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労働相談 二重派遣
労働相談 二重派遣
問
まだ派遣期間中ですが、来週からB社の命令でC社に出向いて仕事をするように言われました。
このような働き方に問題はありませんか?
答
派遣労働者が、派遣先からさらに別の会社に派遣されその会社の指揮命令を受けていれば二重派遣であり、また、請負であるにもかかわらず発注者が請負労働者に指揮命令すれば偽装請負であり、ともに職業安定法又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下 労働者派遣法)に違反しています。
ご相談内容については、違法な派遣であることも考えられることから、派遣元(A社)に対し、B社とC社との間でどのような契約に基づいて相談者がC社で働くことになったかなどについて説明を求め、疑問を感じたり、状況が改善されなければ、労働者支援事務所や福岡労働局需給調整事業課(新しいウィンドウで開きます)にご相談ください。
ここからは、二重派遣、偽装請負を禁止する職業安定法等について、相談内容に沿って説明します。
職業安定法第44条では、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けた場合を除いては、何人も労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならないとしています。労働者供給事業とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることです。
この例外としては、労働者派遣法に基づき厚生労働大臣の許可を受けた者が行う労働者派遣があり、同法第2条では労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義しています。
ご相談の事案が、派遣先のB社がC社と派遣契約を結び、B社(派遣先)の派遣社員である相談者をC社(第二の派遣先)に派遣してC社の指揮命令を受けて働かせるということであれば、これは二重派遣であり、職業安定法第44条で労働者供給事業を行うこと、また、供給元から労働者を受け入れることを禁止していることから、B社、C社ともに同法に違反しています。
一方、B社がC社から請負で受注した業務に、派遣先のB社の指揮命令の下で相談者(派遣社員)が従事することは、就業場所がC社であっても、別の企業に派遣されているわけではないので、業務内容が就業条件明示書に示された業務であれば、問題はありません。
なお、請負であるとしても偽装請負として違法な労働者派遣となる場合があります。具体的には、B社の請負業務に従事する相談者の指揮命令を派遣先のB社ではなく発注元のC社が指揮命令を行う場合は、これは実態として二重派遣であり違法です。
労働者派遣法の下で行われる人材派遣は、派遣労働者の保護や雇用の安定を図るため、派遣元や派遣先に対する様々なルールがあります。
法令で、労働契約締結に際しては労働条件を、労働者を派遣しようとするときは就業条件等を明示することを義務づけており、派遣労働者として働く場合は、派遣会社から交付されたこれらの文書等により内容をよく確認し、文書等は保管するようにしてください。
また、労働者派遣法の一部改正により平成27年10月1日から「労働契約申込みみなし制度」が施行されました。同制度は、派遣先が一定の違法派遣を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して、当該派遣労働者の派遣元事業主における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなすものです(注:違法派遣について、派遣先に過失が無い場合を除く)。制度の対象となる違法派遣は、ア)禁止業務に従事させた場合、イ)無許可・無届派遣元から派遣労働者を受け入れた場合、ウ)派遣可能期間の制限に違反した場合、エ)いわゆる偽装請負等の場合です。
法、根拠等説明
職業安定法 第44条(労働者供給事業の禁止)、
第64条(罰則)
労働者派遣法第2条第1号(用語の意義)、
第26条(契約の内容等)、
第34条(就業条件等の明示)
労働基準法 第15条(労働条件の明示)
労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準を定める告示(昭和61年4月17日)(労働省告示第37号)
【平成25年11月当初掲載(平成28年3月、平成31年4月更新)】
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