まで等の措置をとっています。これをまずはしっかり徹底していく、そして12日からは今説明したような措置について各事業者の皆さんにもしっかり準備をしていただき、この措置を守っていただきたいと思っています。
(記者)確認ですが、今使われているような協力金の仕組みなどは12日から対象が変わるというようなイメージですか。
(知事)そうです。緊急事態宣言に伴う協力金はそこで一遍区切りということになると思います。
(記者)特措法の45条に基づく休業や時短の要請には協力金が出ると思いますが、大型商業施設などの24条に基づく要請に応じた事業者への支援は、県独自で何かお考えはおありでしょうか。
(がん感染症疾病対策課)集客施設の協力金については、まだ国からはっきりしたことが示されていませんので、今後確認していきたいと思います。
(知事)現段階では協力金の制度はありません。ただ、飲食店の皆さんはもとより、幅広い業種において色々な影響が出ていますので、本県としても事業者の皆さんが事業をしっかりと継続できるための支援策について、早急に検討を進めていきたいと考えています。その際は、市町村や事業者団体の皆さんのご意見もお伺いしながら、対策を考えていきます。
(記者)福岡市の高島市長からは市町村が使いやすい支援メニューを県が整えてほしいとの意見が出ていますが、そういったことも選択肢ですか。
(知事)これは高島市長とも意見交換しています。県は広域自治体として、県全域にわたる基本的な対策はやはり県が責任をもって考えるべきであると思いますので、市町村の皆さんが使いやすいということを踏まえながら、対策の検討を進めていきたいと思います。
(記者)病床使用率が急速にひっ迫してきていますけど、対策が始まった20日と比べると、重症病床も病床使用率も2倍以上になっているような状況ですが、今の状況の認識を聞かせてください。
(知事)病床使用率も上がってきています。また、新規陽性者数も今日過去最多となりました。いずれも深刻な状況にあると受け止めています。そして医療提供体制をしっかり確保・強化していくことが必要ですので、病床確保を必死になって取り組んでいるところであり、ようやく1,000床を超える病床を確保することができました。さらに、これを上積みしていく考えです。
(記者)一般的に1週間か2週間後に重症化が進むと言われていますが、今の病床使用率について、今後どう推移していくとみていますか。
(知事)1週間ぐらいで容態が変化するというお話もあります。このようなこともしっかり考えながら、医療提供体制の一刻も早い強化に取り組んでいきたいと思っています。
(記者)現状の400人台の感染者数が続いた場合は、県が確保している1,000床を超えるような病床で入院者と退院者のバランスがとれていると考えているのか、それともどんどんひっ迫していくと考えているのか、どう見ていますか。
(知事)今からさらに病床使用率が上昇していくと考えています。
(がん感染症疾病対策課)今後の推移をしっかりと見極めていきたいと思います。
(記者)早め早めに対策を打ってきたといわれていますが、結果として2週間前にとった対策が効いていなくて、過去最多となった状況について、対策が適切だったかどうかというのはどう分析していますか。
(知事)新規陽性者がまた過去最多となったことを踏まえてのご意見だと思います。そのようなご意見、ご批判があると思います。このようなことについて、しっかりと受け止めたいと思っています。今後、今決定した対策をしっかり実施して、コロナの封じ込めに全力をあげていきます。
(記者)4月中旬くらいから専門家の方々が大阪の事例も踏まえて、早期に手を打つ必要がある、このままだと感染がどんどん拡大するという指摘もあったかと思いますが、こういった中で、知事が段階的に措置を強める道を選んだのは、どのようなお考えからですか。
(知事)段階的にと申しますか、県内の各地域における感染状況、また感染源の状況は大きく開きがあります。そういう中で厳しい措置を打ってきたと申し上げているのは、まずは県民の皆さんの行動の自粛をお願いしたということです。これは夜間から始めずに、4月19日の発表の段階で昼間も含めて不要不急の外出自粛をお願いしました。これはかなり厳しいお願いだったと思います。そして時短等については、県内各地の感染状況の差が大きいことから、特に飲食店に起因する感染も多くみられた福岡市と久留米市について、時短要請を打ったということです。本県としては各時点での感染の広がりやその状況を分析しながら、適切に手を打ってきたと考えています。
(記者)特に、5月6日からとられた県単独の措置は、緊急事態宣言で国が決めた内容とあまり変わらないようにも思うのですが、例えば一段強い緊急事態に移すということで集客施設などに強めの対策をとるといったお考えはなかったのでしょうか。
(知事)緊急事態宣言の新しい対処方針について、国は集客施設について取り扱いを変えられまして、本県としてはそれ以前に、まん延防止と同等措置の段階でかなり厳しいお願いを集客施設にしています。国としても、デパート等の休業要請を行ったのはやはりゴールデンウイーク期間を睨んで、短期集中的に人流を抑制して感染拡大を抑えていこうという考えであったと思います。そのうえで今回延長されたわけですが、延長に当たっては経済活動や市民生活への影響を考慮され、営業時間短縮の措置に切り替えられたのだと思います。
(記者)対策が今やっているのとあまり変わらないので、福岡県でいうとなかなか強まりにくいのではないかと思うのですが。
(知事)県民、市民の皆さんの生活や経済活動に与える影響を考えたときに、夜間の飲食店の閉店時間と併せて色々な集客施設に営業時間の短縮をお願いする。これをぜひ守っていただきたいと思っています。
(記者)色々と対策をとってきた中で、感染が収まっていない。拡大しているのは、県として何か想定外があったのか、どのようにみていますか。
(知事)これはかなり医学的な分析も必要になると思います。ただ、理由の一つには現在変異株の陽性者数が、全体の8割を占めている状況です。この変異株は感染力が従来型よりも1.3倍以上強いと言われています。また病状が加速するスピードが速い。こういうことを考えますと、従来型の見込みと変異株のまん延による状況には差が出てきていると思います。
(記者)昨日から緊急事態宣言に対して、「受け入れざるを得ない」というどちらかというと後ろ向きな発言、言い回しだと受け取っているのですが、できれば、知事として緊急事態宣言は現状の感染状況でも避けたかったという思いがあるのでしょうか。
(知事)本県としては県内の各地域の感染状況を捉え、きめ細かな対策を打てる最後のカードはまん延防止等重点措置であると考えています。ですから、本県は1日にまん延防止等重点措置の適用を国にお願いしました。その後、地域の拡大が必要となれば当然そうすることになりますが、このような対策で感染の拡大を抑え込みたいということです。なので、政府が広域的な感染防止を図らなければならないという観点で決定されたということですので、本県としては受入れざるを得ないということです。決して後ろ向きということではありません。
(記者)ゴールデンウイーク前に西村大臣からもまん防の適用について話があったと思うのですが、県独自の対策として2週間みるというのがありました。ゴールデンウイーク前にまん防を適用することを見据えて2週間前に県独自の手を打つみたいな逆算はなかったのかなと思うのですが、いかがお考えですか。
(知事)まん延防止等重点措置を要請するためにどうこうするという考え方はおかしいのではないかと思います。あくまで各時点で必要な対策を打ちそれを徹底して感染を抑え込んでいく。それで効果がでれば、更なる強い措置であるまん延防止等重点措置や緊急事態宣言は必要ではなくなるので、本県としては4月19日に福岡市と協議してこの措置で抑えこんでいこうと取り組んできたわけです。
(記者)県民からはゴールデンウイーク前に強い措置が必要だったのではないかというような声も結構あったと思うのですが、そのあたりについてはどうお考えですか。
(知事)本県としては、ゴールデンウイークも当然見すえていたわけですけど、それ以前の4月中旬にこの措置をとりました。その効果が出るようにしっかり取り組んでいきたい。また、飲食店の皆さんもほとんどの店が協力していただいた。そのような中で、結果として今こういうことになっていますが、感染防止を図るための強い措置をとってきたと考えています。
(記者)国は広域的な観点から、県は県単独として感染を抑え込む観点から考えており、双方の観点が違ったということですか。
(知事)観点が違ったとまでは言えるか、本県は近隣県とも連携しながら、例えば熊本県とも連携しながら、県南地域である大牟田がまん延防止等重点措置に準じれば熊本県もそれに対応して荒尾等について措置をとるなど、できる限り他県への波及などの影響を抑え込むことはやっています。都道府県知事は自分の守備範囲が県のエリアですので、その県の地域ごとの感染状況やもっと細かな情報に基づいて、まん延防止等重点措置の適用をお願いしたわけですが、国はより広いエリア、九州や西日本という観点でお考えになって、感染の波及を防ぐためにさらなる手を打ったということだと思います。
(記者)聖火リレーについて。イベントの自粛が求められているなか、聖火ランナーの予定だった方を100人近く集めることになると思うのですが、整合性についていかがでしょうか。
(知事)かなり広い空間を確保できています。ランナーは一か所で100人ぐらいです。この方々が密にならないように対策をとりながら、その他の感染防止対策もしっかり行って、そしてランナーの皆さんの想いに少しでも応えられるようにやっていきたいと考えています。
(終了)