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世界遺産登録決定!「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

宗像大社沖津宮(おきつみや) 宗像大社沖津宮遙拝所(おきつみやようはいしょ) 宗像大社中津宮(なかつみや) 宗像大社辺津宮(へつみや) 新原・奴山(しんばる・ぬやま)古墳群
古代祭祀(さいし)と信仰の継承
 九州本土から約60キロメートル離れた「神宿る島」沖ノ島は、4世紀から9世紀末ごろまでの日本列島や朝鮮半島などの東アジア諸国の活発な対外交流に伴って行われた、航海安全のための古代祭祀の様相を伝える希少な存在です。沖津宮(沖ノ島)、中津宮(大島)、辺津宮(九州本土)から成る宗像大社は、宗像三女神への信仰の場として、古代豪族宗像氏の人々によって育まれた沖ノ島を崇拝する伝統を、今日まで守り伝えています。
全構成資産が一括で登録
 7月9日にポーランドのクラクフで行われた第41回ユネスコ世界遺産委員会における審議の結果、本遺産群8つの構成資産は、文化的・歴史的に結び付いた一体のものであり、遺産群の価値を理解するために必要であるとして、申請していた全ての構成資産が世界遺産に登録されました。日本の世界遺産としては21件目(うち文化遺産17件)の登録となりました。

沖ノ島

宗像大社沖津宮(おきつみや)

(沖ノ島・小屋島(こやじま)・御門柱(みかどばしら)・天狗岩(てんぐいわ))

 沖ノ島は、島全体が宗像大社を構成する3つの宮の1つであり、沖津宮の境内には、宗像三女神の田心姫神(たごりひめのかみ)が祭られています。南東に約1キロメートル離れた3つの岩礁は、天然の鳥居の役割を果たしています。
 日本が盛んに対外交流を行うようになった古墳時代の4世紀後半から、沖ノ島に宿る神に対して航海の安全を祈る祭祀が行われました。ヤマト王権の下で古代豪族宗像氏が祭祀を行い、沖ノ島への自然崇拝は宗像三女神への信仰へと高められ、沖ノ島・大島・九州本土の3宮から成る宗像大社が成立しました。「神宿る島」として守られてきた沖ノ島には、島内の巨岩群周辺に500年にわたる古代国家間の交流を反映する祭祀の跡が手付かずの状態で残され、古代における日本の信仰や対外交流のあり方を知る上で非常に高い価値があります。

※世界遺産登録後も、沖ノ島へは渡島することはできません。

古代祭祀遺跡の変遷

  • 岩上祭祀(がんじょうさいし)遺跡
    (4世紀後半~5世紀)
     巨岩の上に大量の銅鏡を納めた跡や祭壇を築いた跡が見つかっています。
  • 岩陰祭祀(いわかげさいし)遺跡
    (5世紀後半~7世紀)
     せり出た巨岩の下に海外からもたらされた貴重な品々などが納められました。
  • 半岩陰・半露天祭祀(はんいわかげ・はんろてんさいし)遺跡
    (7世紀後半~8世紀前半)
     岩陰と露天にまたがる段階で、祭祀の内容も大きく変化する過渡期です。
  • 露天祭祀(ろてんさいし)遺跡
    (8世紀~9世紀)
     巨岩から離れた平坦地に大量の奉献品が残されています。

沖ノ島を知る・感じるための展示施設

宗像大社神宝館

金製指輪(国宝)

 沖ノ島の学術調査で発見された奉献品約8万点(全て国宝)をはじめとして、宗像大社に伝わる神宝類を収蔵・展示しています。

所在地
宗像市田島2331(宗像大社辺津宮境内)
開館時間
9時~16時30分(最終入館16時)※年中無休
拝観料
一般800円、高大生500円、小中生400円(割引料金あり)
問い合わせ
☎ 0940-62-1311 ファクス 0940-62-1315

海の道むなかた館

 遺産群のガイダンス施設を兼ねた宗像の歴史と文化を紹介する施設です。沖ノ島の神秘的な雰囲気を音と映像でリアルに体験できる3Dシアターが人気です。

所在地
宗像市深田588(宗像大社辺津宮前)
開館時間
9時~18時
※月曜日は休館(月曜日が祝日の場合は翌平日)
入館料
無料
問い合わせ
☎ 0940-62-2600 ファクス 0940-62-2601

大島

宗像大社中津宮(なかつみや)

 御嶽山(みたけさん)山頂で行われた沖ノ島と共通する古代祭祀(さいし)を起源として、宗像三女神の湍津姫神(たぎつひめのかみ)を祭ってきた神社で、大島の信仰の中心です。

所在地/宗像市大島1811
問い合わせ/宗像大社 ☎ 0940-62-1311 ファクス 0940-62-1315

宗像大社沖津宮遙拝所(おきつみやようはいしょ)

 約49キロメートル離れ、渡島することが困難な沖ノ島を遠くから拝むために設けられた場所です。「神宿る島」への信仰の伝統を象徴します。

所在地/宗像市大島1293
問い合わせ/宗像大社 ☎ 0940-62-1311 ファクス 0940-62-1315

大島交流館

 大島の豊かな自然と歴史・文化など島の魅力を発信する施設です。遺産群のガイダンス施設を兼ねており、大島の人々の生活と結び付いた沖ノ島への信仰の歴史を知ることができます。

所在地/宗像市大島901-4
開館時間/10時~16時※火曜日は休館(火曜日が祝日の場合は翌平日)
入館料/無料
問い合わせ/ ☎/ファクス 0940-72-2797

九州本土

宗像大社辺津宮(へつみや)

 下高宮(現高宮祭場付近)で行われた沖ノ島と共通する古代祭祀を起源として、宗像三女神の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)を祭ってきた神社で、宗像大社の信仰の拠点です。

所在地/宗像市田島2331
問い合わせ/宗像大社 ☎ 0940-62-1311 ファクス 0940-62-1315

新原・奴山(しんばる・ぬやま)古墳群

 対外交流に従事して沖ノ島での古代祭祀を行い、宗像三女神への信仰の伝統を築いた古代豪族宗像氏の墳墓群です。

所在地/福津市勝浦(新原・奴山地区一帯)
問い合わせ/福津市世界遺産登録推進室
☎ 0940-43-8134 ファクス 0940-43-3168

福津市複合文化センター カメリアステージ

 福津市内から出土した文化財や歴史資料を展示し、市の歴史を紹介する施設です。1階が主に歴史資料館エリアで、新原・奴山古墳群についての展示もあり、遺産群の価値を知る上で見逃せません。

所在地/福津市津屋崎1-7-2(旧津屋崎庁舎) 
開館時間/11時~21時 ※火曜日(火曜日が祝日の場合は翌平日)、毎月最終水曜日、年末年始は休館
入館料/無料
問い合わせ/ ☎ 0940-72-1207 ファクス 0940-72-1210

宗像・沖ノ島世界遺産市民の会 会長 木村 健次(きむら けんじ)さん
宗像・沖ノ島
世界遺産市民の会
会長 木村 健次
(きむら けんじ)さん

“宗像”の2文字を世界に

 市民の会は、各地区のコミュニティなど21団体で構成され、世界遺産登録に向けて市民レベルの活動に取り組んできました。5月のイコモス勧告が厳しい内容でしたので、一括登録決定の瞬間は喜びと安堵(あんど)がこみ上げました。登録資産名も「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」となり、“宗像”の2文字を世界に発信できることを誇りに思います。
 世界遺産登録により、観光客の増加が予想されます。沖ノ島周辺の環境保全をはじめ、世界遺産の保存などに関しては、行政と連携し、この大切な遺産を子どもたちに受け継いでいきたいと思います。

【問い合わせ】世界遺産に関すること…世界遺産登録推進室
☎ 092-643-3162 ファクス 092-633-3163