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労働相談 (労働審判制度)

更新日:2019年4月5日更新 印刷

 県外に本社のある会社の福岡出張所で、トラックの運転手をしていましたが、交差点で信号を無視してきた車と接触してしまいました。自分に過失はないと思うのですが、会社から「賃金を1万円下げる」と言われたので退職しました。

 ところが、 給与から「免責金10万円」が一方的に控除されていました。労働基準監督署に申告し、監督官から「賃金の全額支払い」を指導してもらいましたが、所長は「裁判でも何でもしてくれ」との対応だったとのことです。賃金だけは全額支払ってほしいのですが、今後どうしたらいいのでしょうか?

 使用者は、原則として賃金の全額を支払わなければならず、賃金と相殺することはできません。また、合意による相殺は合理的な事情が客観的に存在するときに限り、有効とみなされます。

 今回の御相談では、所長の「裁判でも何でもしてくれ」という対応が、会社としての意思であるかどうかは確認できませんが、労働基準監督署の指導に従わないということですので、強制力を持った法的な手続きを取る必要があります。民事訴訟や少額訴訟では、管轄は事業所所在地となることもありますが、本社の住所地の地方裁判所となる場合もあり、県外に出て行かなければならないことがあります。しかし、労働審判では、労働者が勤務していた事業所所在地を管轄している地方裁判所での申し立てが可能です。

 御相談の争点は「賃金が全額支払われたか否か」ですが、会社側は「車両の損害賠償請求」を主張することが想定されます。裁判所が実施する労働審判であれば、適正な損害賠償額も含め、労働関係の実情を踏まえた解決案が提示されると思われます。

 

【労働審判とは】

 労働審判では、労働審判官(裁判官)のほかに、労働組合や経営者団体の推薦を受けた、労働関係の実情や慣行に精通している人のなかから選ばれた労働審判員2人で構成された労働審判委員会によって判断がなされます。最初は「調停」として、話し合いによる解決をめざし、その解決ができない場合には実情に即した形での解決案が「労働審判」として提示されます。この調停、労働審判、いずれの場合でも確定すると強制力があり、従わない場合には強制執行によりその決定事項を実行することができます。

 労働審判のメリットを整理しますと、(1)裁判所が間に入ることから、話し合いが成立しやすく、解決する可能性が高い。(2)訴訟と比べて手数料が半分。(3)3か月以内での解決が見込める。(4)審判が出れば強制執行が可能。(5)紛争の実態をふまえた、柔軟な解決が可能です。そのため、言い分や証拠が整理収集できており、争点が限られていて、当事者双方が労働関係の専門家の意見を聞いた上で柔軟な解決を図ろうと考えている場合に適しています。

 一方、デメリットとしては、(1)3回以内の審理での解決になじまない事件には不向き、(2)審判に異議を申し立てた場合、訴訟へ移行し、代理人の力が必要となります。この手続では、第1回期日より前の交渉や十分な準備が重要ですし、審判への異議が出た場合やこの手続を行うことが適当でないと認められる場合には.直ちに地方裁判所での訴訟に移行します。

根拠法令等

 労働基準法第24条

 労働審判法

【平成26年9月当初掲載 (平成31年4月更新)】

労働に関する相談は下記の各労働者支援事務所で受け付けています

福岡労働者支援事務所  :TEL 092-735-6149
北九州労働者支援事務所:TEL 093-967-3945
筑後労働者支援事務所  :TEL 0942-30-1034
筑豊労働者支援事務所  :TEL 0948-22-1149
 

※相談受付時間:開庁日の8時30分から17時15分(祝日及び12月29日から1月3日を除く月曜日から金曜日)

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