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知ってる?福岡県

江戸時代に流行した感染症「疱瘡(ほうそう)」から多くの子どもたちの命を守るため、日本で最初に予防接種を行った人物をご存じですか?その人物は、秋月藩医・緒方春朔(おがたしゅんさく)(1748-1810)です。
 久留米藩の瓦林(かわらばやし)家に生まれた緒方は、医者の養子となり長崎に留学し、疱瘡の予防接種である種痘術を研究します。その後、秋月藩医として藩主の健康管理や町民の治療を行っていた1789年に疱瘡が大流行。緒方は研究を重ね、独自の種痘術(しゅとうじゅつ)を考案しました。しかし、人の命に関わる実験に踏み切れず、時間だけが過ぎました。
 そんな時、「私の子どもで試してください」と申し出たのが、上秋月の大庄屋・天野甚左衛門(あまのじんざえもん)です。緒方は何度も断りましたが、天野の熱意に説き伏せられ種痘を実施することになり、1790年2月14日、日本で初めての種痘に成功しました。緒方の功績はそれだけではありません。種痘の方法を著書「種痘必順辨(しゅとうひつじゅんべん)」に分かりやすい和文で書き記し、全国への普及を図りました。
 こうした偉人の活躍を現在に伝えているのは、天野甚左衛門顕彰会です。「人々の命を救いたい一心で尽力されたお2人のことを知っていただくため、市民公開講座などさまざまな活動に取り組んでいます」と隈部理事は話します。

緒方春朔の肖像画
(提供:朝倉市)

朝倉医師会病院に建てられた
緒方春朔の顕彰碑

天野甚左衛門顕彰会の理事を務める
隈部敏明(くまべとしあき)さん

問い合わせ
天野甚左衛門顕彰会 理事 隈部敏明さん
朝倉市役所 商工観光課
☎0946-52-1428 ファクス0946-52-1510