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労働相談 (有期労働契約の不更新条項)

更新日:2019年4月5日更新 印刷

質問

 私は契約社員で、6か月の労働契約を7回更新してきました。これまでの労働契約書では「更新する」または「更新する場合があり得る」となっていました。

 次期の契約を更新する際に、会社から提示された労働契約書には、「今回を最終の契約の更新とし、次回の契約更新は行わない。」と記載されています。この契約書に署名・押印をしなければならないのでしょうか。

 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の更新の際に、新たに「次回は更新しません」、「更新は今回限りです」などの文言や「更新回数の上限」を盛り込むことを、「不更新条項」や「不更新特約」と言います。

 使用者が有期労働契約の期間満了に際して、次期契約満了後は更新しないことを通知した場合、労働契約はその満了時に終了することが基本原則となります。しかし、この原則を貫いた場合、有期労働者の地位が不安定になりますので、これまでの裁判では、契約の形式ではなく実態に基づいて判断して有期契約労働者の保護を図ろうとしてきました。

 

 平成24年の労働契約法の改正により、有期雇用契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる権利が明文化されました。なお、通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象です。

 

 契約更新時に新たに不更新条項を締結することの有効性については、裁判では事案に応じて慎重に判断され、不更新条項が無効となった事案もあります。

 

 下記のア、イのいずれかに該当する場合で、使用者が雇止め(更新を行わず契約を終了させること)をすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」には、雇止めは認められません。これを「雇止め法理」と言い、労働契約法第19条で条文化されています。

ア 過去に反復更新された有期労働契約で、無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合

イ 労働者が、有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる場合

 

 質問の内容からすると、これまでに6か月の労働契約が7回更新され、その労働契約書には「更新する」または「更新する場合があり得る」となっていたことから、契約更新に対する合理的期待が生じていると思われます。ただし、下記判例「本田技研工業事件」のように、不更新条項が有効とされた事案もあり、会社の経営状況や当該労働者に対する説明が尽くされたのか等が考慮されているかがポイントの一つとなります。

 

 そこで、まずは、会社から提示された次期労働契約書において、変更を行わなければならない理由について詳しい説明を求めてください。その説明に疑問がある場合には、契約を更新する前に、最寄りの労働者支援事務所へご相談ください。

【根拠法令】

 労働契約法第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

 労働契約法第19条(有期労働契約の更新等)

 (詳細については、「有期労働契約の更新」を参照。)

 

【判例】

(無効の判例)

(ア)明石書店事件(東京地裁 平成22年7月30日)

 「本件不更新条項を付した労働契約締結時の事情を考慮しても、本件雇止めの正当性を認めることはできない。」と判示された。

 

(有効の判例)

(ア)本田技研工業事件(東京地裁 平成24年2月17日)

 「当該労働者は、説明会に出席し、経営悪化に伴う雇止め実施に関する説明を受け、そのことを理解した上で不更新条項に同意したとして、不更新条項の合意により雇用継続に対する期待は放棄した。」と判示された。

(イ)東芝ライテック事件(横浜地裁 平成25年4月25日)

 「不更新条項に異議を述べることは困難で、Xには労働契約を終了させる明確な意思を有していたと言えない。しかし、合理化施策や事業構造改革の実施、同改革により正社員が約半数に減少したことや、事業所閉鎖が告げられていたことなどから、雇止めは有効である。」と判示された。

労働に関する相談は下記の各労働者支援事務所で受け付けています

福岡労働者支援事務所    :TEL 092-735-6149

北九州労働者支援事務所 :TEL 093-967-3945

筑後労働者支援事務所    :TEL 0942-30-1034

筑豊労働者支援事務所    :TEL 0948-22-1149

 

※ 相談受付時間:開庁日の8時30分から17時15分(祝日及び12月29日から1月3日を除く月曜日から金曜日)

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