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労働相談 (無期労働契約への転換)
質問
私は契約社員で、平成25年4月から6か月の有期労働契約を7回更新してきました。しかし、いつ雇止め(使用者が更新を拒絶すること)にあうか不安です。
労働契約期間の定めのない社員になることによって、安定的かつ意欲的に働き、長期的なキャリア形成を図りたいと思います。どうしたら無期雇用の社員になれるのでしょうか。
答
平成25年4月から、同一の使用者との間で、有期労働契約(期間の定めのある労働契約)が反復更新されて通算で5年を超えたときは、労働者が申し込むことによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる制度が導入されています。通算契約期間の対象となるのは、平成25年4月1日以後に始まる有期労働契約です。
相談者の労働契約は、平成25年4月1日から平成25年9月30日までが最初の契約であり、無期労働契約への転換を申し込む権利(無期転換申込権)が平成30年4月からの有期労働契約において発生します。
無期転換申込権を適切に行使するために、平成29年10月1日から平成30年3月31日までの契約を結ぶ時に、同一の使用者の下での過去の勤続の状況や通算契約期間について、労使で十分に確認しておくことが重要です。
相談者が平成30年4月からの契約期間において無期転換の申込みをすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、その時点で無期労働契約が成立します。無期に転換されるのは、申込み時の有期労働契約が終了する翌日からです。
申込みは口頭でも有効ですが、後日のトラブルを予防するために、できるだけ書面で申込みをしてください。
無期転換後の労働条件については、労働協約、就業規則、個々の労働契約で「別段の定め」がない限り、無期転換前と同じ労働条件が適用されます。
無期転換後の労働条件として、定年など、通常有期労働契約者には適用されない労働条件を適用する必要がある場合には、労働協約、就業規則、個々の労働契約でその内容を明確にしてもらう必要があります。
また、通算契約期間の計算について、労働契約法第18条第2項に定めがあります。カウントの対象となる契約期間が1年以上の場合では、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上ある時は、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めません(クーリング)。有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間はあるが、6か月未満の場合は、前後の有期労働契約の期間を通算します。
育児休業などの期間も、労働契約が続いていれば通算契約期間にカウントされます。
なお、有期雇用特別措置法により、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者(高度専門職)と定年後引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)については、事業主がその特性に応じた適切な雇用管理を実施する場合に、一定の期間については、無期転換申込権が発生しないこととする特例が設けられています。
今後の契約の更新において、労働契約期間が短くなった、契約更新条項が変わった等、今までと違う契約内容が提案された時は、その理由を詳しく聞くなど、使用者と十分話合いをしてください。その後、最寄りの労働者支援事務所への相談も活用してください。
【根拠法令】
労働契約法第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
労働契約法第18条第1項の通算契約期間に関する基準を定める省令第1条及び第2条
専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(有期雇用特別措置法)
【参考となる「労働相談」のページ】
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