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労働相談 (ブラックバイト)
問
息子が大学入学後、コンビニでアルバイトをしています。実際働き出すと、口頭で聞かされていた労働条件とはかけ離れており、深夜までの勤務が多く、休憩も取れない状況です。また、本人が同意しないまま、負担の大きい勤務シフトが作成され、学校にも満足に行けなくなって、学業に支障が出ています。これは最近よく言われているブラックバイトではないでしょうか。
答
ブラックバイトについては、はっきりとした定義はありませんが、学生アルバイトのトラブルは、労働基準関係法令上問題のあるもの、それ以外の労使間のトラブルと考えられるものに大きく分けられます。
前者には、「準備や片付けの時間に賃金が払われなかった」「1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった」「実際に働いた時間の管理がされていない」などです。
後者には、「採用時に合意した以上のシフトを入れられた」「一方的に急なシフト変更を命じられた」「採用時に合意した仕事以外の仕事をさせられた」などです。
以下、トラブルの類型ごとに説明します。
ア 準備や片付けの時間に賃金が払われなかった
雇っている人の指示(明示及び黙示)に基づいた「準備、片付け」については、労働時間であり、賃金が支払われなければなりません。
イ 1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった
1日の労働時間が6時間を超える場合には45分以上の休憩を、労働時間の途中に与える必要があります。
ウ 実際に働いた時間の管理がされていない
使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認・記録し、これを基に何時間働いたかを把握・確定する必要があります。その方法としては、
使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
エ 採用時に合意した以上のシフトを入れられた
オ 一方的に急なシフト変更を命じられた
勤務日や勤務時間については、労働条件通知書等によりあらかじめ労働者に通知する必要があります。採用時に合意した以上のシフトを入れる場合など、労働条件を変更する場合には、事前に労働者の同意が必要です。なお、シフトを一方的に削るなど、勤務時間を労働者に示し、労働時間を特定した後に、会社側の都合で労働時間の全部又は一部を休業させた場合には、使用者は平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりません。
カ 採用時に合意した仕事以外の仕事をさせられた
使用者は、労働者を雇い入れる際、労働契約締結時に、賃金、労働時間などの労働条件を必ず明示する必要があります。更に、特に重要な次の6項目については、書面を交付する必要があります。
1 労働契約の期間に関すること
2 更新の有無、更新する場合の判断基準など
3 就業の場所、従事する業務
4 仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交替制勤務のローテーション等
5 賃金の決定、計算と支払方法、締切と支払の時期
6 退職に関すること(解雇事由を含む)
学生などは労働法規をよくわからないで働く場合が多く、使用者が、アルバイト学生に違法な状態での労働をさせることも少なくないようです。そのことにより、学業に支障を来たしたり、働くことに不安を抱えるようになる、など後々に悪影響を及ぼすこともあります。
お悩みの場合は、お近くの労働者支援事務所(新しいウィンドウで開きます)にご相談ください。
【根拠法令】
労働基準法第15条(労働条件の明示)、第34条(休憩)
【平成28年4月当初掲載 平成31年4月更新 】
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