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地方分権改革について
地方分権改革とは?
国がもっている権限や、財源を地方(都道府県、市町村)に移し、地方がそれぞれの実情に応じた行政サービスを提供することができるようにすることです。
近年、わが国の大きな課題となっている人口減少問題をはじめ様々な課題に対応していくためには、全国画一的な対応ではなく、それぞれの地域の実情に応じた対応をすることが必要であり、地方分権がますます重要になっています。
地方分権改革の主な動き
第1次地方分権改革(平成5年~平成13年)
東京への一極集中を排除し、国土の均衡ある発展を図り、ゆとりと豊かさを実感できる社会をつくり上げていくためには、中央集権的な行政のあり方を改め、地方分権の推進が必要であるとの「地方分権の推進に関する決議」が平成5年に衆参両院でなされ、それを端緒に第1次地方分権改革が行われることとなりました。
第1次地方分権改革では、国と地方の関係を上下・主従の関係から対等・協力の関係に変え、地方分権型行政システム(住民主導の個性的で総合的な行政システム)を確立するという地方分権改革の理念を打ち立てました。
【第1次地方分権改革で行われた主な取組み】
1 機関委任事務制度の廃止と事務区分の再構成
- 地方を国の下部組織として国の事務を行わせる仕組みである機関委任事務制度を廃止
- 地方公共団体が処理する事務を「法定受託事務」と「自治事務」に再構成
2 国の関与の抜本的見直し、新しいルールの創設
- 機関委任事務に伴う国の指揮監督権を廃止、国の地方に対する関与は必要最小限とすること 等
3 権限移譲の推進
- 2ヘクタール超4ヘクタール以下の農地転用の許可権限(国→都道府県)
- 国有林等を除く保安林指定・解除等の権限(国→都道府県)
- 用途地域に関する都市計画の決定(都道府県→市町村)
- 児童扶養手当の受給資格の認定等(都道府県→市及び福祉事務所を設置する町村) 等
- 地域の実情に応じ、都道府県から市町村へ事務の移譲を推進するための「条例による事務処理の特例制度」の創設
4 地方税財源の充実確保
- 法定外普通税の許可制度から協議制度への移行
- 法定外目的税の新設
三位一体改革(平成13年~平成17年)
国と地方の財政の悪化、地方分権の進展、国と地方の財政関係の不均衡という課題に対応するため、補助金の削減、国から地方への税源移譲、地方交付税改革を一体で行い、国と地方の税財政関係を抜本的に改革する「三位一体改革」が行われました。
この取組みにより、約3兆円の地方への税源移譲が行われましたが、地方交付税の削減が急激に行われ財政力の弱い地方公共団体に大きな影響を与えたり、国庫補助負担金改革において、単なる国の補助負担率の引下げが行われるなどの課題もありました。
第2次地方分権改革(平成18年~)
日本の地方分権はなお、地方公共団体の事務に対する法令による義務付け・枠付け等の緩和、事務事業の移譲等、残された課題があり、「未完の改革」とされていました。この「未完の改革」をもう一度動かすため、地方六団体が「地方分権の推進に関する意見書」を提出し、これを契機に第2次地方分権改革が始まりました。
第2次地方分権改革では、平成18年10月に成立した「地方分権改革推進法」に基づき、民間有識者からなる「地方分権改革推進委員会」が設置され、第1次から第4次にわたる勧告が行われました。
これを受け、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第1次一括法(平成23年4月成立)、第2次一括法(平成23年8月成立)、第3次一括法(平成25年9月成立)、第4次一括法(平成26年5月成立))により、義務付け・枠付けの見直し、国から地方(都道府県から市町村)への事務・権限の移譲、国と地方の協議の場の法制化、補助対象財産の財産処分の弾力化などが行われました。
【第2次地方分権改革の主な取組み】
1 義務付け・枠付けの見直し
地方公共団体が行う事務については、国が法令で事務の実施やその方法を縛っており、これを義務付け・枠付けといいます。第2次地方分権改革では、数多くの義務付け・枠付けの見直しが行われ、地方の自主性・自立性の向上に貢献しました。
2 権限移譲
- 看護師など各種資格者の養成施設等の指定・監督等(国から 都道府県へ)
- 商工会議所の定款変更の認可(国から 都道府県・指定都市へ)
- 未熟児の訪問指導(都道府県から 市町村へ)
- 家庭用品販売業者への立入検査(都道府県から 市へ) 等
3 国と地方の協議の場の法制化
以前から、個別の課題解決のために必要に応じて国と地方との間の協議は行われていましたが、「国と地方の協議の場に関する法律」の制定により、(1)国と地方公共団体との役割分担に関する事項、(2)地方自治に関する事項、(3)地方自治に影響を及ぼすと考えられる国の政策のうち、重要なものについて協議が行われることとなりました。
4 補助対象財産の財産処分の弾力化
従来、国の補助金等により取得した財産を処分する際に、国から補助金の返還を求められたり、転用・譲渡など用途・相手先に制限がありました。
また、各府省庁によって承認基準や手続きにばらつきがあり、わかりにくいなどの問題がありました。
この取組みにより、(1)概ね10年を経過した補助対象財産については、補助目的を達成したものとみなし、報告等により国の承認とみなすとともに、その際、用途・譲渡先を問わず、また国庫納付を求めないこと、(2)各府省は財産処分の承認基準を分かりやすく定めることとなりました。
【地方分権改革の総括と展望】
第4次一括法の成立により、「地方分権改革推進委員会」の勧告事項については、一通り検討を終えたこととなることから、地方分権改革担当大臣の下に設置された「地方分権改革有識者会議」において、平成26年6月に「地方分権改革の総括と展望」が取りまとめられました。
この「地方分権改革の総括と展望」では、個性を活かした自立した地方をつくるため、従来からの課題への取り組みに加え、地方の発意と多様性を重視した改革を推進することの重要性が指摘され、平成26年から地方自らが地方に対する権限移譲や規制緩和を提案する「提案募集方式」や「手挙げ方式」が導入されました。
今後とも引き続き、地方への更なる権限移譲と規制緩和が進み、地域の実情に応じた行政サービスが提供できるよう、地方分権の推進に取り組みます。
【第2次地方分権改革の主な流れ】
- 平成18年6月 地方六団体が「地方分権の推進に関する意見書」を提出
- 平成18年12月 地方分権改革推進法成立
- 平成19年4月 地方分権改革推進委員会発足
- 平成21年12月 「地方分権改革推進計画(第1次見直し)」を閣議決定
- 平成22年6月 「地域主権戦略大綱(第2次見直し)」を閣議決定
- 平成23年4月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第1次一括法)」及び「国と地方の協議の場に関する法律」が成立
- 平成23年8月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第2次一括法)」が成立
- 平成23年11月 「義務付け・枠付けの更なる見直しについて(第3次見直し)」を閣議決定
- 平成25年3月 「義務付け・枠付けの第4次見直しについて(第4次見直し)」を閣議決定
- 平成25年4月 地方分権改革有識者会議が発足
- 平成25年6月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第3次一括法)」が成立
- 平成25年12月 「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」を閣議決定
- 平成26年5月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第4次一括法)」が成立
- 平成26年6月 地方分権改革推進有識者会議において「個性を活かし自立した地方をつくる~地方分権改革の総括と展望~」を取りまとめ(「地方分権改革に関する提案募集方式」及び「手挙げ方式」を導入)
- 平成27年6月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第5次一括法)」が成立
- 平成28年5月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第6次一括法)」が成立
- 平成29年4月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次一括法)」が成立
- 平成30年6月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第8次一括法)」が成立
- 令和元年6月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第9次一括法)」が成立
- 令和2年6月 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第10次一括法)」が成立
福岡県の地方分権の主な取組み
義務付け・枠付けの見直しに伴う条例の整備
福岡県では、これまでの、数次にわたる義務付け・枠付けの見直し等を内容とする法律等の成立を受けて、関係条例の整備を図っています。
暴力団排除に係る条例整備の取り組み
暴力団が県民の社会経済活動に介入し、事業の健全な発達に脅威を与えていた状況があったため、一括法で改正された施設・サービスについて、「施設の運営について暴力団関係者の支配を受けてはならない」等の関係条例の制定を行っています。