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労働相談 健康診断
問
会社が、毎年、健康診断を行っていますが、仕事の都合や個人的な用件で会社が指定する日に受診できません。
会社が計画する健康診断は受けなくてはいけないですか。 個人の健康状態が会社に知られるのも釈然としません。
答
毎年会社が実施する健康診断は必ず受けてください。
労働安全衛生法は、会社に定期的な健康診断の実施を義務付けています。また、従業員に対して健康診断の受診を義務付けています。
会社が実施した健康診断のみならず、他の健康診断も一切受診せず放置し、会社が受診命令を行ったにもかかわらず背いた場合は、懲戒処分の可能性もあります(下記「愛知県教育委員会事件」を参照)。
従業員が健康診断を受けて、会社がその結果を記録し、さらにその結果について医師からの意見聴取、健康診断の事後措置を行うことにより、従業員の健康が守られます。
会社は健康診断の結果を記録しておかなければならず、また診断の結果労働者の健康保持のために必要ある場合は、就業場所の変更・作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設・設備の設置・整備その他の適切な措置を講じなければなりません。
従業員も健康診断を受診し自分の健康を把握することで、過労死を防止したり、有害業務による疾病を早期に発見することができます。健康診断の重要性を理解して必ず受診することとし、会社が指定した日に受診が難しい場合は、受診できる方法がないか、会社と十分に話し合ってください。
なお、従業員が他の医師による健康診断を受けて、その結果を証明する書面を提出すれば、会社が指定する医師が行う健康診断を受けなくてもよいとされています。
また、この健康診断の記録については、知り得た情報を漏らさないように、実施の事務に従事した者に対し、健康情報の徹底管理が求められます。
【参考】
愛知県教育委員会事件(最高裁第一小法廷判決 平成13年4月26日)
市町村立中学校の教諭その他の職員は、労働安全衛生法66条5項、結核予防法7条1項の規定により、健康診断の受診義務、結核の有無に関するエックス線検査の受診義務があり、市立中学校の教諭が校長の発したエックス線検査受診命令に従わなかったことは、懲戒事由に該当するとして減給処分を認めたもの。
法、根拠等説明
労働安全衛生法第66条第1項 健康診断
労働安全衛生規則第44条 定期健康診断
労働安全衛生法第66条第5項 健康診断の受診義務
労働安全衛生規則第50条 労働者の希望する医師等による健康診断の証明
労働安全衛生法第66条の3 健康診断の結果の記録
労働安全衛生規則第51条 健康診断結果の記録作成
労働安全衛生法第66条の4 健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
労働安全衛生規則第51条の2 同上
労働安全衛生法第104条 健康診断に関する秘密の保持
注 組織の形態に関わらず、事業者は常時使用する労働者に対して、1年以内(深夜労働者等は6月以内)ごとに1回定期健診を行わなければなりません。
【平成23年8月当初掲載(平成28年3月、平成31年4月更新)】
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