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労働相談 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止

更新日:2019年4月5日更新 印刷

 会社を経営していますが、最近、ある有期契約社員が家庭の事情で転居したため、これまでの徒歩通勤から電車通勤に変更になりました。この社員から正社員と同様に通勤手当を支給するように求められていますが、有期契約社員の就業規則では「通勤手当の支給はしない」となっています。それでも支払わなければならないのでしょうか。

 労働契約法第20条に有期契約労働者と無期契約労働者(いわゆる正社員を含む)の『労働条件』が相違する場合において、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止するルールが、規定されています。

 このルールのもとで有期契約労働者のみ通勤手当を支給しないことができるか検討します。

 

 平成24年8月10日発出の「労働契約法の施行について」(基発0810第2号)では、『労働条件』には「賃金や労働時間等の狭義の労働条件のみならず、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生等労働者に対する一切の待遇を包含する」とされ、労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは、

 1.職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)

 2.当該職務の内容及び配置の変更の範囲

 3.その他の事情 を考慮して、個々の労働条件ごとに判断することになります。

 とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などの労働条件を相違させることについては、上記1~3を考慮して、特段の理由がない限り、合理的とは認められないとされています。

 

 そうすると、相談者の会社で、通勤手当を正社員に支給する一方で、有期契約労働者については就業規則で「通勤手当の支給はしない」と定めて支給しないことは、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して特段の理由がない限り、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止するルールに違反し、就業規則の該当規定は無効とされることが考えられます。この場合には、有期契約労働者には無期契約労働者と同じ条件で通勤手当を支給しなければならないと考えられます。

 

 また、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)が公布され、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保のための次の措置を講ずることとされました。

 1 「不合理な待遇差を解消するための規定の整備」

 2 「労働者に対する待遇に関する説明義務の強化」

 3 「行政による履行確保措置及び裁判外紛争手続(行政ADR)の整備」

 

措置の具体的内容は次のとおりです。

 1 短時間、有期雇用労働者に関する同一企業内における正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇  ごとに当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて、有期雇用労働者の均等待遇規定の整備等。)

2 短期労働者、有期雇用労働者、派遣労働者について正規雇用労働者との待遇差の内容、理由等に関する説明を義務化。

3 1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。

 不明な点は、最寄りの労働者支援事務所にお尋ねください。

法令等

  

短期労働者、有期雇用労働者、派遣労働者について正規雇用労働者との待遇差の内容、理由等に関する説明を義務化。施行期日 2020年4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法、労働契約法の改正規定の適用は2021年4月1日)

 

労働契約法第20条(期間の定めのあることによる不合理な労働条件の禁止)〔本規定は2020年4月1日に削除され、同日短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略称短時間・有期雇用労働法)第8条に反映する改正がなされるが、中小事業主については、2021年3月31日まで改正前のまま効力を有する〕

平成24年8月10日基発0810第2号、厚生労働省労働基準局長「労働契約法の施行について」

 厚生労働省パンフレット『労働契約法改正のあらまし』H24.12

 判例

 【ハマキョウレックス事件・最高裁判決】(最高裁第二小法廷平成30年6月1日判決)

 

【平成26年1月当初掲載(平成28年3月、平成31年4月更新)】

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