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労働相談 (労働協約の改定による労働条件の切り下げ)

更新日:2019年4月5日更新 印刷

 当社では諸般の情勢から労働条件の引き下げを検討せざるを得なくなりました。当社には多数派労働組合と少数派労働組合があり、非組合員もおります。  今後、それぞれにどのような対応がもとめられるでしょうか。

 

 労働条件変更には合意の原則や不利益変更に関する一定のルールがあり、それを踏まえた丁寧な交渉が求められます。

 ここでは、多数派労働組合が労働条件の切り下げに同意し労働協約を改定したと仮定して、当該労働組合の組合員、非組合員及び多数派労働組合の非組合員であるが別の労働組合の組合員(以下 少数派労働組合員という)との関係について説明します。

 (1)多数派労働組合の組合員 

 改定された労働協約が適用される対象は、当該協約を締結した労働組合の組合員となり、不利益変更も適用されます。ただし、特定、または一部の組合員の労働条件が不利益変更される場合、判例では、協約締結の経過、経営状況、適用範囲、不利益の程度などからその是非が判断され、例外的に不利益変更が否定される場合もあります。

 (2)非組合員 

 改定された労働協約が、労働組合法第17条の「常時使用される同種の労働者の4分の3以上に適用される」場合は「他の同種の労働者にも適用される」規定により、非組合員でも同種の労働者であれば適用を受けることになります(4分の3で適用は、事業所ごとで判断します)が、不利益変更の場合は判例や学説が分かれているようです。

 そのため、交渉時に関係従業員全体の意見を公正に集約し真摯な交渉を行うことや特に不利益を受けるグループがある場合、組合員であるか否かを問わず意見をくみ上げるなど、従業員全体に対する公正な調整が求められます。

 改定された労働協約が第17条の要件を満たさない場合でも、実務上は就業規則の改定が必要になることが多いと思われます。そうしますと、非組合員には就業規則の不利益変更が行なわれるということになりますので、労働契約法第10条の趣旨に沿った対応が求められます。

 (3)少数派労働組合員

 改定された労働協約が、労働組合法第17条の規定に該当する場合に少数派労働組合員にも適用されるかどうかですが、これも判例・学説が分かれていますが、適用を受けないというのが有力です。そのため、使用者は少数派労働組合とも同一協約の締結をめざすことになります。

 単に多数派労働組合と妥結しているからということではなく、真摯に交渉するべきでしょう。

 妥結できなかった場合でも、就業規則の改定が必要になるでしょうから、交渉を一切行わずに、就業規則改定で臨むことには問題があります。

   就業規則の改定に関しては、労働契約法第10条の趣旨に沿って取り組んでください。

(「働くとき、雇うときのルール」の「労働条件の不利益変更」「賃金の一方的変更」参照のこと)

 

根拠法令等

労働契約法第3条(労働契約の原則)、第9条・第10条(就業規則による労働契約の内容の変更)

労働組合法第17条(一般的拘束力)

【判例】

 日本トラック事件(昭和60年11月27日、名古屋高裁)

 朝日火災海上保険(石堂・本訴)事件(平成9年3月27日最高裁第一小)

【平成27年2月当初掲載 平成31年4月更新】

労働に関する相談は下記の各労働者支援事務所で受け付けています

  福岡労働者支援事務所  :TEL 092-735-6149

  北九州労働者支援事務所:TEL 093-967-3945

  筑後労働者支援事務所  :TEL 0942-30-1034

  筑豊労働者支援事務所  :TEL 0948-22-1149

 ※相談受付時間:開庁日の8時30分から17時15分(祝日及び12月29日から1月3日を除く月曜日から金曜日)

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