本文
労働相談 (健康診断(パートタイマーの場合))
問
A社に、1日6時間、週5日のパートで雇用され、1年3か月になります。正社員の方が健康診断を会社の費用で受けていることを聞いて、上司に相談したところ、「あなたはパートなので、会社に義務はなく、対象にしていない。」との返事でした。パートの場合、やはり会社の健康診断は受けられないのでしょうか。
答
労働安全衛生法により、事業主は、業種や職種に関係なく常時使用する労働者に対し医師による健康診断を行う義務があり、定期的に従業員に健康診断を受けさせる必要があります。
パートタイマー(以下パート)の場合も、雇用契約期間の定めがない人、または1年以上(注記1 参照)使用されている、あるいはされる予定の人で、1週間の所定労働時間数が当該事業場で同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上(注記2)の人は対象となり、正社員と同じ内容の健康診断が必要となります。(注記4)
したがって、一般的な週40時間勤務の事業所の場合、週30時間以上の勤務で1年以上働く予定のある人などは、パートでも対象となり、実施していない場合は、事業主は労働安全衛生法に違反することになります。
健康診断の費用は会社負担になり、実施時間も所定労働時間内に行うことが望ましいとされており、事業所が時間内に実施し、その時間を有給とすることを認めている場合は、欠勤届や有給休暇届を提出する必要はないことになります。
また、労働者も会社の実施する健康診断を受診する義務があります。(会社での健康診断を受けずに、自分の希望する医師の診断を受け、その証明書を提出することもできます。)
なお、事業主は、従業員が受診しやすいように業務上の配慮や未受診者への指導といった措置が必要であり、さらに、健康診断の実施後、その結果に応じて、労働環境の改善や労働者に対する健康指導といった措置を講じる必要があります。
【参考】
(注記1) 特定業務従事者(規則第13条第1項第2号)(注記3)の場合は、6か月以上使用されると対象となります。
(注記2) 2分の1以上の人も実施することが望ましいとされています。
(注記3) 健康診断は、雇い入れ時や1年に1回の定期に行う一般健康診断が一般的ですが、有害業務(高圧室内、放射線、特定化学物質、潜水業務等)従事者に対する特殊健康診断などいくつかの種類があります。
(例)
特定業務従事者:配置替えの際及び6か月以内に1回の健康診断が必要。
給食の業務に従事:雇入れ、配置替えの際、検便による健康診断が必要。
有害な業務で政令で定めるものに従事:雇入れ、配置替えの際及びその後6か月以内に1回、歯科医師による健康診断が必要。
(注記4) 一般健康診断の場合、雇入れ時や定期の検査項目は、下記のとおりです。なお、雇入れの場合、3か月前以降に医師による健康診断を受診していれば、受診した項目は雇入れ時の健康診断の項目から免除されます。
(1)既往歴及び業務歴の調査 (2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査 (3)身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査 (4)胸部エックス線検査 (5)血圧の測定 (6)血色素量及び赤血球数の検査(貧血検査) (7)肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)の検査 (8)血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール等) (9)血糖検査 (10)尿中の糖及び蛋白の有無の検査 (11)心電図検査
根拠法令等
労働安全衛生法第66条 他
労働安全衛生規則第43条~第4848条 他
労働に関する相談は下記の各労働者支援事務所で受け付けています
福岡労働者支援事務所 :TEL 092-735-6149
北九州労働者支援事務所 :TEL 093-967-3945
筑後労働者支援事務所 :TEL 0942-30-1034
筑豊労働者支援事務所 :TEL 0948-22-1149
※ 相談受付時間:開庁日の8時30分~17時15分(祝日及び12月29日~1月3日を除く月~金)