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労働相談 (パートタイム労働法改正)
問
有期雇用契約を結んでいるパートタイム労働者です。採用されて以降、正社員の方とまったく同じ業務を行っていますが、賃金は正社員に比べてかなり低く不満があります。今月末で契約期間が終了しますが、会社からは更新したいとの申し入れがあっています。今までの条件であれば生活も苦しく継続するか迷っています。パートタイム労働法が改正されたと聞きましたが、待遇は良くなるでしょうか。
答
パートタイム労働者の公正な待遇を確保し、また、納得して働くことが出来るようにするため、パートタイム労働法(以下「法」という。)が改正され、平成27年4月1日から施行されました。
有期雇用契約を締結しているパートタイム労働者であっても、職務内容や配置転換など人材活用の仕組みが正社員と同じ場合には、差別的取り扱いをしてはならないことになりました。
あなたの場合、職務内容は同じということなので、人材活用の仕組みが正社員と同じかどうかがポイントとなるでしょう。
また、パートタイム労働者と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理であってはならないとする規定が新たに創設されました。
新たに契約を結ぶ場合は、このような法律の改正内容を十分把握しておき、労働条件など不合理がないよう確認した上で契約するようにしましょう。
事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、賃金制度など、事業主が実施する雇用管理の改善措置の内容を説明することが義務化されました。このような改善措置は、労働者にとって重要な問題ですので、雇用されたときは、後のトラブル防止のためにもあいまいにせず、事業主に説明を求めましょう。
パートタイム労働法の主な改正内容は下記のとおりです。
1 パートタイム労働者の公正な待遇の確保
〔1〕正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲が拡大されます <法第9条>
【改正前】 |
【改正後】 |
---|---|
(1)職務の内容が正社員と同一 (2)人材活用の仕組みが正社員と同一 (3)無期労働契約を締結している |
(1)(2)が同一であれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されます |
〔2〕「短時間労働者の待遇の原則」が新設されます<法第8条>
事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広く全てのパートタイム労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されます
〔3〕職務の内容に密接に関連して支払われる通勤手当は均衡確保の努力義務の対象になります<施行規則第3条>
2 パートタイム労働者の納得性を高めるための措置
〔1〕パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明が義務となります<法第14条第1項>
事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととなります
【雇入れ時の説明内容の例】
賃金制度はどうなっているか
どのような教育訓練があるか
どの福利厚生施設が利用できるか
どのような正社員転換推進措置があるか など
〔2〕説明を求めたことによる不利益取扱いが禁止されます<指針第3の3(2)>
事業主は、法の規定により措置を講じることとされている事項に関する決定をする際に考慮した事項について労働者が説明を求めたことを理由に、不利益な取扱いをしてはなりません
〔3〕パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備が義務となります<法第16条>
【相談に対応するための体制整備の例】
相談担当者を決め、相談に対応させる
事業主自身が相談担当者となり、相談対応を行う など
〔4〕相談窓口の周知が義務となります<施行規則第2条>
パートタイム労働者を雇入れたときに、事業主が文書の交付などにより明示しなければならない事項に「相談窓口」が追加されます
〔5〕親族の葬儀などのために勤務しなかったことを理由とする解雇などについては、適当でない旨が規定されます<指針第3の3(3)>
3 パートタイム労働法の実効性を高めるための規定の新設
〔1〕厚生労働大臣の勧告に従わない事業主の公表制度が新設されます<法第18条第2項>
〔2〕虚偽の報告などをした事業主に対する過料が新設されます<法第30条>
根拠法令等
パートタイム労働法(「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則
パートタイム労働指針(事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置についての指針)
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