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労働相談 (ストレスチェック制度)
問
従業員30人ほどの印刷会社で働いています。労働安全衛生法の一部改正によりストレスチェックと面接指導の実施が使用者に義務づけられたと聞きましたが、うちの会社ではまだ実施されていません。いいのでしょうか?
答
平成27年12月1日から導入されたストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレス状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させる取組です。また、検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものも低減させるものです。さらにその中で、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する制度です。
ストレスチェック制度の概要
(1)ストレスチェックの実施(労働安全衛生法第66条の10第1項及び労働安全衛生規則第52条の9)
常時使用する労働者に対して、ストレスチェックを実施することが事業者に義務付けられています。
(従業員数50人未満の事業場では、当分の間努力義務となります)
年に1回のストレスチェックの実施が義務付けられています。
ストレスチェックの調査票には、「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」及び「周囲のサポート」の3領域に関する項目が含まれています。どのような調査票を用いるかは事業者が自ら選択可能ですが、国では標準的な調査票として「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を推奨しています。
ストレスチェックの結果は実施者から直接本人に通知し、本人の同意がない限りは事業者に提供してはいけません。
(2)面接指導の実施(労働安全衛生法第66条の8、9、10、労働安全衛生規則第52条の15、16)
ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として面接指導が必要と評価された労働者から申出があったときは、医師による面接指導を行うことが事業者に義務づけられています。
事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、就業上の措置を講じる必要があります。
(3)集団分析の実施(労働安全衛生規則第52条の14)
職場の一定規模の集団(部、課など)ごとのストレス状況を分析し、その結果を踏まえて職場環境を改善することが事業者の努力義務となっています。
(4)労働者に対する不利益取扱いの防止(労働安全衛生法第66条の10第3項)
面接指導の申出を理由として労働者に不利益な取扱いを行うことは法律上禁止されます。
このほか、ストレスチェックを受けないこと、事業者へのストレスチェックの結果の提供に同意しないこと、高ストレス者として面接指導が必要と評価されたにもかかわらず面接指導を申出ないことを理由とした不利益な取扱いや、面接指導の結果を理由とした解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等も行ってはいけないとなっています。
【平成27年7月当初掲載 (平成31年4月更新)】
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