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くらし110番 2023年4月
2023年4月13日付朝日新聞から。
記事は原則毎月第2木曜の朝日新聞西部本社版に掲載されています。
副業に誘われ借金 返金可能?
出会いの季節 マルチ商法に注意 事業者からの返金 困難な場合も
こんなケース、あんなケース
職場の同僚に、海外のオンラインカジノを宣伝する副業に誘われた。5%の広告収入が得られるほか、人に紹介するとマージンが入り、稼げるとのことだった。75万円の登録料が必要だったため、「手持ちがない」と断ろうとしたが、「皆、借金して支払っている」と言われ、消費者金融から借りて支払った。人を誘っても断られ、やめたくなったが、返金してもらえるだろうか。
気をつけよう
春は進学や就職で新しい出会いが多い季節です。人間関係を巧みに利用し、投資やもうけ話を「誰かに紹介すれば稼げる」と勧誘する「マルチ商法」にご注意ください。
マルチ商法に関するトラブルは、健康食品や化粧品など物(商品)の取引が多かったのですが、最近は暗号資産や海外事業への投資など、具体的な物がない「モノなしマルチ」と言われる取引が増えています。
マルチ商法でクーリング・オフ(無条件での契約解除)するには、一連の取引が特定商取引法の「連鎖販売取引」に該当することが必要です。(1)物品の販売やサービスの提供などの事業で(2)再販売や販売のあっせん等をする者を(3)商品等の販売で紹介料などの利益が得られると誘い(4)商品代や入会金など何らかの負担を伴う取引――に該当すれば、契約書面を受け取った日か商品やサービスを受け取った日のどちらか遅い方を1日目として、20日間はクーリング・オフができます。クーリング・オフ期間が過ぎても、会員契約はいつでも解約できます。
海外事業者との契約でも、日本国内で契約した連鎖販売取引であればクーリング・オフできることにはなっていますが、日本語が通じなかったり、国内の連絡先がなかったりするなど、返金を求めることが困難です。
そもそも「簡単に稼げる」「絶対にもうかる」という話はありません。職場の人間関係や、大学のゼミやサークルを悪用したケースもあります。身近な人からの誘いでも、うのみにすることなく冷静に判断しましょう。
困った時や不安な時は、消費生活センターに相談しましょう。
消費者ホットライン 188(いやや!)
お住まいの地域の消費生活相談窓口につながります。