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特別対談 歌手 森口博子さん × 福岡県知事 小川洋

森口博子写真

歌手 森口 博子(もりぐち ひろこ)

福岡市出身。昭和60年、アニメ「機動戦士Zガンダム」の主題歌で歌手デビュー。平成27年、芸能活動30周年を迎えた。平成22年、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産応援大使に就任。

小川洋写真

福岡県知事 小川 洋(おがわ ひろし)

福岡市出身。京都大学法学部卒業。昭和48年に通商産業省(現 経済産業省)に入省。産業技術環境局長、特許庁長官、内閣広報官を歴任。平成23年4月に福岡県知事就任。現在2期目。

小川知事が、福岡出身で、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産応援大使としても活躍している歌手の森口博子さんと対談し、同遺産群の世界遺産登録推進に向けた思いや、ふるさと福岡県に対する気持ち、夢に向かって挑戦することの大切さなどを語り合いました。


世界遺産登録候補決定に「やったー!」

知事:平成27年7月、森口さんに応援大使をお願いしています「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコ世界遺産の国内推薦候補に決定しました。ありがとうございます。

森口博子さん(以下 森口):こちらこそ、知事から推薦決定のご連絡をいただいた時は、「やったー!」と感激しました。ありがとうございます。知事の熱心な呼びかけあってこそです。大使のお話をいただいたときは、母の故郷、宗像にある沖ノ島ということで、何か不思議な縁に導かれたような気がして、その神秘性や素晴らしさを多くの人に伝えなければと思い、活動してきました。

知事:応援大使の森口さんには、直接お伝えしたくて連絡しました。平成25年に初めて沖ノ島に渡ったとき、その神秘性・神聖性に心が震え、まさに人類の宝だと感じました。
島そのものがご神体の沖ノ島には、「禊」や「不言様」など、長い年月をかけて守り伝えられてきたルールがあります。それ故に、世界遺産にふさわしい価値が引き継がれてきたのだと思います。これからも、守り伝えられてきたルールを守りながら、沖ノ島はもちろん、宗像大社や新原・奴山古墳群などの関連資産の保存と利活用のため、皆さんと知恵を出し合い、後世に伝えていきたいと思います。そして、平成29年には、何としても、森口さんや多くの皆様と世界遺産登録の喜びを分かち合いたいです。


わたしのルーツ、福岡県への恩返しの気持ちを

知事:森口さんが通われた高宮中学校は、タモリさん、高橋真梨子さん、博多華丸さん、氷川きよしさんといった芸能界のそうそうたる顔ぶれが卒業されています。故郷が同じというだけで親近感がわき、応援したくなります。福岡の皆さんは地元が本当に大好きです。ある意識調査によると、出身地に対する「愛着度」は福岡県が第一位です。

森口:それは納得の結果です。同郷の皆さんとは、仲間意識が強いです。特に、中学校の大先輩のタモリさんには、高宮中学校の同窓会をご自宅で開いていただき、可愛がってもらっています ! 地元の言葉でリラックスできる、私にとって皆さん大切な先輩、後輩です。

知事:福岡の皆さんには、外から来る人や文化を温かく受け入れる素地があると思います。これは、アジアと近く、古くから大陸との交流の窓口として発展してきたことも関係していると思います。

森口:福岡に引っ越してこられた方も、すぐになじんで、このままずっと住みたいってよくおっしゃっていますよね。

知事:福岡に移転された企業の皆さんも、福岡の住みやすさ、豊かな自然、おいしい食べ物のことを、口々に褒めてくださいます。それを聞かれた方が福岡に興味を持ってくださる。そして、森口さんのように、福岡で育った方が、地元の心を忘れずに東京でご活躍され、福岡の情報を発信していただく。私たち福岡県民にとって大変心強い存在です。

森口:福岡は私を育ててくれたルーツ。東京での生活がどんなに長くなっても、地元への感謝、恩返しの気持ちを忘れずに、皆さんの元気、生きる力になることを歌やテレビ、舞台を通じて表現し続けていきたいです。


夢をあきらめないことの大切さ

知事:デビュー30周年、本当におめでとうございます。芸能界で30年も活躍を続けることは並大抵のことではないと思います。いろいろ困難なこともあったと思いますが、夢を目指す若い人たちにメッセージがあればお願いします。

森口:ありがとうございます。4歳からずっと憧れた歌手。「なりたい」ではなく「絶対なる」という思いでオーディションを受け続けました。デビューした後、一度リストラ宣告を受けましたが、あきらめずに、目の前の仕事をしっかりとやっていくことが必ず歌の仕事につながると思い、一生懸命やっていたら、「機動戦士ガンダムF91」の映画主題歌の話をいただきました。その歌が初めてベスト10に入り、紅白歌合戦にも出場させていただき、全国ツアーにもつながりました。夢に向かっていく中で壁に当たることもあると思います。でも、逃げずにやり続けることがチャンスにつながるのだと実感しました。

知事:目標に向かって、達成するまで続けることが最も大切ですよね。挫折や困難はあるけど、道はたくさんあって、目標がある限り次に進めます。

森口:あと、忘れてはならないのは、自分の情熱も大切だけど、夢を実現できるのは人との出会いや支えがあってこそだと思います。これからも、どんなことにも心から「ありがとう」と言える人でありたいです。母から「どんなことがあっても笑顔で。絶対にいいことがある」と言われています。

知事:素晴らしいメッセージ、ありがとうございます。これからの社会は、グローバルな視点、いろんな観点から物事を捉える力が求められます。「Think globally ,act locally」、若い世代には、国際的な視野で物事を考えて、地域のために活躍する人間に育ってもらいたいし、いろいろなことに挑戦して、本当にやりたいことが見つかったら、森口さんのようにずっと続けてもらいたいと思います。一層のご活躍を期待しています。

森口:これからも背中を見られる緊張感を忘れずに「一音入魂」で走り続けたいと思います。

知事:私も、県民の皆さんがこの県に生まれてよかった、生活してよかったと思っていただける福岡県を目指して走り続けます。今日は本当にありがとうございました。