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労働相談 (性差別を受けた場合の紛争解決のための援助)
質問
営業部にいますが、男性社員は外勤業務、女性社員は内勤業務と決められており、お茶くみや掃除は女性の仕事とされています。また、部内研修の際は、業務に必要な研修であっても、女性社員は会場準備をするだけで、研修には参加させてもらえません。
これは、均等法に違反する性差別ではないかと思います。職場で男女差別を受けた場合、どのような援助を求めることができますか。
答
職場での性差別については、労働基準法において「男女同一賃金の原則(第4条)」、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下 均等法)において「性別を理由とする差別の禁止(第5条、第6条)」が定められています。性別を理由とする募集・採用、配置・昇進・降格・教育訓練、福利厚生の措置、職種及び雇用形態の変更、退職勧奨・定年・解雇・労働契約更新について差別的な取り扱いを禁止しています。ご質問の内容は、配置及び教育訓練についての性差別に該当するととらえることができます。
男女で異なる業務配分をし、業務に必要な会議や研修に参加できないと、業務遂行に支障がでたり、昇進・昇格に影響がでることが考えられます。
まず、職場の上司や事業所の人事・労務管理担当部署に実情を話し、改善されるよう申し出ましょう。
労働者から苦情の申出を受けた事業主は、事業所内の苦情処理機関に対し当該苦情の処理をゆだねる等、自主的な解決を図るよう努めることとされています(均等法第15条)。
事業所での自主的解決が望めない場合や、より公平性、中立性の高い第三者機関に援助をしてもらいたい場合には、都道府県労働局雇用環境・均等部が所管する「都道府県労働局長による紛争解決の援助」と「紛争調整委員会による調停」という制度を利用することができます(同法第17条)。
「都道府県労働局長による紛争解決の援助」は、労働者と事業主との間のトラブルについて、労働局長が公正・中立な立場から当事者双方の意見を十分に聴取し、双方の意見を尊重しつつ、問題解決に必要な助言・指導・勧告をすることによりトラブルの解決を図る制度です。
調停では、弁護士や大学教授等の専門家が援助の主体となり、当事者や関係者から事情を聴取したうえで紛争解決の方法として調停案を提示します。調停案について当事者双方に合意が成立した場合は、民法上の和解契約となり、合意した義務を履行しない場合、債務不履行として訴えることができます。事業主は、労働者がこの二つの制度を利用したことを理由として、当該労働者に対して解雇等の不利益な取り扱いをしてはならないことになっています。
これらの制度を利用せずに民事訴訟を提起することもできますし、当該制度により紛争が解決しなかった時に訴訟を提起することもできます。
なお、性差別の事案が、労働者と事業主との間の個別紛争である場合は、地方裁判所の「労働審判制度」を活用することができます。
根拠法令等
労働基準法 第4条
均等法 第5条、第6条、第15条~第27条
労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針 (平成18年厚生労働省告示第614号)
【平成26年6月当初掲載 平成31年4月更新】
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