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労働相談 退職勧奨・退職強要
問
私の会社では、最近業績が思わしくないためか、同僚数人が執拗な退職勧奨を受けています。中には嫌がらせ同然の退職勧奨が行われていますが、このような退職勧奨に応じたくない場合はどうしたらいいのでしょうか?
答
退職勧奨とは、使用者が希望退職を募集する段階などで、対象となった労働者に対し、自発的な退職の意思の形成を促す場合に「退職してもらえませんか?」と勧める行為であり、労働者がそれに応じるかどうかは労働者の自由な意思にゆだねられています。そのため、退職の意思がない場合は退職勧奨を断ることができます。
また、使用者が退職勧奨に応じようとしない労働者に対して、何回も呼び出して数人で取り囲んですすめるなど、社会通念上相当性を欠く手段や方法により退職勧奨を行うことは、労働者の自由な意思決定を妨げる退職強要に当たり、不法行為となります。
退職の意思がないのに、一旦、退職届を出してしまうと、取消しや無効の立証が難しくなります。
退職強要に労働者が対抗する主な方法としては、上司や使用者に対し退職の意思がないことを明確に伝え、退職強要は不法行為に当たるのでただちに止めるよう内容証明郵便で通告する方法があります。退職強要を止めない場合は、ひとりで悩まず、最寄りの労働者支援事務所に早めにご相談ください。
法、根拠等説明
民法第90条 (公序良俗)
第93条 (心裡留保)
第95条 (錯誤)
第96条 (詐欺又は強迫)
第709条(不法行為による損害賠償)
【退職勧奨が違法なものとされた判例】
「下関商業高校事件 ( 最高裁判決:昭和55年7月10日)」
市立高校教諭に対し、十数回に及び行われた退職勧奨について、その経緯が余りにも執拗であり、退職勧奨として許容される範囲を超えて退職を強要したとして、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを命じた判例。
【平成25年1月当初掲載(平成28年3月・平成31年4月更新)】
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