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世界初!キノコの酵素と廃棄農産物から天然ヒト型セラミドを製造する技術を開発
世界初!キノコの酵素と廃棄農産物から天然ヒト型セラミド※を製造する技術を開発
~福岡県リサイクル総合研究事業化センターの共同研究事業成果~
- 本県が設立した(公財)福岡県リサイクル総合研究事業化センターでは、リサイクルシステムを社会に定着させるため、産学官民による研究開発やその事業化を支援しています。
- 同センターの支援のもと、(株)ジェヌインR&Dを研究代表者とする研究チームは、キノコが持つ酵素の反応を利用し、廃棄農産物に含まれる糖セラミドから天然ヒト型セラミド※を製造する技術を開発しました。
- これまで、同社は醤油粕から天然ヒト型セラミドを抽出・精製する技術を世界で初めて開発・事業化していますが、今回の酵素反応を利用して廃棄農産物から意図的に天然ヒト型セラミドを製造する技術も世界初のものであり、様々な廃棄農産物への応用が可能です。
セラミドは、人の皮膚にある成分で、皮膚の乾燥や紫外線等の外部刺激による肌トラブルを防ぐ働きがあり、年齢とともに減少します。
現在、セラミドを補うために販売されている化粧品やサプリメントの多くは、化学合成品や植物に含まれる糖セラミドが配合されています。天然ヒト型セラミドはこれらと比べて大変貴重で高い保湿力を誇るのが特長です。
- 事業化の第一歩として、福岡県醤油醸造協同組合において、廃棄キノコと柚子粕から天然ヒト型セラミドを製造するための一次処理(酵素反応)を行う予定です。
- 今後はこの技術を「福岡県モデル」として確立し、各地域の特産物からそれぞれ特有の天然ヒト型セラミドを生産・商品化・販売することで、全国に展開します。
- ※天然ヒト型セラミド:天然物由来のヒト型セラミド。セラミドは水分保持機能を持ち、外部刺激からのバリア機能をサポートしており、肌の潤いを支えている大切な成分。その中のヒト型セラミドは、私たちの肌に存在する成分であり、肌の角質細胞の間を埋める「細胞間脂質」の約50%を占める。今回の技術で製造されるヒト型セラミドは天然物由来のヒト型セラミドである。
1 研究成果
廃棄キノコと廃棄農産物から天然ヒト型セラミドを製造する技術を開発
2 福岡県リサイクル総合研究事業化センター研究会・プロジェクトの概要
〇研究会の名称及び研究期間
(1)廃棄キノコを活用した天然ヒト型セラミド生産技術研究会(平成26~27年度)
(2)廃棄キノコ及び廃棄農作物を利用した高機能性素材の生産技術研究会(令和元年度)
(3)廃棄キノコ抽出物による植物由来ヒト型セラミド製造プロジェクト(令和2~3年度)
※本成果は、上記の研究会及びプロジェクトを経て開発
福岡県リサイクル総合研究事業化センターは、関係者のコーディネート及び研究費の一部を支援
〇研究チーム
- (株)ジェヌインR&D[福岡市東区]:研究代表者として、セラミドの製造技術の開発全般を担当
- 福岡県醤油醸造協同組合[福岡県筑紫野市]:一次処理(酵素反応)の検討および商品開発
- 京都大学 大学院 農学研究科[京都府]:開発セラミドの食品としての機能性評価
- 福岡県保健環境研究所[福岡県太宰府市]:開発セラミドの分析方法の検討
- 学校法人甲南大学、福岡大城農業協同組合(JA福岡大城)、全国農業協同組合連合会(JA全農ふくれん)、福岡県農林業総合試験場も共同研究者あるいはアドバイザーとして参画
〇研究目的
廃棄キノコの酵素反応を利用して、廃棄農産物から植物由来のヒト型セラミドを製造し、セラミドを配合した食品、サプリメント、化粧品等の商品化を行う。
〇成果
- キノコの種類や農産物によって異なる酵素反応の最適条件を検証し、ヒト型セラミドの製造方法を世界で初めて確立
- プロジェクトでは、廃棄シメジと柚子の搾り粕からヒト型セラミドの製造に成功
微量成分であるセラミドの高純度化にも成功 - ヒト型セラミドの分析方法を検討し、44種のセラミド分子種を確認。(福岡県保健環境研究所)
- 老齢マウスへの給餌試験で、セラミドが感覚運動機能の向上に寄与する可能性が見いだされた。(京都大学)
- 柚子粕セラミドを配合したサプリメントや味噌汁の試作に成功
- セラミド製造残渣の有効利用(食品原料及び飼料としての活用)についても検討
純度60%の柚子セラミド
フリーズドライ味噌汁
柚子風味のサプリメント
セラミド配合化粧品の例
【関係連絡先】
◆株式会社ジェヌインR&D 研究開発部 部長 開 忍
〒811-0215 福岡県福岡市東区高美台2丁目36番12号
TEL:092-410-0662 ホームページ:https://genuinerd.com/
◆福岡県醤油醸造協同組合 技術部 部長 植木 達朗
〒818-0014 福岡県筑紫野市大字牛島65番地(福岡県醤油会館内)
TEL:092-922-3831 ホームページ:http://www.fsjk.or.jp/gaiyou.html
◆福岡県保健環境研究所 廃棄物課 専門研究員 板垣 成泰
〒818-0135 福岡県太宰府市大字向佐野39
TEL:092-921-9949 ホームページ:http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/
◆公益財団法人福岡県リサイクル総合研究事業化センター
(担当:研究開発課 前田、寺本)
〒808-0135 北九州市若松区ひびきの2-1 産学連携センタービル4階
TEL:093-695-3068 ホームページ:https://www.recycle-ken.or.jp/