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労働相談 (過労による労災認定)
質問
答
業務上の疾病は、労働基準法施行規則第35条(別表第1の2)で定められており、脳疾患に関しては、同別表第8号に「長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症」とされています。
脳出血を含む脳血管障害の労災の認定基準については、厚生労働省労働基準局長通達「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(以下「通達」といいます。)において行政解釈が示されています。相談者の事案は、労働者の長時間労働が原因と考えられる脳出血とのことであり、通達が「長期間にわたる長時間の業務」をどのように解釈しているかみていくことにします。
通達では、過重負荷の有無の判断において「著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚等にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。具体的には、労働時間のほか、不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交替制勤務・深夜勤務、作業環境(温度環境・騒音・時差)及び精神的緊張を伴う業務の負荷要因について十分検討すること。」としています。
さらに、長期間にわたる業務の過重性を評価するに当たって、「疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところである」とし、具体的には、次のような評価の目安を示しています。
- 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること。
- 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること
相談者の事案は、土日も休まず仕事をするなど休日が確保されない中で、長時間労働を半年にわたって従事していたとのことですから、通達の示す認定要件を満たし労災に認定されることも考えられます。詳細は、労災の申請窓口であるお勤め先を管轄する労働基準監督署労災課にご相談ください。
根拠法令等
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労働者災害補償保険法第7条
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労働基準法施行規則第35条
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厚生労働省労働基準局長通達「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日基発第1063号)
労働に関する相談は下記の各労働者支援事務所で受け付けています
福岡労働者支援事務所 :TEL 092-735-6149
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筑後労働者支援事務所 :TEL 0942-30-1034
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