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労働相談 (マイナンバー)
質問
会社からマイナンバーの提供を求められましたが、提出する義務があるのでしょうか。
提出を断った場合には、何か不利益はあるのでしょうか。
答
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「マイナンバー法」)では、個人番号(以下、マイナンバー)は法に定められた利用範囲を超えて利用することはできません。(同法第9条)。会社がマイナンバーを利用できるのは、主として、源泉徴収票の作成及び社会保険等の手続きに利用する場合です。源泉徴収票作成事務には、従業員のマイナンバーだけではなく、扶養する家族のマイナンバーが必要となります。
マイナンバー法では、労働者にマイナンバーの提供を義務づける規定はなく、提供しないことについて、法による罰則はありません。また、マイナンバーを提供しないことを理由とする賃金不払い等の不利益な取扱いや解雇等は、労働関係法令に違反又は民事上無効となる可能性がありますが、現段階では行政解釈や司法の判断が出ていないため、明確な判断はできません。
一方、事業主は従業員のマイナンバーを法定調書(源泉徴収票、支払調書等)や健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届に記載して行政機関に提出する義務があります。さらに、マイナンバー法では国または地方公共団体の施策に協力するようにとの努力義務が定められています(同法第6条)。これらの業務を行うために必要なマイナンバーの提供について、従業員に利用目的を明示(個人情報保護法第18条)して、提供に理解を得ていく必要があります。
労働者もこのことを理解して、会社から法律に基づく正当なマイナンバーの提供を求められた場合には、これに応じることが求められます。
なお、事業主に提供したマイナンバーの取扱いについて、事業主は、法律で限定的に定められている場合以外に、従業員のマイナンバーや「特定個人情報」を利用することや、第三者に提供することはできません(マイナンバー法19条)。また、事業主は、従業員のマイナンバーや、「特定個人情報」の漏えい、滅失等の防止その他の適切な管理のため、必要かつ適切な「安全管理措置」を講じなければならないこととされています(個人情報保護法20条)。
(注)「特定個人情報」とは、マイナンバーをその内容に含む個人情報のこと。
【根拠法令】
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)(マイナンバー法)
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第65号)
【関連資料等】(新しいウィンドウで開きます)
○ 内閣官房(マイナンバー制度案内)よくある質問(FAQ)
Q4-2-6 税や社会保障の関係書類へのマイナンバーの記載にあたり、事業者は従業員等からマイナンバーを取得する必要がありますが、その際、従業員等がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいですか? A4-2-6 社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。 |
【平成28年8月当初掲載 (平成31年4月更新】
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