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労働相談 (パートタイム労働者の社会保険 加入対象の拡大、加入のメリット)
質問
私は、A社でパート社員として働いています。1日5時間、週5日勤務、時給1,000円の条件で雇用され、勤続2年になります。A社は、正社員が30人、パート社員が15人の会社です。
現在、正社員は社会保険に加入しているのですが、パート社員は加入していません。将来の不安もあり、ぜひとも社会保険に加入したいのですが、どうしたらよいでしょうか。
答
【加入対象となる方】
適用事業所(注1)においてパートやアルバイト等、短時間で働かれている方のうち、次の方は社会保険(厚生年金保険、健康保険)に加入できます。
(1)週30時間以上働く方
(2)従業員101人以上(注2)の会社で働く方で、以下のアからエすべてに該当する方
ア 週20時間以上働く方(注3)
イ 1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上の方
(賃金の中に賞与、残業代、通勤手当などは含めません)
(給与明細等で分からない場合は「時間給×所定労働時間×52週÷12か月」で算出)
ウ 2か月を超える雇用の見込みある方
エ 学生ではない方(ただし、夜間、通信、定時制の学生の方は対象となります)
(3)従業員100人以下(注4)の会社で働く方で、上記のアからエすべてに該当し、かつ社会保険に加入することについて、労使間で合意がなされている方
(注1)社会保険の適用を受ける事業所は強制適用事業所と従業員の半数以上が同意し、厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となる任意適用事業所があります。
(注2)正社員の方など、すでに社会保険の対象となっている従業員の数で数えます。なお、令和6年10月以降は、従業員数が51人以上の会社も対象となります。
(注3)労働時間に残業時間は含めません。
(注4)令和6年10月以降は、50人以下となります。
以上の要件からすると、ご質問の方の場合は(3)に該当すると思われますので、社会保険に加入することについて労使合意があれば、社会保険の加入対象になります。
【労使の合意について】
労使の合意とは、短時間労働者の方が社会保険に加入することについて、同意対象者(注4)の2分の1以上の同意を得た上で、事業主が、管轄の年金事務所(注5)に申出することをいいます。
(注4) 厚生年金保険の被保険者である方々と上記アからエの要件を全て満たす方々等を指します
(注5) 健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合に対しても申出を行うことが必要です
同意対象者の過半数で組織する労働組合や過半数を代表する者がいる場合には、そうした方々の同意も有効となります。 お勤めの会社の労働組合の事務局の方や労使協定の代表者の方などにご相談されることをお勧めします。
【加入するメリット】
社会保険に加入することで、次のメリットがあります。
・全国民共通の基礎年金に加え、報酬比例の年金(厚生年金)が終身でもらえ、将来もらえる年金が増えます
・障害がある状態になった場合なども、障害厚生年金が支給され多くの年金がもらえます
・ご自身の勤め先で健康保険に加入すると、賃金に応じた毎月の保険料で、けがや出産によって仕事を休まなければならない場合に、傷病手当金や出産給付金を受け取ることができます
・会社もあなたと同じ額の保険料を支払います。また、現在ご自身で国民年金や国民健康保険の保険料を支払っている方は、自身が支払う保険料が安くなる場合があります。
【気をつけておくべきポイント】
・社会保険の被扶養者(第3号被保険者)の収入要件(年収130万円未満)を満たしていても、加入要件に当てはまる方は、被扶養者とはならず、自身で社会保険に加入することになります。詳しくは、お近くの年金事務所にお尋ねください。
・配偶者が勤めている会社から支給される扶養手当(家族手当等)の支給要件については、その会社にお問い合わせください。
・社会保険の加入手続きは勤め先の会社を通して行いますが、現在ご自身で国民健康保険に加入している方は、国民健康保険の資格喪失の届出をご自身で行う必要があります。詳しくは、お住まいの市町村にお尋ねください。
・また、現在、配偶者の健康保険に加入している被扶養者の方も、資格喪失の届出を配偶者の会社を通じて行う必要がありますので、詳しくは、配偶者の会社にお尋ねください。
【根拠法令】
健康保険法
厚生年金法
公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化のための国民年金法等の一部を改正する法律
公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律
【参考】
厚生労働省HP 『パート・アルバイトのみなさま 社会保険適用拡大についてご案内します』
【平成29年8月当初掲載 (令和4年10月更新)】
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