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2019 秋号 AUTUMN 通巻596号 令和元年9月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

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特集

一生に一度が福岡に!

ラグビーワールドカップ2019™
日本大会

TM ⓒ Rugby World Cup Limited2015

 
 
ラグビーワールドカップ2019™開催都市マーク 福岡県・福岡市

福岡のラグビーを未来へつなげる

いよいよ日本で初開催となるラグビーワールドカップが開幕。
20カ国の代表チームが北海道から九州までの12会場を舞台に世界一を目指します。
自身も選手・監督としてラグビーワールドカップに出場した
向井昭吾(むかい しょうご)さんに話をお聞きしました。

 

ラグビーワールドカップ2019™日本大会スペシャルインタビュー

 

―ラグビーワールドカップはどんな大会で、日本開催の意義は?

 僕が選手として出場した1987年の第1回大会は、ニュージーランドとオーストラリアの共同開催。予選がない代わりに世界各地を代表する12チームが招待された大会でした。あの時「やっと本当に世界一を決める大会が始まったな」という感じでした。第2回以降は、今のスーパーラグビーのようなプロのリーグが始まったことも背景に、真の世界一を目指して各国が勝負し始めました。4年ごとの予選もありますし、各国がラグビーに懸ける力を本気で示す大会になりましたね。サッカーのワールドカップ、オリンピック、そしてラグビーワールドカップが世界の3大スポーツイベント。オリンピックは17日間で終わりますが、ラグビーワールドカップの開催期間は1カ月半。全国12の都市が舞台になるので経済効果がすごく大きいのも特徴ですね。

 ラグビーはイングランドが発祥地ということもあり、これまでのワールドカップ開催もヨーロッパ圏内が中心でした。しかし、アジアでも普及させないとラグビーの発展はないという考え方から、今回の日本開催が決まった経緯があります。日本が中心となって、世界の選手やコーチ、ラグビーの面白さがアジア全体に波及する、大きな機会だと思います。

―各国の個性や日本の進化はどうですか?

 実は、ラグビーの個性がなくなってきたと感じています。いま世界のトップはニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなど南半球が引っ張っています。前日本代表監督のエディ・ジョーンズさんが率いるイングランドもそうですが、ニュージーランド出身のコーチが多いので、やり方が似ている。アクロバティックなパスでトライを量産するフィジーの「フィジアン・マジック」や、次々とパスがつながるフランスの「シャンパン・ラグビー」など国ごとの特徴を出すより、ボールを動かして点取り合戦をするスタイルが増えました。

 日本は開催国でもあるので多くの時間やお金をかけて代表を強化しています。結果を残して当然だと思いますよ。日本は本気でベスト4を目指してほしいですね。僕が2003年に代表監督をした時にあった外国人選手の制限もありませんし、勝ちにこだわったチームにやっとなってきたなという印象です。

―今回、福岡で3試合、九州の3会場が舞台です。

 東平尾公園博多の森球技場は芝もすごくいいですし、フラットなグラウンドなのでプレーしやすい。ここで世界の選手たちがどんな熱いゲームを見せてくれるのか楽しみです。本当に世界のラグビーを間近で見られることはなかなかないですよ。2メートル・120キロという大男たちがバンバン走ってぶつかって、額を切って倒れても傷を縫ってグラウンドにまた戻る、こんな超人スポーツは他にありません。でもそれだけみんな、試合に懸けているんです。試合前から国歌で涙ぐむのも、自分がそこに懸けたもの、舞台に立てたという強い思いがそうさせる。そういう男たちの熱さも見てほしいですね。

 それに、応援するファンも国を背負う気持ちで、すごい声援でチームを後押しするんです。でもノーサイドになれば、相手国のファンと健闘をたたえて仲良くなって。スタジアムにあふれるラグビー文化も感じてほしいですね。だからこそ福岡でファンの皆さんが、どんなおもてなしを見せるのか注目しています。地元の観光地をさっと教えてあげたり、迎える側の良さを感じていただけたらいいですね。ラグビーファンは最低でも1週間以上は滞在してチームを応援しますから、積極的に仲良くなってほしいと思います。彼らは面白いと思ったらすぐにSNSで発信するので、世界中に福岡をPRするチャンスです。福岡で相手国のファンと知り合って、もしかしたら次回のフランス大会でも隣同士になるかもしれない。そんなつながりが起こるかもしれません。


 自身が監督を務めるコカ・コーラレッドスパークスから今大会の日本代表に選出されたウィリアム・トゥポウ選手の活躍や、大会を見て刺激を受ける選手たちが今後どれだけ成長するかも楽しみと、チームの飛躍にも期待を寄せる笑顔が印象的。「東京オリンピックへ続く国際化の意識は、選手もまちも本気で取り組んでほしい」と、世界を知る監督らしいアドバイスで結んでいただきました。

向井昭吾(むかい しょうご)監督の写真1
東芝府中時代の向井監督の写真

東芝府中時代の向井監督

 
向井昭吾(むかい しょうご)監督の写真2

向井昭吾さん/コカ・コーラレッドスパークス ラグビー部 監督
新田高校、東海大学を経て東芝府中で活躍。1987年の第1回ワールドカップに日本代表FB(フルバック)として出場。引退後、東芝府中監督として日本選手権3連覇。2003年のワールドカップでは日本代表監督を務める。2004年、コカ・コーラウエスト(現レッドスパークス)の監督として福岡へ。その後GMに就任し、2015年に退任したが、今年監督として5年ぶりにチーム復帰。日々、トップリーグ昇格を目指し指揮を執る

 
コカ・コーラレッドスパークスの皆さん
コカ・コーラレッドスパークス

1966年創部。福岡市東区香椎浜をホームとする社会人ラグビーチーム。2005年にジャパンラグビートップリーグ昇格を果たしたが、現在はトップチャレンジリーグに所属。ウィリアム・トゥポウ選手が日本代表、吉澤太一(よしざわ たいち)選手が7人制日本代表に選ばれるなど、多彩な選手たちが一丸となってトップリーグへの昇格を目指している